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FIGHTERSファイターズ IMPACTインパクト


プラットフォームアーケード、プレイステーション
開発ポリゴンマジック
発売タイトー
発売年月日1996年(AC)
1997年 4月(PS)
ジャンル3D格闘
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
先進的 ゲーム内では希薄 ぬるぬる動く 迫力あり 非常にアグレッシブ キャラクターのバックボーンは攻略本などを参照の事





・ゲーム概要

 1996〜7年にタイトーからリリースされた3D格闘ゲーム。
 実在の格闘技からモーションを取り込んだ本格志向のゲームデザインを持ち、システム上の最大の特徴はキャラクターの持つ技の大半を一つの連続技として組み込んでしまえる「モーションスライドコンボ」にある。
 その他「シフトボタン」による立体的なアクションの数々や起きあがり攻撃からもコンボが始動できる事などスピーディーで攻撃的な設計が採られており、熱い対戦が期待できる内容なのだが果たして・・・?


・モーションスライドコンボ

 本作の要となる「モーションスライドコンボ」とは、キャラクターに用意された各種の技が一部の制約の下で自在にキャンセル可能と言うシステムである。
 本作の操作系は強弱の概念が無くパンチ・キック・シフト(特殊動作)の3ボタン+1レバー制。
 このうえで、パンチ連打の派生コンボやレバー入れキック、しゃがみパンチや特殊コマンドの大攻撃が全て一つの連続技の中に詰め込んでしまえるのである。
 例えば主人公の持つ「空手」の技では、踏み込みのある「→K」から立ち蹴り「K」に繋いでパンチ連打の「PP」、下段の「↓K」で少しガードを揺さぶった後「波動コマンドK」の「飛燕蹴り」でさらに浮かせコンボに持ち込む、と言った具合だ。
 一方で、挙動の大きい「飛燕蹴り」をガードされた後の事が心配であれば「↓K」と順番を入れ替えることで攻撃後の隙を小さくとどめることも可能となるのである。
 基本的には、常時オリジナルコンボ状態とも言える非常に攻撃的なシステムであるわけだ。

 一方でこのシステムにはいくつかの制約もある。
 ・一つの連続技中に同じ技を組みこんではいけない。
 ・極端に体勢を崩す技はキャンセル不可。
 ・出す前にタメのある技はキャンセル不可。
 また、ヒット数によるダメージ減衰ももちろんある。

 この中で注意したいのは「一つの連続技中に同じ技を組みこんではいけない」という点だ。
 これを破り、例えば連続技中に立ち蹴りを2回使ってしまうなどした場合はキャラクターが短い時間攻撃不能の硬直状態「ヒート」に陥ってしまうのである。
 こうなれば相手にとって反撃のチャンス、さらに「ヒート」中に転倒する攻撃を受けた場合は起きあがり時にスタン状態に陥って2セット目のコンボを喰らう形となってしまう。
 このペナルティを避けるため、連続技を組む場合は上下の揺さぶりや間合いの把握を「同じ技を組み込まない」という前提の下で行う冷静な判断力が求められるわけだ。

 また、コンボの始動とする攻撃の候補も豊富だ。
 「シフトボタン+→」で繰り出せる小ジャンプ攻撃や「シフトボタン+K」で繰り出せる軸移動攻撃、また「↓+攻撃ボタン」には立ち状態から素早く出せる下段攻撃が用意されている。
 これらアクション全てがコンボの契機となりうるというのだから、本作の対戦は片時も目の離せない白熱したものとなるだろう。


・流派の概念

 一方で、こうしてキャラクターの技全てを駆使する必要のあるコンボシステムにはある問題もある。「キャラクターを乗り換えづらい」という事だ。
 基本技の間合いが違う、コンボの組み立てが分からない、コマンドが化ける・・・不慣れなキャラクターを使った時の混乱は、格闘ゲーム好きなら誰しも経験のある事だろう。
 それがまた、コンボ前提のゲームで発生するのであればさじを投げるほどの大慌てというところだ。

 が、本作には「流派」の概念がありこの点がいくらか和らいでいる。
 一人のキャラクターにはメイン1つ、サブ2つの合計3通りの格闘スタイルが設定されており、キャラクターの扱う技はこの「流派」によって決定される。
 そしてキャラクター同士でこの「流派」が共通した組み合わせがあり、同じ流派を使うキャラクターで有ればキャラクターごとの味付けを加えたうえで同じ感覚・操作で扱う事が出来るというわけである。
 例えば主人公は「空手」以外に「壁掛拳」と「ストリートファイト」の流派を持ち、本来の戦闘スタイルは「壁掛拳」という設定。
 同じ「壁掛拳」使いのキャラクターと比べると高威力のコマンド技が充実しており、コンボ中にこれらを含めてダメージを稼ぐキャラクターとしてデザインされていることがうかがえる。

 さて、本作に登場する具体的な流派は、
 ・「壁掛拳」・・・全体的にリーチに乏しいが「↓K」・「K」や「PPP」などコンボをつなげやすく、またコンボの締めとする技も分かりやすい。
 ・「大東流合気柔術」・・・コンボに組み込める技が乏しいが当身投げ系の技が充実しており、方向を選べる通常投げと共に相手をコントロールする術に長ける。
 ・「テコンドー」・・・小ジャンプ攻撃を始め蹴り技全般のリーチに富み、「S+K」コマンドでの浮かせ技も豊富な空中戦のスペシャリスト。
 ・「マーシャルアーツ」・・・基本技の段数やレバー入れ攻撃の種類に長け、密接でのコンボ火力に富む。
 ・「空手」・・・蹴り系の技が充実しており、特に「→K」の踏み込みは驚異的。反面、意外とパンチ系の技に乏しく、強力なコマンド技も入力ミスしたときのリスクが大きいのが難。
 ・「ストリートファイト」・・・体全身で突っ込むような技が多く、リーチに長けるほか相手のダウンを取ってペースをつかみやすい。
 ・「プロレス」・・・基本技は種類が少なく扱いづらいが、リーチに富むほか投げ技の威力が全体的に優秀。「昇龍コマンドP」の「パワーボム」を狙え!

 といったところ。また、一部キャラクターはこれらに当てはまらない特殊なスタイルを使用する。
 その一部に当てはまらない中ボスが通常キャラのコンパチとなった感はあるが、通常キャラクターの数と流派の数はイコールであり、キャラクターの外見を変えたプレイや、愛着のあるキャラクターの流派それぞれに挑戦するなど、変化のあるプレイを楽しめる設計であると言えるだろう。


・ストーリー

 1966年ブラジル・・・
 世界規模の格闘技の大会開催前夜、事件は起こった。練習場に集まっていた選手達が、何者かによって全員惨殺されたのである。
 数日後、犯行声明の映像がマスコミに届いた。血まみれで転がる選手達、その中に立つ1人の男と、それをとりまく4人の従者・・・
 惨劇の恐怖も冷めぬ内に、今度は各地の格闘技大会でも同一の事件が起きるようになった。
 犯行の動機は全くの謎であった・・・
 かくして、数名の格闘家がそれぞれの思いを胸に犯人に立ち向かうこととなる。ある者は私怨のため、またある者は愛する者のために・・・

 (説明書より抜粋)


・キャラクター

 ・バラゾック
 ラスボス。過去に「ある格闘家」によって両親を惨殺、自らも失明させられ、その復讐を果たしたい一心でとある財団の総帥の座とその裏にある非合法組織、そして天才的な技能を持つ総合格闘家と言う「力」を手にした。
 しかし復讐すべき相手はまるで特定できず、今回のような「格闘家狩り」によってその達成を急いでいるようだ。
 性能面では、全流派から技をピックアップしたオールマイティキャラクター。
 派生技あり、踏み込み技あり、コマンド投げあり、当身投げあり、となんとも総合的な性能。
 またひとつの個性として一度喰らった相手の打撃技を即座に習得する「スティールアーツ」という技能も持つが、コンボゲーの本作ではあくまで魅せ技の部類か。

 ・士郎
 幼くして両親と死に別れた後、高名な中国拳法家に引き取られ育てられた青年。
 バラゾックもまたこの拳法家に師事していた時期があり、その野望を止めようとして返り討ちに会った師匠のためにバラゾックとの戦いを決意した。
 性能面では、「壁掛拳」・「空手」・「ストリートファイト」の使い手で、それぞれ特徴は違えど主人公らしいスタイルを持つキャラクター。
 固有技としては高威力のコマンド技を習得する傾向にあり、コンボ中にこれらの固有技を含めてダメージを稼ぐのが士郎の特徴と言うところだろう。

 ・楓
 「大東流合気柔術」を伝える道場に生まれ育ち、天才的な素質を見せる少女。
 道場の跡継ぎを目指す弟の顔を立て、伝統的な生活に束縛されながら流行のファッションにあこがれるという日常を送っていたが、ある日現在の道場主である父親が誘拐されるという事件が起こる。
 この犯人がブラジルの格闘技大会潰し(=バラゾック)であるとにらんだ楓は、真意を確かめるべく戦いを決意した。
 性能面では、「大東流合気柔術」・「テコンドー」・「壁掛拳」の使い手で、それぞれで髪形を含めたファッションが大きく変わる特徴がある。
 固有技としては派生技の段数が増える傾向にあり、小技をコツコツと積み重ねてダメージを稼いで行く手数型のキャラクターだと言える。
 ・・・ただ、本家「大東流合気柔術」のスタイルでは超強力な連続投げまで習得する投げキャラと言う一面が垣間見える。

 ・シレーヌ
 ポーランドの秘密諜報部隊に所属するエージェントの女性。
 この部隊の創設者を父に持ち、幼少期に異常天才性を見せたシレーヌは、その後の人生をエージェントとしての英才教育で埋め尽くされて育った。
 多彩な技能と引き換えに感情を失ったシレーヌは、バラゾックが引き起こした事件の調査のために派遣されることとなった。
 性能面では、「マーシャルアーツ」・「空手」・「プロレス」の使い手で、なるほどスピードからパワーまで多芸にこなせることがうかがえる。
 固有技と言うより、シレーヌの場合は技の挙動が極端に素早くなる事が特徴。入力は非常にせわしないがスピードのアドバンテージではだれにも負けないだろう。

 ・サンソン
 名門ビクトーリア家の御曹司として何一つ不自由なく、周囲からの敬意を受けながら育った青年。
 しかしそれが自分自身への評価で無い事にショックを受け、己自身を表現する場として格闘技にのめり込んで行った。
 ブラジルの格闘技大会にも選手としてエントリーしていたが、バラゾックの襲撃時にたまたま不在であったため「事件を食い止められなかった」事を悔やんでバラゾックの行方を追うようになる。
 性能面では、「テコンドー」・「大東流合気柔術」・「マーシャルアーツ」の使い手で、見事に士郎とスタイルを分けたライバルキャラクター。
 固有技としては若干蹴り技が増え、また若干挙動が速くなる事が特徴となるが・・・シレーヌのスピードと見比べると影が薄い感があるか。

 ・ベルンハルト
 若き日に盗み目的で侵入した家の一家を惨殺して以来享楽殺人に目覚め、以降金で仕事を請け負うプロとしても活動している怪老人。
 その折に一家の息子を「気まぐれで殺さずにおいた」事が現在のバラゾックと、それによって起こされた数々の殺人事件の発端となった。
 ゲーム内で詳細に語られていない事が幸いとさえ思える、格闘ゲームキャラクター、あるいは「殺し屋」キャラクター界隈で最悪クラスの外道である。
 性能面では、「空手」・「壁掛拳」・「大東流合気柔術」の使い手で、主人公と2つ、ヒロインとも2つ、流派がかぶっているという意外にも正統派なキャラクター。
 若干固有の投げ技が多く威力も高い傾向にあるので、切り返しや相手の防御を崩す際にダメージを稼ぎやすいのがベルンハルトの特徴だと言えるだろう。

 ・マーク
 喧嘩とバイクをこよなく愛する自由奔放なアメリカ人。
 とある誤解からファラハが自分に一目ぼれしたと勘違いし、さらにファラハがラウールにさらわれ、ブラジルの事件に巻き込まれたという具合に妄想が加速、止める者も無くファラハの救出に飛び出すのだった。
 性能面では、「ストリートファイト」・「マーシャルアーツ」・「プロレス」の使い手で、いかにも豪快なパワーファイターと言うところ。
 固有技としてはメインのストリートファイト以外はどうにもパッとしないが、ストリートファイトに限っては巨体のパワーやユニークな固有技「テネシータックル」が活躍する。
 なお、マークのみストリートファイトの技がアメリカの地名から取った物に変化するという設定がある。

 ・ホーネット
 スラム街の貧しい大家族で、12人兄弟の長男として生まれたアメリカ人。
 事故で働けなくなった父親に代わって生活費を稼ぐべく学校を中退してストリートファイトを始め、やがてプロレスのスカウトに出会ってチャンピオンの栄光をつかみ取った。
 が、そんな折にホイホイから弟を人質に取った八百長試合の強要がありチャンピオンの座を失う。今回の事件にホイホイの姿を見出したホーネットは再戦のためにその行方を追うのだった。
 性能面では、「プロレス」・「ストリートファイト」・「テコンドー」の使い手で、マークと同様のパワーファイターであることがうかがえる。
 固有技としてはメインのプロレス以外はほとんど存在せず、プロレスにおいては強力な投げ技をどれだけ叩き込めるかと言うところ。

 ・ユキヲ
 奇形児として生まれた事で母親以外からの愛情を知らずに育った青年。
 その母親も自身をかばう形で殺害され、彼は犯人たちへの復讐を果たした後にバラゾックに拾われて組織の一員となった。
 が、ここでも彼は組織内での実力競争に負けて放逐され、その復讐心から今回の闘いに参加することとなる。
 性能面では、「格闘スタイル不明」として全ての技が固有と言う特殊性の強いキャラクター。
 全体的に挙動が大きいが驚異的なリーチを持ち、飛び込み攻撃の間合いの広さや姿勢を低くするダッシュ・特殊構えから後の先を取る戦法が強力。

 ・ホイホイ
 中ボス。「ファッティ・グラトン」のリングネームを持つ元全米プロレスチャンピオン。
 強欲で打算的、金になるならば賭けがらみの八百長試合や犯罪行為もいとわないというゲスの類。
 プロレスの実力自体も有ったためラウールにスカウトされ、ユキヲを叩きのめして組織内の高い地位に据えられている。
 性能面では、設定どおりプロレスをファイトスタイルとするコンパチキャラクター。
 だが丸々と太ったその外見に似合わず投げ技よりもフライングボディプレスなどの打撃技で戦うという一風変わった性能となっており、ホーネットやマークと同じと思うと面食らう事だろう。

 ・ラウール
 中ボス。バラゾックの側近を務めながらその地位になり変わる事を目論む野心家。
 厳格な家庭に生まれ育ち、幼い頃は父を尊敬していたものの暴力に屈する弱い姿を目にした事で価値観が一変、暴力と権力を身に付け、さらにバラゾックの力を手中に収めるために接近して現在に至る。
 性能面では、オーソドックスな空手を流派とするコンパチキャラクター。
 いくつか固有技があるが、性能は通常キャラと大差ないようだ。

 ・ファラハ
 中ボス。バラゾックの従者として付き従う八卦掌使いの女性。
 過去にバラゾックの手によって拳法の師匠を殺害されたが、彼女はその時のバラゾックの姿に崇拝するシヴァ神の威光を垣間見て信仰を捧げるようになった。
 だが、やがてバラゾックの闘う動機に触れたことで彼女の内にはまたバラゾックに対する愛情の念も芽生え、その思いを胸に秘めながらバラゾックのための闘いに身を投じているという。
 性能面では、基本の立ち姿勢やガードポーズで軸移動を行うという極めて特殊なキャラクター。
 つまり、ファラハは相対しているだけでも相手の攻撃を「死角に避け」てしまうわけである。
 このゲームの基本となる「モーションスライドコンボ」にとって天敵とも言えるようなキャラクターで、コンボを防ぎながら死角へと回り、無防備な相手へ逆にコンボで反撃を決める様は悔しいが華麗と言うほかない。

 ・Dr.ウィズ
 中ボス。幼少期に聞かされた「魔法」の魅力に取りつかれ、その再現にあらゆる手段を用いてきた研究者。
 果ては催眠術やドラッグにも手を出し、魔法の証明のために平然と人を殺害するようになった事で逮捕された所をバラゾックに拾われて現在に至る。
 性能面では、同キャラ対戦を行う特殊ステージの演出者。
 本人が戦うわけではなく、対人戦では問題なく同キャラクターを使用できるため設定上はCPU専用と言う扱いである。


・コンボDEマンボ

 なお、本作はアーケードからプレイステーションに移植されるに伴ってあるシステムを導入している。それが「コンボDEマンボ」、コンボの事前作成・登録システムである。
 開放条件はアーケードモードの1周クリア、このモードでコンボを事前に登録しておけば実戦ではワンボタンで複雑なコンボが繰り出されるという仕組みだ。
 セーブデータ1つにつき30コンボまで設定可能で、これを利用すれば楽ちんなのはもちろん昇龍コマンドや素早い入力を必要とする技であっても決してコマンドミスが起こることなく安定したコンボとして実戦投入できるわけである。
 反面上下の揺さぶりなど柔軟性には対応しきれないわけだが、このシステムの有無で対戦のしやすさは大きく変わる事だろう。

 そう、コンボ格ゲーと言えばコンボ能力の巧拙でキャラクターの火力が大きく変わり、初心者と上級者のハンディキャップが極めて大きいものとなりがちだ。
 ところが本作はこのコンボ登録システムによって、初心者であっても上級者に対抗しうる火力を発揮可能となっているわけである。
 幅広い相手同士が対戦を楽しめるようになるという形で、このシステムの存在はなんとも心憎い。


・まとめ

 と、白熱するシステム設計を持ちながら、初心者もその対戦に参加できるよう間口を広く取った模範的な対戦ツール。
 ・・・であるのだが、やはりコンボの防御精度までは補えないためか、あるいはキャラクターのバックボーンが陰鬱なためか、現在では不思議なほど無名というのがなんとも口惜しい。
 ゲージを消費する必殺技や凝ったカメラワークなども無く、確かに地味〜な作風ではあるのだが・・・。
 ラスボスの名前が「薔薇族」というのも悪かったのだろうか?
 攻撃的なコンボアクションが好きな人や誰かと遊ぶ対戦ゲームのレパートリーを増やしたい人に手に取ってほしい、影の良作と言った一本である。





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