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神機世界しんきせかい EVOLUTIONエヴォリューション


プラットフォームドリームキャスト
開発スティング
発売セガ
発売年月日1999年 1月
ジャンルRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ8ブロック、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
ダンジョンもの風 冒険活劇 アニメ調 冒険感あり 易しめ クリア後も冒険可能





・ゲーム概要

 1999年にリリースされたシンプルなRPG。
 びっくりメカを操る冒険家の少年を主人公、主人公の元を訪れた謎の少女をヒロインとした少年向けアニメのような作風と、入るたびに構造の異なるダンジョンを攻略してゆくシンプルなゲームスタイルで構成されたカジュアルな作品だ。
 作風に反してキャラクターのボイスが乏しく物足りなさも残るのだが、「2」ではここをイベントシーンフルボイスの豪華なつくりにしているので本作が気に入ればそちらにも期待してみよう。


・ストーリー

 [世界設定]
 先史の超文明が滅んで何万年も過ぎた後の世界。
 後発の人類の文明が、潜水艦や航空機などを作ることができるまでに進化した西方歴930年代も終わり頃。
 先史文明の遺跡から発掘された道具―サイフレーム―を持つ者は「冒険家」、あるいは「サイフレーム使い」と呼ばれ、先史文明の調査機関「ソシエテ」の依頼を受けながら遺跡の発掘を生業としていた。

 [プロローグ]
 代々著名な冒険家を排出し、名門を誇っていたランチャー家。
 しかし、かつての名声は消え、今は没落してゆく一方だった。
 主人公のマグはそんなランチャー家の一人息子で、両親のような一流の冒険家になることを夢見ていた。
 両親が冒険に出たまま行方不明となって一ヵ月たったある日、一人の少女が父からの手紙を持ってマグの元を訪れた。
 手紙には、「私が戻るまで、この子、リニアを守ってやってくれ。頼んだぞ、マグ。」とだけ書かれていた。
 こうして執事グレの見守る中、マグとリニアは遺跡を探検する毎日を送っていたのだが、第8帝国軍が現れたその日から、マグの本当の冒険が始まった。

 (説明書より抜粋)

 [第8帝国]
 現行人類の中で8番目に成立したと思われる(?)国家で、強大な軍事力を持つ帝国。
 人類に強大な力をもたらすという先史文明の遺物「エヴォルシア」を求めてこの街に軍艦を派遣し、同じくエヴォルシアの発見を悲願とするランチャー家のマグにも接触を試みた。


 ある程度アニメを見慣れた人にとっては、あらすじから結末が想像できるくらいの王道的内容だろうか。
 続編を前提にしてか物語は区切り程度の段階で終わるので、1クール目相当くらいに思ってみよう。


・キャラクター

 本作のキャラクターは時代相応に粗いポリゴンではあるが、表情のテクスチャが豊かでアニメ的なので十分に見ごたえがある。
 戦闘中の掛け声以外にボイスが付いていないのが残念だが、会話の内容や戦闘時のアクションでころころと表情が変わる様は見ていて楽しいものだろう。

 ・マグ・ランチャー
 本編の主人公。両親が著名な冒険家だった為、幼い頃からその影響を受け、自分もその職業を志すようになる。
 ランチャー家の一族は代々共和国の学会「ソシエテ」とつながりがあり、そのため今回の依頼を受けることになる。
 性格は短気で挑発に乗りやすいが、挫けず諦めない。巨大な手が飛び出すサイフレームを使う。

 サイフレームはマジックハンドの飛び出すリュックといったデザイン。
 これで敵を直接殴ったり大きな武器を振り回したりする戦士タイプで、設定的にはこのマジックハンドで遺跡の障壁を乗り越えたり罠を防いだりしているようだ。

 ・リニア
 本編のヒロイン。口がきけず、素性も分からないが、唯一心を開いている人間がマグである為、一緒に冒険に出かける。
 性格はおとなしく、消極的で生真面目。自分が他の人達と何か違うことを気にしている。
 正確な年齢は不明。色白のつぶらな瞳の少女。サイフレーム使いではない。

 サイフレームを装備できないが、不思議なおまじないやオカリナの音で味方をフォローする特技を持つヒーラー・吟遊詩人的キャラクター。
 基本的に固定メンバーで、マグと二人だけでもパーティーのバランスはほぼ取れている。

 ・グレ・ネイド
 ランチャー家の執事。マグのことをいつも「ぼっちゃん」と呼ぶ為、マグに煙たがられている。
 しかし見た目とは違い、冒険、戦闘などの危機管理能力が高い為、実はかなり頼りにされている。

 サイフレーム使いではないが、猟銃での射撃や巧みな話術、マグ限定のサポート能力などで多芸に活躍する。

 ・チェイン・ガン
 ランチャー家のライバル、ガン家の一人娘。
 ガン家には息子が生まれなかった為、半強制的に冒険家としての英才教育を受けさせられる。
 代々ランチャー家とガン家は犬猿の間柄だが、彼女はマグが気になっている。
 気性が荒く、ワガママ、負けず嫌い。冒険者としての能力はマグと互角。
 背が低く、あばずれ言葉で喋る。剣型のサイフレームを使う。

 サイフレームはブレードの付いたジェットパックといったデザインで、本人よりも大きく「着られている」ような外見。
 空を飛んだり敵に体当たりしたりと活用しており、一定の範囲の敵をまとめて攻撃する範囲攻撃役として道中での活躍度が高い。

 ・ペッパー・ボックス
 第三国からやってきた女冒険家。性格は明朗で快活。
 ひょんなことからマグの仲間になる。
 ワイルドでセクシーでダイナマイトな大人の女性。バズーカー型のサイフレームを使う。

 サイフレームは腰に結わえた大筒といった小ぶりなデザイン。
 射撃武器と言うことで後列からでも攻撃力に影響が無く、範囲攻撃も可能という強力な遠隔キャラクターだ。

 ・皇太子オイゲン・ルイトポルト
 本編の敵役。第8帝国の皇太子にして派遣部隊の司令官、階級は上級大将。
 やることなすことに特権階級意識がにじみでたイヤミなヤツで、マグを見かけで使い走りと判断したりリニアに色目を使ったりと初対面から最悪の雰囲気で接することになる。
 「エヴォルシア」に対してはそれなりの執着心があり、全てに優先してその発見を急いでいるようだ。

 (斜線部はいずれも説明書より抜粋)


・システム

 本作はシンプルなダンジョン探索ゲームで、全5種類(+ラストダンジョン)のダンジョンから1つづつを選択して街と往復しながら攻略してゆく流れ。
 ダンジョンは入るたびに構造が変わるがアイテムは自由に持ち込めるしレベルも変動しないので、ローグライクと言うこともなくじっくりレベルや装備を整えれば攻略できるバランスだ。
 全滅してもゲームオーバーとならず街から再出発となるし、ダンジョンに再挑戦する際は到達した層までで好きな階から再開もできる。

 戦闘はシンボルエンカウント式で、進行は素早いキャラほど行動回数が増えるオーダー制、前・中・後列の概念があり、特殊行動には通常攻撃や防御で回復する「FP」を消費する。
 一度に持ち歩けるアイテムは「32個」までだが、自宅に「100個」ぶんの倉庫があるのでアイテムを集める楽しみもそれなりにある。

 そんな本作の特徴的なシステムとしては「サイフレーム」と「TP」、「ランチャー家の借金」、あたりがあるだろうか。
 まずは「サイフレーム」だが、サイフレーム使いであるマグ、チェイン、ペッパー、の3人は武器である「サイフレーム」を「スロット数」に応じて複数装備することができる。
 例えば、チェインは「ブレードパーツ」による体当たり攻撃を中心とするほか最初から「炎ブレードパーツ」を持っていて炎属性を付与した攻撃を行うこともでき、また遠距離攻撃が可能になる「ソーサーパーツ」や隊列を操作しつつ攻撃できる「ジェットパーツ」がダンジョンの中で見つかり、そのたびに戦闘での選択肢が増えてゆくという具合だ。
 これらを一度に装備できる数が「スロット数」として制限されているわけだが、これの上限を拡張する「改造キット」もダンジョンの中で見つけることができるのでひたすら探索をがんばるとよい。
 また特定のステータスを補強する「〇〇ブースト」というパーツもあり、これを乗せに乗せて基本パーツだけで戦うというのも一つの戦法なのである程度好みに沿ってカスタマイズしよう。

 さて、これら「サイフレーム」を活かした攻撃は「FP」を消費する「必殺技」という扱いになっており、敵を倒して溜めた「TP」を消費して習得することができる。
 この習得に関しては戦闘中の好きなターンに習得することもでき、この際はFPを消費せず発動するというオマケもつく
 強敵との戦闘でピンチに陥った時に新必殺技を閃いて逆転というのはある種のセオリーと言えるが、まあそんな趣だ。

 それから、ユニークなのが「ランチャー家の借金」だろう。
 ゲーム開始時点でマグは「ソシエテ」に多額の借金を抱えており、これを返済し終えるまでダンジョンクリア時の報奨金を天引きされてしまう
 またダンジョン内で全滅した場合は「ソシエテ」に救出されてさらに借金を作ってしまう
 おまけにチェインとペッパーを仲間に入れた状態でダンジョンをクリアすると報奨金の一部を「取り分」として渡さなければならない
 装備の強化やアイテムの購入にも入り用となるというのに、ランチャー家の台所事情はかくも厳しい物なのである。

 ・・・といっても、ダンジョンで見つかる「鑑定品」などを換金していれば所持金に困ることはあまりないはずだ。
 ゲームと言うことで借金を完全に返済してしまうことももちろん可能なのだが、この「借金まみれのヒーロー像」というのはスラップスティック的なキャラクターの演出と言うところだろう。


・まとめ

 ストーリーや視覚面のデザインはアニメ風で楽しく、システム面はダンジョン探索の体を取りつつ地道に成長して攻略できる易しい難易度、どちらもとっつきやすくやる側も見る側も楽しめるファミリー向けといったRPG。
 とはいえシステム面の特徴に乏しく、ダンジョン探索はローグライクの緊張感も頭をひねる謎解き要素もないので単調と言えるもの。
 ある程度ゲームに慣れたプレイヤーにとっては物足りない、無難な内容ともなるだろう。

 まとめればゲームに不慣れだがアニメが好きで自分で「冒険」する体験に興味があるといった、ライトユーザーにおすすめするゲームソフトと言うところだ。
 もっとも、現在ドリームキャストを所有するライトユーザーという前提がすでにあり得ない感もあるのだが。


・ワンポイント攻略

 ・リニアやグレのステータス上昇・下降系の技は重ね掛け可能。戦闘中ずっと持続するので活用すればとても強力だ。
 ・ダンジョンの敵レベルは「ダンジョンを開始した時のマグのレベル」で決まる。攻略に必要なレベルの目安にしよう。
 ・ただしラスボスは「戦闘開始時のマグのレベル」になり、単にレベルを上げるだけではかえって苦戦してしまう。グレの補助をうまく活用しよう。
 ・どうしても難しい時はわざとマグを戦闘不能にして放置することで、仲間のレベルだけを上げてラクラククリアするという手もある。ただどうかというと邪道の類だ。





・関連作品

・神機世界 エヴォリューション2 遠い約束続編。アイテムの合成システムや仕掛けのある構造固定ダンジョンといった要素を加えたが、最大の変更はイベントシーンフルボイスにパワーアップした点だ。
・神機世界 エヴォルシア1・2をセットにしたゲームキューブ移植版。
未プレイにつき、データの引継ぎなど詳細は不明。
・神機世界 エヴォリューション はてしないダンジョンネオジオポケットカラー用の外伝?
未プレイ&プレミアゲーにつき詳細不明。


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