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Steamポップ その6


 唐突だが、「Staem」をご活用されているだろうか。


 これは米「Valve」社によって開発・運営されているゲームのダウンロード配信サービス兼ランチャーで、ダウンロードならではの低コスト・メディア要らずの販売形態を特徴とするものだ。
 企業側にとっては物理的なパッケージや輸送・小売といった中間業者を必要としないために販売コストを抑えられ、またSteamのアカウントとゲームの購入が紐づけられているためユーザー同士での転売が行われることが無い。
 ユーザー側にとってはコスト削減分が還元された低価格でゲームを購入でき、また同一アカウント内ならば異なるPCでも同じゲームやデータで遊べるほかSteamコミュニティのフレンドに対する「ギフト」としてゲームを購入する事も出来る。
 などなど、双方に魅力のある設計であるわけである。

 そして、ユーザー側から見た「Steam」の一番の特徴といえばその強気なセール群。
 毎週始めに開催され、全ゲームの中から数十〜百数十本が割引かれる「ウィークロングセール」、
 週の中ほどに行われ、一定のコンセプトを持ったゲームが割引かれる「ミッドウィークマッドネス」、
 さらには週の終わりに行われ、ピックアップされたゲームが無料で遊べる「フリーウィークエンド」およびそれらのゲームが割引かれる「ウィークエンドディール」、

 といった割引イベントが毎週開催されており、しかもその割引き率は33%OFF、50%OFFは当たり前。物によっては75%OFFや90%OFFなど驚異の価格が設定されることもある。
 毎週行われるこれらのセールに、新たなゲームの発見や欲しいゲームの割引きを期待するのが「Steam」ユーザーにとって心を躍らせる魅力となっているのだ。


 と、前置きはこれくらいにして。

 インドア生活を強いられる今年の夏(2019/06/25〜07/09)はSteamのビッグセールの一つ「Steamサマーセール」が開催中である。
 今年はあまり凝った仕組みが無いが「ロードトリップスペシャル」として期間中に一度、3000円以上の購入で500円キャッシュバックを受けられるというシンプルにお得なキャンペーンが見逃せない。
 また今回のセールと同時に「ポイントショップ」という仕様が実装され、ゲームの購入やソーシャルアクティビティによってプロフィール用の背景やチャット用のスタンプが購入可能となったので、ここのラインナップを眺めることもこの期間に一つの楽しみを作っていることだろう。
 (まあぼっちには関係ないけど

 というわけで金額調整用の低価格ゲームが普段にも増して気になるところ、当ページではいつもの調子で「Steam」内で配信されている低価格・無料ゲームに絞っていくつかを簡単に紹介することとしよう。
 なでる程度として内容は抑えるが、ゲームの公式サイトとSteam内の作品ページへの誘導リンクを配置したので興味を抱いたらぜひそちらにも足を運んでいただきたい。




「Burning Daylight (バーニング・デイライト)

開発Burning Daylight Team
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/1052070/Burning_Daylight/
公式ページなし
リリース日2019年04月19日
人気タグ「無料プレイ」「ヌード」「サイバーパンク」ほか
日本語サポートなし(あまり支障はない)

 サイバーパンク世界を舞台としたショートアドベンチャー。
 プレイヤーは大量のヒューマノイドが廃棄された処理場?で目覚めた一人の男となり、このわけもわからぬ世界を彷徨い歩くという内容。
 パズルやアクション要素は一切なくキャラクターを動かして街並みを眺めてゆくだけの作品だが、その世界観やカメラワークが魅力的で様々な興奮や想像を掻き立てられる一作だ。
 本作は特に色彩の表現が素晴らしく、処理場の無機的な黒と赤、逃げ延びた下水道の冷たい灰色、これを越えて訪れる歓楽街のきらびやかなネオンに、物語の最後の一変する色彩・・・と常にプレイヤーの感情を慣れさせない。
 キャラクターを操作するインタラクティブ要素があるということで映像作品にはない感動が得られているところもあるので、映画好きには特にと勧めておきたい。

 ただ風俗街のシーンで直接的な性表現があるので年少プレイヤーや配信プレイヤーは要注意。
 必要スペックもややあるようなのだが、完全無料で短く娯楽性もあると言うことでこれをSteamの入門用作品のひとつとして推しておきたい。




「Slice, Dice & Rice (スライス・ダイス・ライス)

開発Dojo Games (※なぜかポーランドの住宅コンサルティング企業?のページになっている)
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/598450/Slice_Dice__Rice/
公式ページ不明
リリース日2017年04月28日
人気タグ「2D格闘」「ゴア」「雰囲気」ほか
日本語サポートなし(文章量は結構ある)

 オーバーな日本観の一撃必殺2D格闘ゲーム。
 ゲームシステムとしては体力ゲージが存在せずほとんどの攻撃が当たり方によって即死(5割が2ヒットするような形)、ガードが存在せず攻撃は「弾き」や「ステップ」を合わせて回避する必要がある。
 飛び道具や連続技の概念は無く、キャラクターそれぞれが得意とする刀・大剣・拳といった武器による一撃が、そして小刻みに動きながらこれを見切る差し合いが勝敗を分けるバランスである。
 公式に「ブシドーブレード」にインスパイアされた作品という説明だが、個人的にはあれは3Dでないと実現できない内容と思っているので「サムライスピリッツ」の方がやや近いように思う。

 さて、本作独自の防御システムとしては「鰻(うなぎ)」というものがある。名前から全く効果が想像できないが「鰻」である。
 これは各プレイヤーが1つまでストックでき、ストックがある間に相手の攻撃に捉えられるとゲームがスローモーションになって「弾き」や「ステップ」で対処しやすくなるというもの。
 捉えたと思ってもぬるりと避けられるから「鰻」なのだろう。意外と趣のあるネーミングだ。
 さておいて「鰻」は自動で消費されてしまうが一定時間で回復する。
 このため本作は牽制が非常に重要なバランスとなっており、不必要に攻撃を空振っていては相手の後の先を受けてやられかねないものの、間合いを計る相手に牽制を出すことによって鰻を消費させ本命打を当てる支度とする、という戦術が効果を発揮する。
 また本作は2D格闘としてジャンプの制御がしやすく、空中での攻撃も慣性を活かしつつ攻撃する、その場にピタリと滞空して攻撃する、急降下して攻撃する、と千差万別。
 間合いを詰める前ジャンプや間合いを開けるバックジャンプなどとこれらを組み合わせれば実に多くの間合いのバリエーションを得ることができ、この辺りは適当に技を振るだけでは勝てない戦術性として楽しむことができるだろう。

 ・・・ただし本作は昨今の格闘ゲームとして致命的なネットワーク対戦が出来ないという欠点がある。
 ゲームモードもストーリーと単発勝負とローカル対戦と練習くらいと乏しく、リーダーボードやSteam実績といった表彰・ランキングシステムがあるわけでもない。
 あえてこのゲームのローカル対戦に付き合ってくれるというもの好きのアテがなければ、あまり長くプレイする甲斐がないというのが本作の厳しいところだろう。
 一方でブシブレ同様コンボやコマンドの練習を必要とせず開始直後から上級者と同等の攻撃力を発揮できるという始めやすさに、イロモノばかりだが強烈な個性があるキャラクターたちによる見た目の楽しさはあるので、相手がいてグロ表現にも抵抗が無いようなら話のネタとしてひとつ一考してみてはどうだろうか。
 そこ、ぼっち言うな




「Salt (ソルト)

開発Upper One Games、Lavaboots Studios (Facebook)
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/327860/Salt/
公式ページhttps://www.saltthegame.com/
リリース日2018年02月06日(アーリーアクセス終了、登場自体は2014年)
人気タグ「オープンワールド」「探検」「海賊」ほか
日本語サポートなし(文章量は多い)

 広大な海に点々と浮かぶ無人島を舞台としたクラフティング・サバイバルアクション。
 主人公は時間と共に飢えを訴えてゆくが一つの島に居座り続ける限り資源はリスポーンせず、どうしてもイカダやボートによって他の島に漂流してゆくことを迫られるという内容。
 この際遠くに見える島影に向かってイカダを押し、波に流されないよう注意深くオールを傾けながら無事次の島に着けることを祈る・・・という雰囲気が秀逸。
 規則正しく繰り返す波の音や、大波にもまれ傾くイカダ、海上で日暮れを迎え暗黒の中でこれらに身をゆだねる心細さなどは斬新なものがあった。

 ・・・が、本作はクラフティングやサバイバル要素が希薄、仕様上拠点建築と言えるようなものは船の改造くらいしかなく、グラフィックはデバッグ用かと疑うくらい簡素で、海中が舞台になることは一切なく、「メインクエスト」として用意されたものは遠隔地を往復するお使い止まり・・・とかなり完成度が粗い。
 何より、イカダを舞台にした同ジャンルのゲームとして「Raft」や「Landless」など続々と後続が出た現在においてこれこそはと言える特徴がないのが痛い。
 既に開発を終了し正式リリースと言う形になっているが、価格に見合う満足は得られないだろうというのが私見である。

 ただし、本作には無料のデモ版があるのでこれを試すだけならば悪い選択ではない。
 というべきか、資源を求めてイカダを漕ぎ出すという本作の醍醐味はこのデモ版が最高潮であり、これに期待しすぎた結果製品版がガッカリに写るような調子ですらある。
 波の音に癒しや冒険心を感じる人はこれをプレイしてより具体的な理想像をつかみ、同ジャンルのゲームからこれ、と言える一作を選ぶ試金石として見てはいかがだろうか。




「Never Alone (Kisima Ingitchuna) (ネバー・アローン)

開発Upper One Games、E-Line Media
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/295790/Never_Alone_Kisima_Ingitchuna/
公式ページhttp://neveralonegame.com/
リリース日2014年11月19日
人気タグ「プラットフォーマー」「雰囲気」「アドベンチャー」ほか
日本語サポート字幕あり

 イヌイットの伝承をモチーフにしたという2Dパズルアクション。
 故郷を襲う際限のない吹雪を止めるために一人の少女が逆風に向かって旅をするという物語で、旅の中で出会う「狐」の精霊と協力してギミックを解いて行くという内容。
 「狐」は小柄で身軽なため崖を駆け上ったり狭い場所に入ったりすることができ、「少女」は「ボーラ」という飛び道具を使って空中や遠隔地のギミックを作動させることができる。
 この2人のキャラクターを切り替えながら、あるいは他のプレイヤーに一方を任せて協力しながらステージを攻略してゆくという流れである。
 ペナルティが即死のみとなっているため少々厳しい所もあるが、長考を必要とする複雑な仕掛けや機敏な操作を必要とする厳しいアスレチックといった難易度はほぼ無く、おおむね2〜3時間もあればクリアしてしまえる内容である。

 一方で民族伝承を基とした懐かしく幻想的な物語や、雪原を中心に描かれた白中心の色彩、ステージの合間に挟まれる切り絵風の語りなど映像面で見るべきところは多い。
 おまけとして収録されたイヌイットのドキュメンタリーもなかなか興味深いので、こうした雰囲気に惹かれる人は興味を持ってほしい一作だ。




「Squishy the Suicidal Pig (自殺する豚スクイッシー)

開発Tomi Maarela、Elias Viglione(ともに個人)
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/318430/Squishy_the_Suicidal_Pig/
公式ページなし?
リリース日2014年10月24日
人気タグ「プラットフォーマー」「パズル」「ゴア」ほか
日本語サポートなし(それほど読解難易度はない)

 屠殺場送りになった両親とあの世で再開するために自殺した子豚のスクイッシーが、悪魔の気まぐれによって残機を増やされ延々と自殺し続けなければならなくなったという、悪趣味どころではない各方面からお叱り必至の胸糞ストーリーを持つ2Dアクションパズルゲーム。
 (と言ってもまあ絵面がコミカルなのでそれほど悲痛には感じないと思うが・・・。)
 パズルを解いてゴールポイントに到達すればクリアと言う概要は一般的なそれだが、本作の場合ステージ中に敵キャラクターやダメージトラップの類が極端に少なく、むしろそれに到達することを目的としているという点で一風変わっている。
 つまり「トゲ」や「爆弾」、「溶岩プール」などゴールの形状が一定ではないのである。
 さらに「落ちてきたブロックに押しつぶされる」、「勢いよく飛んできたブロックに押しつぶされる」、という死因もあり、これが解法となるステージではどこにゴールがあるのかすらも類推しながら解かねばならないという形になるわけだ。
 反面「ミス」に相当するのはギミックを動かし間違えて「詰み」に至る事であり、主人公のアクションも「移動」と「ジャンプ」と「リスタート」しかないという徹底的なストイックぶり、詰み方によっては何が問題だったのか気付きづらくドハマりしかねないという難易度の高さである。
 (の、わりにステージ限定の特殊ルールが解法でしたという理不尽がたまにある始末だが。)
 コンセプトの悪趣味さを許容できればああでもないこうでもないと頭をひねって解決法を見つけるアクションパズルとして、内容の2/3くらいには遊びごたえを期待してよいだろう。

 もう1/3については、残念ながら一般的なアクションゲームと同様に死亡を「ミス」として扱う普通のアクションステージやボス戦である。
 それも結構難易度があって反射神経やタイミングを要求する内容なので人によっては実力的な詰みに至りうり、そうでなくとも他ステージのうっぷんを晴らすかのように即死トラップてんこ盛りのストレスフルなステージ設計があまり面白くない。
 ここを思い切ればもう少し勧めやすいのにと思う、人を選ぶ佳作と言った一作である。




「SKYHILL (スカイ・ヒル)

開発Upper One Games、Mandragora
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/382140/SKYHILL/
公式ページhttp://mandragoragames.com/skyhillgame/ (公式サイト内ページ)
リリース日2015年10月06日
人気タグ「サバイバル」「ローグライク」「メトロイドヴァニア」ほか
日本語サポート機械翻訳(yeahありませんどのような問題)

 モンスターであふれかえった地上100階の高層ホテルから脱出を目指すという概要のローグライクゲーム。
 ゲームはサイドビューで進行し、ホテルのワンフロアは「階段・エレベーター」とその左右にある「部屋」で構成され、これを何層も降りてゆくという構成となる。
 しかし部屋やフロアを移動するごとに「満腹度」が減り、減ると言うのに食材アイテムの「調理」は最上階のスイートでしか行えないというシビアな設定。
 「エレベーター」を使えば一気に最上階まで上がれる反面、途中のフロアで故障があった場合はエレベーターが動作せず、修理には特定の素材か不特定の満腹度を消費する必要がある。
 逆に故障さえなければ未探索のフロアを飛ばして下に降りることも可能であり、探索を優先するか・今ある資源で強引に修理を図るか・修理もせず地上へ駆け降りるかといったジレンマが面白みとなるゲームである。

 ・・・が、各部屋で手に入るアイテムが非常に少なくカラと言うのもザラ、中に入るまで様子を予想する手段がほぼなく、資源に固定的な入手法が乏しく運次第で餓死必至という、早い話が大概な運ゲーである。
 ゲームの途中で怪物と化した肉親とどう向き合うか、怪物に囲まれた極限状況で何を犠牲に生き延びるか、といったドキュメントが手に入り読み物として楽しめる部分もあるはずなのだが、これも残念過ぎる機械翻訳のせいで笑いに変わりかねないのがなんともかんともだ。
 同様のローグライクゲームとしては「Home Behind」などもう多少工夫の余地があるゲームもあるので、本作こそはと推すとすれば「極限状態の高層ホテルに軟禁状態となる」という雰囲気やビジュアルに魅力を見出すかどうかだろう。
 100〜80階までをプレイ可能な無料のデモ版があるので、もしもこれが気に入るようであればもう80階分の繰り返しがある製品版を検討してみよう。




「Teslagrad (テスラグラッド)

開発Upper One Games、Rain Games
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/249590/Teslagrad/
公式ページhttps://teslagrad.com/
リリース日2013年12月14日
人気タグ「プラットフォーマー」「パズル」「メトロイドヴァニア」ほか
日本語サポートなし(支障はほとんどない)

 スチームパンク的な世界観を舞台としたメトロイドヴァニア系2Dアクションアドベンチャー。
 ゲーム内にテキストや台詞が極端に乏しく劇中劇やタペストリー?から物語を想像するほかないが・・・電気や磁力を操ることができる魔法使いの一族がとある国の王にその力を授けた結果、野心に取り付かれた王が乱心し魔法使いの一族を迫害、唯一逃げおおせた少年が一族の秘術を身に着けるため「テスラの塔」の試練に挑む・・・とこういう感じだろうか。
 作中ではこの「電気と磁力」を使った仕掛けを解くことが中心となり、戦闘などのアクション要素はそれほど厳しくはない。
 具体的な仕掛けとしては、例えば特定のブロックに触れることで「赤」か「青」の磁力を帯びさせ、吸着したり反発したりする作用を利用するといったもの。
 「青」の床の上に「無色」のプレートが乗っていた場合この上に乗って「青」の磁力を帯びさせることで反発させ浮上する足場とすることができ、また逆に「赤」の磁力を帯びさせて床に戻したり別の青のブロック ―例えば天井や壁など― に固定したりすることができる。
 またゲーム内では主人公自身が磁力を帯びる場面もあり、これまた反発を駆使した大ジャンプや吸着を駆使した天井や壁への張り付きとして小気味よくギミックを解くアクションとなることとなる。
 「青」で触れるか「赤」で触れるか、このシンプルな二択によってゲーム内の様々なギミックが全く異なる2つの動作を見せるのがシンプルにして奥の深い本作の醍醐味だ。

 グラフィック面でもぬるぬる動く2Dキャラクターやスチームパンク的ギミックに満ちた「塔」など見ごたえがあり、難易度も手ごろ、日本語サポートは全くないがそもそも作中に文章がほとんど登場しない都合から困ることも特にないなどとっつきやすい。
 最初のボスまでをプレイできるデモ版もあるので、スチームパンクやアクションパズルなど何かしら気になる側面があれば先ずは触ってみることを勧めよう。




「Fallout: New Vegas (フォールアウト:ニューベガス)

開発Obsidian Entertainment
Steamページhttps://store.steampowered.com/app/22380/Fallout_New_Vegas/
公式ページhttps://fallout.bethesda.net/ja/ (シリーズ総合サイト、日本語)
リリース日2010年10月22日
人気タグ「オープンワールド」「RPG」「ポストアポカリプス」ほか
日本語サポートなし(Steam版には日本語未収録。MODで字幕対応させる必要あり)

 今回のラストは言わずと知れた「フォールアウト」シリーズから。すでに10年前のゲームとなりグラフィックも見劣りするとはいえSteamではとんでもなく低価格で、数百時間たっぷりと楽しめる内容なので未プレイの人は今回ぜひ興味を持ってほしい。
 「フォールアウト」シリーズは核戦争の脅威によって歪に発展・崩壊した1950年代から300年後のアメリカを描いたSFポストアポカリプス作品だ。
 舞台となるのは水も緑も消え果た弱肉強食の荒野と、しかしなおたくましく生きる人間たち、暴力と騙し合いと、それからほんのちょっとの良心が残された退廃的な世界である。
 またアメリカンドリームに満ちていた鮮やかな過去と灰と硝煙に煤けた現在の対比は、日本人にとっても郷愁やわびさびを感じさせる感慨深さがある。
 こうした世界観のもとでプレイヤーは自らの得意技や行動を自由に設定し冒険の目標を達成してゆくという「ロールプレイ」を楽しむこととなり、この選択の幅が最高に魅力的であるシリーズなのだ。
 「ニューベガス」はシリーズでは第四作に当たり、第三作「フォールアウト3」のシステムを引き継いで3Dアクションアドベンチャーとしつつ、ゲーム世界は第二作のその後を描いた作品と言うことになる。
 結果世界観を説明する単語がいくつか、例えば「グール」や「Vault」の存在が「常識」として説明されないまま進んでしまうのだが・・・反面物語の主題は地域の主権を巡る人間同士の抗争という普遍的なテーマなので、まあプレイの上でそれほどの支障はないだろう。
 むしろ、「ニューベガス」については5つの点でシリーズ入門編として勧めてもよい。
 (というべきか、あまり言うべきではないが後の「4」と「76」が残念寄りだった。

 一つは「バトルシステムの柔軟性」について。
 実は原型となった「フォールアウト3」は旧作である「1」・「2」とは開発が異なり、システムも大きく異なっている。
 これには旧シリーズの開発がとん挫したことや、「オブリビオン」を開発した「ベゼスダ」がシリーズの権利を購入し代表作のシステムを応用したことといった経緯があるのだが、ともあれ本作は3Dアクションアドベンチャーだ。
 視点として肩越し視点と主観視点を選択することが出来て没入感が高く、銃や刃物などでリアルタイムに攻撃を応酬する緊張感が楽しめるほか、一方で「V.A.T.S.」というシステムによってキャラクターの派手なアクションやせわしない操作を必要としない半自動戦闘を展開することもできる。
 「V.A.T.S.」は所定のポイントを消費することでゲームの時間を止めながら任意の攻撃コマンドを設定し、実行させることができるというもの。
 これによって繰り出す攻撃は主人公を第三者のカメラワークで写したダイナミックな演出となり、動作中の威力や防御力にもボーナスがかかって有効度が高くなる。
 移動や回避はどうしてもリアルタイムになるが、エイム力や突発的な対処力に不安があるというプレイヤーでも操作しやすく見て楽しい補佐となるわけである。

 とはいえ、さらに「ニューベガス」では銃系武器の操作として「アイアンサイト」を用意し、銃の照星を使ったよりリアルなエイムもまた可能としている。
 これが第二の点。「ガンシューティングゲームとしての個性」である。
 ニューベガスの題の通り本作の舞台はアメリカ西部ネバダ州、西部劇をモチーフにした武器が豊富に登場しているのだ。
 取り回しの良いリボルバー式拳銃に、害獣撃退用の単発式ライフル、敵に当てやすいソードオフしたショットガンといったものである。
 またこれらの銃に使用する弾丸は「リロードベンチ」で製造やカスタムが可能であり、生身に有効なホロ―ポイント弾や装甲持ちに有効なAP弾をコツコツ自作して撃ち分けるなんて要素もある。
 ほか銃器以外でもダイナマイトや手斧、ボウイナイフといった武器で戦うこともできる。
 これら武器のバリエーションや「アイアンサイト」の登場、またエイム操作への対応は「3」から大きくパワーアップした点だ。
 敵のAIも悪くはなく遠距離や消音武器による「ステルス」を駆使すればこちらを索敵しようと慌てる敵を一方的に殲滅することも、あるいはあえて見つかることでダイナマイトに誘い込み一気に爆破することも可能であり、戦術を凝らす楽しみがある。
 もちろん、一方でオールドフューチャー感のある派手なレーザー銃やプラズマライフルといったシリーズの顔も健在で、野球バットや金属パイプでヒャッハーする選択肢もいい。
 FPSに慣れたプレイヤーにおいても、本作には満足のいく戦闘を楽しめるはずだ。

 それから、本作においてはもう一つ強力な武器として「話術」の存在も忘れてはならないだろう。
 第三の点として「ロールプレイの幅」を挙げよう。
 本作の主人公はシリーズ中でも特にバックストーリーが非常に希薄で、DLCを除けば「運送業を行っていたウェイストランド人」、「頭に二発の銃弾を喰らってから蘇生された」くらいの説明しかない。
 つまり、シリーズ中でも特に年齢、経歴、能力など多くの領域をプレイヤーの想像にゆだねているわけだ。
 キャラクターは「S.P.E.C.I.A.L.」と表現される素質や各種の技能を表す「スキル」、特殊技能「Perk」や「Traits」の構成によって全く異なる人物像を得るようになり、正義のガンマンも悪の格闘家も表現することができる。
 そして特に、「ニューベガス」では会話による説得の効果が高く、プレイヤーが伸ばした銃や爆発物の「スキル」をそのまま物語にも応用することができる。
 銃で脅してきた相手に対して話術でなだめる選択肢のほか、銃器の知識を生かして安全装置がかかったままだなどとハッタリをかける選択肢もある、といった具合である。
 時には、その気になれば非暴力を貫いてラスボスすら説得でしのいでしまうことが可能なのだ。
 この話術やキャラクタービルドの自由度に関しては本作こそはと勧めておきたい点だ。

 もっとも、「ラスボス」と表現してもそれが誰になるかは決まっていない。
 あまり詳しく語りたくないが「ストーリーの展開」を四つ目に挙げることとする。
 「ニューベガス」では「NCR」と「シーザー・リージョン」という二大組織の抗争と、それらに対して自治権を守ろうとするベガスの街との思惑が入り乱れたストーリーが展開され、プレイヤーがどの勢力に協力するかで物語のクライマックスやエンディングは異なるものとなるのである。
 特にエンディングはそれまでプレイヤーが関わった町や組織のその後を語る内容となり、プレイの集大成としてシリーズでも特に感慨深いものとなるだろう。
 一方で物語の冒頭は「頭に二発の銃弾」を喰らわせた人物の足跡をたどるという目的が提示され、中盤までのゲームは分かりやすい順路が定められたような形となっている。
 マップも山脈(見えない壁)や危険生物によっていくつかの道を断たれており、これを自由度が低いとみるか迷いづらくてよいとみるかは賛否あるところだろう。
 もっとも、シリーズ未経験者に勧めるとすればこれは利点としてこそ評価したい。

 そして最後の点に挙げるのは「モハビ・ウェイストランド」という世界観の魅力だ。
 シリーズは核戦争によって一度人類が滅びかけた世界を描いているが、「ニューベガス」だけはある重要人物の活躍によって核ミサイルの直撃を免れ多くの街や自然が守られた区画である。
 このためゲーム内の生活圏にはプレイ可能なカジノやホテルが姿を残す「ストリップ地区」、ストリップ地区にあぶれた者たちが身を寄せ合う「フリーサイド」、あるいは略奪者の巣窟と化した「サウスベガス跡地」、と生活水準に大きな開きがあり、戦前のアメリカンドリームも戦後のポストアポカリプスも一つの物語の中で楽しむことができるわけだ。
 一方で居住地とそうでない場所とは明快にメリハリが付けられており、乾湖や川沿いなどの自然が残されているのも冒険に変化が付いて楽しいところ。
 個人的に一押しなのははぐれ者たちが集うモーテル「NOVAC」。
 巨大な恐竜(というか怪獣と言うか)の模型が看板を抱えたコミカルなランドマークに、明快な「自宅」として購入できる部屋、十字に道が伸びた分岐点でもあり、医者・狙撃手・元パイロットと多様な住人たちが暮らす、と冒険の拠点として気分を盛り上げる要素がたくさんある土地である。
 それから、本作には「ハードコアモード」という設定が選択できる。
 このモードをONにすると「飢え」と「渇き」、「眠気」の概念が出来て定期的に飲食や睡眠をとる必要が出、より生活感のあるロールプレイを楽しめるようになる。
 渇きをいやす水場や食材を調達するための狩場、ベッドのある拠点など通常モードではあまり気に留めない要素が途端に重要なものとして活きるようになり、本作を隅々まで楽しむために一度はチャレンジしてみてほしい要素である。
 本作のキャッチコピー「Enjoy Your Stay(モハビ滞在をお楽しみください!)」も、こんな世界観を魅力と押し出しての一言だろう。

 それから、数にはカウントできないが魅力的な「MOD」の存在もある。
 日本語化やアイアンサイトの修正(全般が若干左寄りになってしまっている)は導入を推奨するとして、他に必見なのはゲームシステムの近い「フォールアウト3」のコンテンツを丸々合併してしまう「Tales of Two Wastelands」という巨大MODだ。
 脳の一部を切除され二発の弾丸を撃ち込まれたうえ丸々摘出されても支障がなく、アリの遺伝子と樹木の皮膚を持ちつつ放射能を浴びて体力が回復し眠れば放射能が除去される全身にインプラントを行った超人像は筆舌に尽くしがたい。
 Steamではプレイ時間1000時間超えのレビューもちらほら見るが、決して放置では無く実際にそれだけの時間プレイして楽しめる拡張性があるのも本作の魅力なのだ。

 これでいて現在の本体価格は「\980」、今回のセールでは七割引きで「\294」というのだからコスパが良いどころの話ではない。
 ハマると長い、という点で多少覚悟がいるが、幅広い人に勧めることができる傑作の一つである。




 毎週新たなゲームとの出会いがある「Steam」。
 まだまだ紹介し足り無い気もするが、今回はひとまずここまでとしたい。




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