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蒼空そうくうつばさ -GOTHA WORLDゴータワールド-


プラットフォームセガサターン
プレイステーション
開発マイクロネット
発売マイクロネット
発売年月日1997年 11月(SS)
1997年 12月(PS)
ジャンルシミュレーション
プレイ人数1〜2人(対戦モードあり)
セーブデータ1つ70ブロック、3ファイルまで(SS)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
極めて煩雑 浅い アニメ的 フルボイス 高難易度 戦闘マップはほぼ雲一色





・ゲーム概要

 1997年にSSとPS両方にリリースされたシミュレーションゲーム。
 航空機技術が異常発達した異世界を舞台にしたウォーシミュレーションゲームであり、パッケージ裏では
 「複数の武器を自由に選択できる新攻撃システム」と
 「時間軸の矛盾を解消する新方式パーソナルタイムシステム」の2つを独自の新機能・新システムを満載!という言葉でアピールしている。

 2つで満載・・・?というツッコミはこらえるとして、従来の「ターン制」と「リアルタイム制」2つの方式の欠点を補う新方式「パーソナルタイムシステム」に挑戦的な精神を感じる一本である。
 (いつものフラグである

 なお、プレイステーション版を未所持のため以下のレビューはセガサターン版を基準に行うものとする。


・世界観

 大陸が雲海に浮かび、船が雲間を舞う世界、ゴータワールド―――――――
 その世界は、反重力物質によって支えられ、人々は空中に浮かぶ大陸の上で暮らしていた。
 各大陸間は雲の海によって隔てられ、「船」と呼ばれる乗り物が唯一の交通手段となっていた。
 雲海の重力均衡面に浮遊するだけの「船」が、人類の文明を大きく発展させてきたのは云うまでもない。
 だが、その文明を脅かすのもまた「船」の存在なのである。海賊の出現と共に、各地で戦闘用の「船」が造られ、それらによる戦闘は年々激しさを増していった。

 海賊ギルドという組織に統合され、さらに勢力を伸ばす中、たった一部隊でそれらに立ち向かっていった者達がいた。のちにイスマイリア戦役と呼ばれるその戦いは、海賊ギルドの首領アラグアヤの敗北によって、その幕を閉じた。
 そして14年――――――――――――――――――――――――――――

 首領アラグアヤ亡き後、一度は滅びてしまった海賊も、年々復活の兆しを見せていた。数年前、ラグアという新しい指導者が現れたのである。彼によって散発的に動いていた各地の海賊達は一つにまとめられ、組織的な行動が目立つようになっていった。唯一それに対抗できうるであろう軍隊は、平和な時代に定められた法に縛られ、身動きが出来ない状態にあった。

 そして今、ついにラグア自らが表舞台に現れ、都市国家の独立を宣言した。
 海賊ギルドの復活である。

 (説明書より抜粋)

 ・・・軍隊いる?
 なんとも歴史を感じないストーリーである。ある日を境にいきなり悪人が武装を始めたとか、たった一部隊で「戦役」が成立するとか、国家間の争いもなく軍隊が現れる(しかも海賊にも自称国家にも役に立たない)とか、世界観の成立に必然性が乏しく唐突だ。
 また「船」と表現されてはいるが本作のメカニックは揚力を得るための翼を持つ「航空機」というデザインであり、一方ゲーム内ではヘリコプターのようにその場で旋回することができるなど視覚面での説得力にも乏しい。
 加えて一足早くネタバラシすると本作には自由に歩き回って情報収集を行う「街」の概念が存在せず、モブキャラクターから世界観の理解を深めるような場面も全くない。
 世界観だけで語るのはどうかとも思うが、この段階でも本作のストーリーへの期待感はマイナスに傾くだろう。


・パーソナルタイムシステム

 ともかくとして、本作は「船」とされる戦闘機1機を1ユニットとして移動や攻撃を指示してゆくシミュレーションゲームだ。

 本作で特徴的なのは「パーソナルタイムシステム」とやらで、説明書いわく
 「「蒼空の翼」のゲーム進行方式には、従来の「ターン制」と「リアルタイム制」2つの方式の欠点を補う新方式「パーソナルタイムシステム」を採用しています。これは「行動の順番」という不平等を解消する進行方式です。」・・・という。

 確かに、言われてみれば一般的なシミュレーションゲームにおいて、各ユニットごとに順番に行動してゆく「ターン制」はリアリティに問題がないでもない。
 それぞれのユニットが行動している間周囲はお行儀よく完了を待ち、本来であれば同時刻に行われるであろう妨害行動は考慮されることがない。
 行動順に関しても、全力で正面移動して待機した素早い味方ユニットに対して後から移動した緩慢な敵ユニットだけが攻撃を実行できる・・・という点などは理不尽と言えないでもない。

 あるいは、ここで言われているものが片方の勢力の全ユニットが行動してからもう片方の勢力に行動が移るというシステム、当サイトで言う「フェイズ制」であれば不平等はより深刻だ。
 各ユニットの行動の連携を考えやすいこのシステムだが、先に行動する側が手の届くユニットを集中攻撃して数的優位を付けることでその後の展開は一方的になりかねない。
 もっとも、これらはそれがゲームのルールと納得できればわざわざやり玉に挙げるほどの事でもないとは思う。

 一方のリアルタイム制であればなおそのような矛盾や不平等は無いと思うのだが・・・まあ作戦指示中にポーズのかからない仕様だと作戦を熟考できないとかカーソルを動かす距離によって遅れが出るとか言う理不尽はあるので、こちらも完全無欠と言えないのは納得としよう。

 さて、ハードルばかり上がってゆく気がするがそこで本作は「パーソナルタイムシステム」である。
 これはゲーム進行に「時刻」の概念を取り入れ、各ユニットの行動はこの時刻上で何時何分何秒にどこでどんな行動をとるかの「予定」として管理し、各ユニットの予定が出そろったところでいよいよ時計を動かし実行してゆくというシステムだ。
 なるほど全ユニットが一斉に行動するとなれば特定のユニットだけが自由に行動している不自然や、間合いに入った順番によって一方だけが攻撃できるという不平等は解消を期待できるかもしれない。

 実際に指示を出す画面を見ると、ユニットに「移動」を指示するとユニットの位置と共にその位置に到達するであろう時刻を示すタイマーが動き、この表示によって行動にどれだけのラグがかかるのか、他ユニットとの行動をどうすり合わせてゆくのか、といったシステムへの順応を助けている。
 例えば12:00に移動を開始、味方ユニットAが前進して12:05に敵をミサイルで攻撃するとしたら、その敵ユニットが前進を続け12:08にバルカンで反撃するそぶりを見せたとしても、味方ユニットBがAの行動をなぞることで敵を撃破し反撃は未遂に終わる、とこうした戦術が可能なのだ。
 理想論としては

 ところが・・・これまたゲーム画面を見ると、撃破したはずのユニットが再生して反撃したり、静止していたはずのユニットが急発進して攻撃が未遂に終わったり、同時に移動しているはずのユニットがつっかえて足止めを喰らったり、といった不自然・理不尽・大矛盾がこれでもかと発生する
 どういうことかというと、このシステムに反してユニットへの指示は「ターン」の概念のもと1ユニットごとに確定させてゆく必要があり、かつユニットの状態を一切色分けしていないのである

 想像は難しいと思うので順序だって見てみよう。
 先ず「ユニットに指示を出す」手順について。
 本作のシステムであればユニットに出す指示というのは全て「予定」であり、全てのユニットの行動を確定させた段階でようやく実行に移すことになる。
 となればプレイヤーは全ユニットに同時に指示を出して位置や行動を調整し、行動の確定は「実行」コマンド一つでポンと完了するのが無難な形式だ。
 指示の上で他のユニットに干渉するところがあったとしても、実際にユニットがどう動くのかは未定なのだからとりあえず指示を受け付け実行不能な時には「待機」を挟むなどして調整してくれれば問題ない。
 が、本作は1ユニットごとに行動を指示しては確定させる形式を採用し、この結果隊列を組んで動く予定のユニットが静止してつっかえたり後から指示するユニットが後出し的に行動を変えてしまえたりしてしまうこととなった
 特に後出し的に行動を変えられるという点は攻略に必須。機動力の高いユニットを囮にし、敵ユニットが攻撃を指示したのを見て全速力で離脱回避するという戦術は数的不利を覆す際に大いに役立つこととなる。
 これはかなり重篤である。なにせこの攻略こそは本作が解決を狙ったターン制の欠点、「時間軸の矛盾」やら「順番の不平等」やらを利用したものなのだ。
 要するに、このゲームはコンセプトを実現しそこねた失敗作と表現できてしまう

 しかし、指示の出し方に関してはさらに問題がある。「一度に出せる指示の量」である。
 本作のユニットには「アクション」ポイントという概念があり、ターンが回るごとにこの量だけの移動(または限定条件において補給)と、一度の攻撃を指示することができる。
 ・・・矛盾である。
 すべてのユニットが「時刻」の概念のもと行動するとしたら、一度にどれだけの指示を出したとしてもユニットの素早さによって実行できる量には差が出てくる。  となれば、例えば実行フェイズを「5分」などと区切ることで一度に出す指示の量などは自然と限度が付くはずである。アクションポイントなどは本作には不要であるはずなのだ。
 ではこのシステムは蛇足なのかというとそんな甘い話では無く
 アクションポイントがある通りユニットごとに一度に指示できる時間量に差があり、行動が反映される「実行」フェイズはわずかに経過したかと思うとユニット個別の指示フェイズに割りこまれて何度も何度も遮られることになってしまう
 それも、本作のユニットは「船」(という名の航空機)。
 「向き」の概念があって直進するのは早いが後や左右には遅く、それらの方向に向き直ろうにも旋回という手間がかかるという設計であり、本作はこれを十字キーの左右が旋回に相当する「ラジコン操作」でユニットごとに直接操作するよう求めてくる
 的確に指示するとなると何度も旋回の微調整を挟む面倒があるわけだ。
 ・・・この指示の区切りは単純に時間や手間がかかることも問題だが、加えてユニットにいつ、どの順番でターンが回ってくるかわかりづらく、これが上記の問題や次に挙げる問題をことさらに悪化させてしまっている。

 次に挙げる問題というのは「ユニットの状態を一切色分けしていない」問題だ。
 もう嫌な予感しかしないと思うが、本作のシステムであれば指示を出している「現在の時刻の位置」と指示を実行した後の「未来の時刻の位置」の両方を表示する必要が感じられる。
 片方しか表示していないのである
 指示中のユニットは「未来の時刻の位置」だけが表示され・・・すでにこの時刻の行動を指示したユニットは「未来の時刻の位置」が、まだ行動を指示していないユニットは「現在の時刻の位置」が、混在して表示されるのだ
 こんなものだから静止していると解釈したユニットが全速力で突っ込んできたり、撃破予定のユニットが生存状態で表示されて余計な攻撃を誘ったり、と状況把握できないことによる弊害が多発する。

 なお、上記のようにユニットごとに指示を出せる量が違うものだから「未来の時刻の位置」というのも途中で停止する。
 あるユニットに5分未来までの行動を指示した時、その画面内には現在時刻で停止しているユニット、2分未来で停止しているユニット、4分未来で停止しているユニット、6分未来まで動き続けているユニット、が混在して表示されうるのだ。
 一切色分けされていないのである
 もちろん、この場合だと時が動き出した暁には現在、2分未来、4分未来、5分未来、6分未来、で行動の実行が停止し指示を出し直すことになる。
 ちなみにゲーム内の分単位はおおむね現実における秒単位に相当し、敵や友軍の指示フェイズもスキップされずバッチリ個別に実行される。
 システムに欠点しか感じない


・攻撃システム

 さて、一方でパッケージ裏で触れられた「新攻撃システム」というのはあまり特徴がない。
 機体には
 ・正面にしか攻撃・反撃できないが弾数の多いバルカン
 ・攻撃範囲が広く側面にも攻撃・反撃できるが弾数の少ないミサイル・対空ミサイル
 ・攻撃範囲が広く側面にも攻撃・反撃でき弾数にも余裕があるキャノン
 から数種類の武装(いずれも固定)が積んであり、攻撃を行う場合はこれらから適当な装備のオンオフを選択して一斉発射する・・・というものがそうらしい。

 ただ本作の「攻撃」はそもそもの威力が隠しパラメータというトンデモ仕様、その他にも命中率や運による回避、距離や機体の向きによる損害の差などダメージに干渉する要素が多数あるらしく、攻撃前に「ダメージ予想」なども出ないうえ、下手をすると普通の戦闘機ユニット同士でさえ3機がかりで全武装を撃ち込んでなお撃破に至らないなどダメージバランスが渋い。
 要するに弾をケチると仕留めきれないという不測のリスクを背負い込む形となり・・・というべきかバルカン以外みんなほぼ全方位に撃て、弾数に余裕のあるバルカンに限って使える場面が限られる(=反撃で使えない分余計に余る)という不合理な設定なので可能な限り機体正面に捉えて全弾ブチ込むか旋回をケチってバルカン以外をブチ込むか、くらいしか選択肢がないだろう。

 普段ふかん視点のゲームが攻撃指示の時だけ機体基準の視点に切り替わる、という要素もあるが、目標との間に他の機体が入り込んでも攻撃はすり抜けるなど演出以上のものでは無くパッとしない。

 ・・・なお、この攻撃動作はごく短い時間で完了するという想定で、ミサイルであっても即着弾するものとして扱われる
 少し話を戻すが攻撃の指示も「1ターンにつき1回」出せるのみ、かつ1ターンとはユニットによって長さが異なるという設計なので、この点もターン制の欠点とした「時間」と「手数」の矛盾を抱えていると言えるだろうか。
 機動力が高いという設定の「フィオリア専用機」はターンが多く回ってくる分頻繁に指示を出す必要があり、重武装している「ラッド専用機」はなかなか指示を出せないので装備に反してあまり攻撃力がない、とどちらにとっても難点が目立つ。
 ちなみに攻撃に対して「反撃」できるシステムもあるが、これはわずかにクールタイムがあるものの通常攻撃とそん色ない威力の攻撃を被弾するごとに繰り出すことができる。
 「ラッド専用機」は盾として敵の攻撃を受けさせると普段からは想像もつかないような猛反撃を可能とするだろう。
 やっぱイロイロ矛盾してね?


・ゲーム進行

 世界観とゲームシステムに問題があるという時点で処置無しとは思うが、ダメ押しとしてゲーム全体の進行システムについても見てみたい。
 本作はゲーム全体を「話」に区切り、キャラクターたちの会話イベントののち作戦マップに突入、ユニットの配置などを行ってから上記のような面倒な指示を繰り返し目標の達成を目指してゆく。
 本作の作戦は「敵の全滅」に留まらず旗艦のマップからの「脱出」(所定の座標に到達)や一定時間の「防衛」、特に変わったものになると「敵機体数の索敵・報告」なんて目標もありバリエーションに富む。
 また会話イベントは画面全体にキャラクターのバストアップが表示され、フルボイスでストーリーが進行するというアニメを強く意識した設計だ。
 この会話パートに関しては「テキスト送りに相当するボタンが無く、完全自動送りで進行する」という融通の無さが問題だがまあここは許容しておこう。

 問題視したいのは、まず一つにゲーム進行に自由度が無く、レベル上げや強力な装備を揃えることで難易度を緩和できないという点。
 本作は攻略に行き詰まったとしてもその時点の戦力でどうにか攻略方法を見つけるしかなく、敵が圧倒的に多数であったり高火力であったりといったステージでもおとりや遊撃を駆使してなんとか食い下がってゆかなければならない。
 傾向を言ってしまえば、本作はシステムの煩雑さを抜きにしても高難易度なのだ。

 ・・・を踏まえたうえで、もう一つ挙げる難点は各マップで受けた損害は繰り越されるという点。
 辛うじて各ユニットには損害とならない「シールド」の余地があり、各話ごとに数回分の修理コマンド(1つ20%回復)が補給されるものの、回数が限られる都合上その後のゲーム進行で詰んでしまわないかという不安がついて回ることとなる。
 また各機体には能力と疲労度の概念がある「パイロット」が搭乗しており、疲労度については十分に検証していないものの溜まりすぎないよう主力であっても適度に出撃を控える必要があると言うことらしい。
 話数で区切られていることからこまめにセーブしたいところだがこうした仕様からためらわれ、ともすれば時間のかかる煩雑なシステムの上で同じマップを再トライする必要も出てくる、問題のある設計であるように思う。

 なお、さすがに敵全滅を目標とした総力戦の後はあまり被害を受けない小休止的なマップが続くことが多いが、被害が無いから難しくない、とはならないのが本作の難易度設定である


・主要キャラクター

 ・ライカ (CV:伊藤健太郎)
 本作の主役。船乗りとしての天性の素質と雲海への強い憧れを持つが、軍人や争いを嫌い一人で突っ走ろうとするところがある。
 物語の大詰めまで海賊にも海賊と戦う主人公側にも強い嫌悪感を示し戦力になろうとしない。
 専用機も天才性の演出としてレーダーなどが積まれていないらしく、ライカのターンではミニマップが表示されないなどプレイヤーにとばっちりを与える形で表現されている

 ・船長(デフォルトネーム無し) (CV:大塚明夫)
 本作の主人公。イスマイリア戦役の英雄・シングの遺志を継ぎ警備組織「バーゼル隊」を組織した経験豊富な正義漢。
 周囲が無能すぎて相対的に有能に見えるタイプの天運の持ち主。

 ・クリシュナ (CV:冬間由美)
 本作のヒロイン?やり手の女商人で船長とは古くからの知り合い。ライカに船を融通したことで二人を引き合わせる橋渡しとなった。

 ・エレーヌ (CV:西村ちなみ)
 本作のヒロイン?ライカに助けられる謎の少女だが登場は物語の折り返しになってからとひどく遅い。

 ・ラッド (CV:三木眞一郎)
 バーゼル隊のムードメーカー。お調子者だが責任感は強く、年長者としてライカの指導に当たる一面もある。

 ・フィオリア (CV:根谷美智子)
 バーゼル隊のエースパイロット。不愛想で近寄りがたいところがあるが根は面倒見の良い女性。
 専用の軽戦闘機は攻撃力と格闘性能が非常に高く、攪乱から対艦攻撃まで幅広い作戦で主力となりうるだろう。

 ・ンギーグエ (CV:梁田清之)
 海賊ギルドの指揮官の一人。序盤で退場する野蛮で脳筋なやられ役・・・だが本作屈指の高難易度ステージの担当。

 ・アルニラム (CV:子安武人)
 海賊ギルドの指揮官の一人。海賊らしくないと評される謎のある美形幹部。

 ・ラグア (CV:若本規夫)
 謎に包まれた海賊ギルドの首領。いったいなにものなんだ・・・


・まとめ

 「パーソナルタイムシステム」という着想自体は間違っていなかったと思うが、その実現方法を間違えまくったという調子の一本。
 結論から言えば作戦時にポーズのかかるRTSが正解で良かったんじゃね?という感想を禁じ得ない。
 いたずらに分かりづらくしたばかりか、ターン制ならではの静的な状況の明快さや各ユニットの行動の独立性、それらから許容できるユニットの多様な技能といった利点はまったくかえりみられていない。
 敵味方が同時に動くことで時間軸の矛盾や不平等を解消するというアプローチは1995年の「クォヴァディス」や2000年の「ガンホーブリゲイド」などしばしば取り組まれてきたものだが、比較してしまうと本作は課題視したはずの矛盾や不平等こそを強調した内容と映るだろう。

 ストーリー面を見てみると、主役の少年の成長を見守る物語という体であるもののひたすら反抗的で戦力にもなろうとしないライカというキャラクターが魅力的と言い難く、キーパーソンとなるはずの「謎の少女」の登場が遅い通り話の起伏にも乏しく、軍隊の機能不全を筆頭に世界観にも説得力がない。
 声優陣がやたらと豪華でアニメらしい見せ方をしてはいるものの、そこだけで評価するのは厳しいところだろう。
 どうしても航空機を題材としたシミュレーションゲームがやりたいのだ、というほどでなければ勧め難い一作である。





・関連作品

ガンホーブリゲイド作戦フェイズと実行フェイズを分けることでシミュレーションの時間的な矛盾の解消を行った一つの例。
実行フェイズがやや冗長な感もあるが・・・。
クォヴァディス作戦フェイズと実行フェイズを分けることでシミュレーションの時間的な矛盾の解消を行った一つの例。
・・・ただ、作戦中に登場するユニット数が極端に少なかったり宇宙を理由に地形の概念が一切無かったりなどシミュレーションとしての出来はそれほどでもない。
・ヴァンダルハーツII 〜天上の門〜作戦フェイズと実行フェイズを分けることでシミュレーションの時間的な矛盾の解消を行った一つの例。
プレイヤーユニット1体と敵ユニット1体が同時に行動するというシステムで、相手の行動を予測した戦術の重要度が高い。
・わんダービークルズ作戦中にタイムがかかるRTSの例の一つ。
タクティクスビギナー向けの分かりやすさを重視したデザインで、犬や猿を擬人化した登場人物やジャンケンの相性があるユニットなどの親しみやすさが魅力。
ただしプレミアゲーである・・・。
ベルデセルバ戦記航空機が異常発達した異世界を舞台にした3DシューティングRPG。
世界観的に近い物があるだろう。


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