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ページ公開:2011/07/19


THE() DEEP(ディープ) ―(うしな)われた深海(しんかい)


プラットフォームプレイステーション
開発マリオネット
発売ヴァージンインタラクティブエンターテイメント
発売年月日1996年 10月
ジャンル3Dアドベンチャー
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
単純 ほとんど無し 暗闇とまばらな魚 孤独に響くソナー音 ひたすら移動

―SIMPLEシリーズVol.○○―
THE 深海

(大ウソ)





※今回はやや大目のネタバレを含みます。※


・ゲーム概要

 1996年という、プレイステーションの比較的初期に発売されたアドベンチャーゲーム。
 潜水艇に乗って深海に眠る遺跡を調査するという内容で、マニピュレーターやライト・ソナーの操作など一見本格派らしいつくりとなっている。
 が・・・。


・ストーリー

 北極海上空で一機の輸送機が墜落した。
 積荷の持ち主である「グランテック社」は積荷を回収するべく、深海探査船のパイロットである主人公に回収を依頼する。
 (※ここまでイントロ)
 若干のトラブルの後に何とか積荷を回収した主人公だったが、帰還しようと浮上した時に武装した潜水艇に襲われ、積荷を紛失させてしまった。
 命からがらベースに帰還した主人公は、積荷が北極の古代文明の手による石器であったことと、グランテック社内で石器を狙う勢力が存在することとを知る。
 再度積荷を回収した主人公は石器の発掘現場に赴き、古代文明の高度さと、遺跡の位置を表す地図を発見。石器を守るため、また古代文明の遺跡をその目で見るため、その地図の場所に向かうことを決意する・・・。

 と、いったところから遺跡編に入ってゆく。
 説明書内では「序章」と前置きした上で、「積荷の回収が目標」とし、「輸送機の墜落を発端とする一連の事件の真相を突き止め、大きな謎に迫ってゆく」・・・と書いてある。
 これだと推理アドベンチャーっぽいが、現実は遺跡探索モノで、ゲーム後半は遺跡の仕掛けを探してばかりという謎もへったくれもない内容となっている。


・ゲームの内容

 ゲームは大きく分けて序盤の「深海編」と後半の「遺跡編」で構成される。
 「深海編」では積荷の回収をとりあえずの目標としており、ゲーム開始直後はグランテック社の施設2つを経由して輸送機の墜落地点に向かうことになる。
 だが、正直言ってこの時点ですでに退屈である
 だだっ広い海、しかも暗いうえに魚もまばらな北極海を潜水艇一隻で移動する・・・景色はまるで変化しないし、深度を浅く取っておけば障害物も無い。それでも最大速度で地点間の移動に2〜3分はかかるのだ。
 そういう事態を想定してか、本作には推進速度と方向を固定して自動的に航行してくれる「航行」機能がついているが、そんなの付けるよりゲーム内容をどうにかしてくれといわざるを得ない。

 で、海溝を下りて墜落現場にたどり着くわけだが、問題の輸送機は真っ二つに折れており、隙間から見えるコンテナを入手するには輸送機の先頭部分をどうにかしなければならない、という話になる。
 マニピュレーターは接触しないし、体当たりしてもびくともしない。
 つまりは必要な物を取りに最初の基地まで戻れ、ということである
 この後も同じような展開ばかりで、謎解きもなしに退屈な海を行ったりきたりしなければならない。さらにはランダムに魚雷攻撃を行ってくる潜水艇が現れ、「航行」で移動するのもままならなくなってくるのだ。
 この内容で「面白い」と感じる人は皆無だろう。

 その後いろいろとさまよった後でやっと「遺跡編」に入るわけだが、こちらも大差ない
 最初は暗く冷たい広大な海底洞窟の中、底にぽつんと存在する石像を6つ探し出して証を手に入れるという世にも退屈なスタンプラリーを行うことになる。
 当然のごとくヒントも無し。洞窟に沿ってしらみつぶしに移動してゆくのみである。
 この後やっとライトやソナーを操作するなどの謎解きが出てくるのだが、果たしてここまで気力の持つ人がどれだけいるのか・・・また、それだけの時間と労力を尽くす内容かどうか・・・。

 全体的に「深海モノ」にしたかったのか「遺跡モノ」にしたかったのかよくわからないうえ、「謎解き」というよりは「探し物」が中心の、孤独で退屈な内容となっている。
 特に「遺跡編」に入るとほとんど会話も無くなり、その印象は加速してゆくことになるだろう。


・グラフィックなど

 多くの海中ゲーでは魚などの海洋生物が主役であり、それらは美麗なグラフィックによって描かれる。
 が、本作は深海を舞台にしているためか、登場する魚の数が非常に少ない。そのうえ、魚の色は単純かつ地味でポリゴンもテクスチャも粗い。
 海の色も平淡な青か暗闇で、海底も無骨な岩山である。
 特にこの「海の黒」と「海底の茶色」がゲーム中のグラフィックの多くを占めており、機械的に繰り返されるソナー音と相まって、長時間プレイしていると憂鬱な気分になること間違いなしだ。

 グラフィックの質は低いといわざるを得ないだろう。


・まとめ

 まぁ「深海」という単語から明るくてにぎやかな所を想像する人はいないだろうが、それでもあんまりなくらい暗くて寂しい海を、ひたすら何かを探してさまよい歩く・・・というどうしようもない内容のゲーム。
 暗い部屋で稲○淳二の怪談でも聞きながらプレイすれば嫌な感じに体が冷えるので、そういう目的でプレイする分には多少の価値があるかもしれない。


・ワンポイント攻略

 ・海図画面でLRを押すと潜水艇の向きを変えられる。わりと便利。

 ・爆弾(爆雷?)は見上げたり見下ろしたりしなければ見つからない物もある。
 ・魚雷は急速浮上〜急速潜水で避けられることもある。だが確実に避ける方法は無い(と思う)。
 ・カウントダウンは大人しく聞こう。
 ・遺跡の入り口は海図右下の、不法投棄現場から南東に向かった青色が出っ張っている部分。
 ・巨大イカは潜水艇の後を追いかけてくる。巨体ゆえに引っかかりやすいが、これを利用して邪魔なザリガニを・・・。
 ・遺跡には押すことで動かせる物がある。怪しいと思ったらとりあえず体当たりしておこう。





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