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ページ公開:2011/06/14


マリア 〜(きみ)たちが()まれた理由(わけ)


プラットフォームPS・SS
開発ブレイク
発売アクセラ
発売年月日1997年 12月 (同時発売)
ジャンルインタラクティブ・ドラマ
プレイ人数1人
セーブデータ1ブロック、3ファイルまで(PS)
6ブロック、3ファイルまで(SS)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
単純 巧妙 頬骨が張っている 物静か・サスペンス 複数回プレイ推奨? レインボウズ98





・ゲーム概要

 自称「インタラクティブ・ドラマ」というジャンルのゲーム。そう聞くと「インタラクティブ・シネマ」を謳った某食卓を連想するものだが、その内容はまるっきり異なる物であった。
 パッケージには「多重人格少女マリアとの出会いから始まる壮絶なドラマを完全ゲーム化」と書いてあるが、特に原作などは無い模様。


・ストーリー

 青年医師、高野 潤(たかの じゅん)の元に自殺未遂で運び込まれた少女、筒井(つつい) マリア。
 彼女の自殺未遂に不審な点を感じた高野医師はマリアのカウンセリングを行い、彼女の秘密に触れてしまう。
 ―多重人格―。
 マリアの分断された記憶と人格の治療にのめりこむ高野だったが、それは自らをも巻き込んだ悲劇の運命に触れることと同義であった――。

 ・・・といったところ。
 ストーリーはほとんど文字による会話シーンが中心となっており、ゲームは選択肢の決定によって進んでゆく。「インタラクティブ・ムービー」系のシーンはマリアの自宅を調査するときくらいのものである。
 だが、その分キャラクターの心理描写や物語のスムーズな展開が実現されており、「第○話」という形式で区切られた進行も物語にメリハリを与えている。
 「インタラクティブ」はともかく、「ドラマ」はしっかりと存在しているゲームだ。


・キャラクター

 主なキャラクターは、

 ・高野 潤 (たかの じゅん)
 本作の主人公。新米外科医でマリアの担当医。
 幼い頃に父親が失踪、まもなく母親まで失って孤児になったところに神田院長の助けを受け、医者の道を進む。
 優しく、責任感ある性格だがやや慎重すぎるところがある。

 ・筒井(つつい) マリア
 本作のヒロインにして最大のキーパーソン。
 自殺未遂で病院に運び込まれるが、記憶や状況にあいまいなところがあり高野のカウンセリングを受けることになる。
 物語が進むにつれ、人格分裂の原因が幼い頃に見た事件に有ったと発覚するが・・・。

 ・?
 マリアの中に潜む人格の一人。顔つきや口調ががらりと変わり、高野に対し「これ以上関わるな」と警告を発するが・・・?

 ・神田 利一 (かんだ としかず)
 マリアが入院する慈愛堂病院の院長。温厚で人望が厚く、高野の育ての親的存在でもある。
 高野にマリアのカウンセリングを行うことを承諾したが・・・。

 ・二階堂 泰徳 (にかいどう やすとく)
 11年前、マリアの両親が殺害された事件を担当していた刑事。
 近々定年ということで再度事件を調査し始めたらしいが・・・。

 ・本田 太陽 (ほんだ ひろし)
 高野の友人で、慈愛堂病院に勤める精神科医でもある。
 専門外の病気で苦心する高野にとっての良きアドバイザーである。

 ・ニコライ・レヴィ
 希望の丘教会の神父。クリスチャンであったマリアの両親と親交があり、幼い頃からマリアを知る数少ない人物。

 ・・・といったところである。
 「?」という紹介してるんだか紹介して無いんだかわからない形でマリアの別人格について記述したが、本作は多重人格物の「人格を統合してゆく」という過程がすっぽ抜けており(ルート次第ではちょっとある)、ラスボスが無理やり人格統合するという強引な展開となっている。
 選択肢次第では最後まで登場しない人格もあり、多重人格物としてはちょっと物足りないかもしれない。


・PS版・SS版の比較

 プレイステーション3Discに対しセガサターン2Discである。セーブデータのブロック数も軽いので、どちらかと言えばセガサターンのほうがおすすめだろうか。
 まぁ内容はまったく変わらないので、手を出しやすいハードの方で正解だろう。


・レインボウズ98

 蛇足として、本作は物語の中で仮想パソコンを利用して情報のやり取りや人物のデータベースへのアクセスを行う。
 当時はまだパソコンが一般的でなかったことも有って、このシステムはなかなかユニークなものに映っただろう。


・まとめ

 ストーリーの項でもちょろっと書いたが、このゲームにはミステリー小説的なドラマ性が存在している。
 マリアの人格の謎、高野と筒井家惨殺事件との関係、二階堂刑事が真に追っている人物・・・。
 わりと本格的なミステリー仕立てとなっていて、読んでいて飽きない。

 また、本作はマルチエンディングを採用しており、ハッピーエンドを迎えるためにはマリアとの信頼関係や事件に対する態度のほか、意外なところにも注意する必要がある。そういった点で物語の結末は自分の選択にかかっているわけで、事件の真相を推理しながら読む緊張感、ハッピーエンドを迎えたときの達成感があるはずだ。
 グラフィックやムービーシーンはいまひとつなのだが、「ドラマ」を楽しみたい人にはなかなかの一品ではないだろうか。





・関連作品

マリア2 〜受胎告知の謎〜続編。だが物語の関わりは薄く、設定上本作ではバッドエンドを迎えた模様。


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