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ELEMENTALエレメンタル GIMMICKギミック GEARギア


プラットフォームドリームキャスト
開発バースデイ
発売ハドソン
発売年月日1999年 5月
ジャンルアクションロープレ
プレイ人数1人
セーブデータ1つ6ブロック、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
個性的だが・・・。 SFファンタジー 2Dパートは幻想的 退廃的 粗い DISCにオマケ画像収録





・ゲーム概要

 ドリームキャスト初期に発売されたアクションRPG。
 パッケージ裏では
 「巨大な敵との3Dポリゴンバトル!」、
 「エレメンタルパワーがもたらす、驚愕の必殺技!」、
 「超難解トラップが待ち受ける、古代遺跡『フォグナ』!」、
 などというアオリ文と共に3Dの戦闘シーンのみがSSとして掲載されているのだが、実際のゲーム内容は2Dのダンジョン探索パートが中心である辺りちょっとサギ臭い一本。

 また、タイトルとしても用いられている「E.G.G.」なるキャラクターは後にデザインを流用し「瞬速爆転E.G.G.ファイト」というホビーとしても登場したが・・・。
 当時ブームとなっていた「ベイブレード」とかぶる内容であり、こちらはこちらで6種類を発売して終了したという切ない背景がある。
 (「すげゴマ」シリーズの方が近い気がしないでもないが。)


・ストーリー

トキオン1218年―――
 未開のジャングル地帯でドーム型の古代遺跡が発見された。
 が、ジャングルは足を踏み入れることさえ容易では無く、密林を切り開き、遺跡の本格的な調査が始まったのは、発見から約一世紀後のことであった。

トキオン1353年―――
 遺跡内部の発掘に着手することになってまもなく、謎の機体が発掘される。
 その中で眠り続ける男と共に……。
 その後の調査によって遺跡は5000年以上前に建立された物であることが判明した。
 しかし、謎の機体の構造調査は遅々として進まず、作動原理すら解明できずにいた。
 科学者の間では「精霊が宿っているのでは……」などという者もいたほどである。
 いつしかその謎の機体は「エレメンタル ギミック ギア――E.G.G.(エッグ)」と呼ばれるようになり、分析は続いた。
 その後、科学と技術の進歩により、E.G.G.のレプリカ作成に成功。
 量産化され、広く一般にE.G.G.が活用されるようになるまで長い時間はかからなかった。
 一方、E.G.G.と共に発掘された男は「スリープマン」と名づけられた。
 どんなに科学者たちが手を尽くしても、歳を取ることもなく、ただひたすら眠り続けているだけだったからである。

トキオン1453年―――
 それまで沈黙していた古代遺跡が、突如、暴走を始める。
 まるで遺跡が増殖するかのように巨大な触手が出現。
 荒れ狂う触手によって近隣の町や村は壊滅状態に追い込まれた。遺跡周辺には深い霧が立ち込めるようになり、怪奇生物や無人のE.G.G.が目撃されるようになったのもこの頃からである。
 人々は遺跡を「フォグナ」と呼んで恐れ、調査隊はもちろん、盗掘者たちでさえ、足を踏み入れようとはしなくなった。

 フォグナの増殖と時を同じくして、一人の男が目覚める……。
 「スリープマン」の覚醒に立ちあった女性科学者セレンは、記憶を失っていた彼に「レオン」という名を与えた。
 しかし、彼女は他の科学者にこれを報告せず、危険を承知でレオンをオリジナルE.G.G.と共にフォグナへと旅立たせる。
 彼の記憶を取り戻す手がかりを見つけるために。
 そして、フォグナを止めるために……。

 (説明書より抜粋)

 ・・・という背景の下、主人公レオン(スリープマン)がE.G.G.を操り、古代遺跡「フォグナ」を探索してゆくと言うのが本作の流れとなっている。
 DISC内のオマケフォルダには物語中の場面をダイジェストで描いた1Pコミックが収録されているなど、そのハードなストーリーは本作の魅力の一つとなっていると言えるだろうか。


・E.G.G.

 ・・・魅力となっているのだが、一方で本作の主役となる「E.G.G.」のデザインは少々ストーリーから浮いている。
 その外見はエッグ(卵)の名前通りカプセル状の本体に短い手足が付いたものとなっており、二頭身であるなどコミカルさを感じさせるものとなっているのだ。

 さて、ゲーム中では「オリジナル」とされる騎士風のE.G.G.を操り「フォグナ」を始めとした数々のダンジョンを探索してゆくこととなる。
 ダンジョンでの主な攻撃方法は「パンチ」、「スピンダッシュ」、「エレメンタルパワー」、の3つ。

 「パンチ」はノーコストで使用できる基本攻撃だが、外見通りリーチが短く、本作は敵に接触するとダメージを受けてしまう設計なので恐ろしく使いづらい。
 パンチを当てようと接近すると接触ダメージを受け、接触ダメージを避けて間合いを取るとパンチが届かず・・・
 中途半端な間合いでパンチを空振り続ける姿はまるっきり「半熟英雄」のエッグマンである
 一応、ゲーム序盤で腕を伸ばして攻撃できるようになる「ワイヤーアーム」というアイテムが手に入るものの、こちらはこちらで攻撃に長いタメが必要など実用性は薄い。

 一方で「スピンダッシュ」という攻撃もある。
 手足を引っ込めて回転し、高速移動しながら体当たりを行うと言う移動と攻撃の両面で扱いやすい技
 ・・・なのだが。
 なんと、使用中は徐々に体力が減少してしまうというデメリットを抱えている
 ダメージを避けるために敵を撃退すると言うのに、撃退する手段でダメージを受けると言うのはなんとも本末転倒な気がしなくもない。
 高速移動しつつ敵を次々に倒して回ると言うアクション自体は爽快であり、パンチに不慣れであれば結果的に被害を抑えられることも多々あるのだが・・・。
 自滅的な爽快感と不安定な単純作業という心の病みきった二択に悩まされるあたりは、なんとも残念に思えてならないところだろうか。
 なお、この攻撃面でのストレスを加速させる一因として敵は平然と射撃攻撃や体当たりを行ってくるという点を明記しておきたい。

 ちなみに、実はこのスピンダッシュ中の体力消費を無効化するというアイテムも存在しており、裏技ではあるがかなりの序盤から入手可能となっている。
 ・・・「最初に登場するボスキャラクターと再戦して100連勝する」という入手方法は、救済措置というよりはむしろアイテムコレクターへの嫌がらせの様な気がしないでもないのだが。

 さて、最後に「エレメンタルパワー」について。
 これは物語の中で段階的に手に入ってゆく魔法の様な物で、敵から拾い集めた「エレメント」を消費して強力な攻撃を発動できるというもの。
 序盤には
 火の玉を飛ばして敵を燃やし、ごく微量のダメージを与え続ける「ファイアストーン」、
 冷凍ビームを放射して敵を短時間凍らせる「アイスストーン」、
 という謎解き専門のガッカリウェポンが手に入るのみだが、その後に手に入る「ジオストーン」、「プラズマストーン」、などは画面全体に大ダメージを与える必殺技として登場してくれる。
 消耗品であるほか使うたびに演出でゲーム進行が止まるものの、パンチやスピンと比べると別天地の使い心地なので体力やエレメントの残りと相談して活用してゆきたい。


・ボスバトル

 さて、そんなストレスフルな2Dパートを進めて行くとストーリー上重要な「ボス」キャラクターに遭遇し、3Dの対決パートへと移行する。
 2Dパートと同じ操作感を押さえたまま、E.G.G.の背後へと視点を移し敵とこちらとの大きさの対比を強調した構成はなかなか見ごたえがあると言えるだろうか。

 ・・・とはいえ急に画面の構成や音楽が変わってしまうあたりは違和感があり、攻撃パターンが全体的に単調なせいもあってミニゲームのような印象を受けるかもしれない。
 迫力をあおるためのポリゴンモデルも少々粗く、2Dパートにおけるドットの方が視覚的な完成度が高かったのでは・・・などと、少々蛇足感を感じるところである。

 一方で作中には実際にミニゲームとして戦うボス戦もある。
 ここでは有人ロボットであるE.G.G.がさらに搭乗する設計の大型ロボット「アーマードレス」を操作して戦うこととなり、操作方法に至るまでの強い新鮮味と迫力を感じる事が出来る。
 デンドロビウムというか巨人殖装というか、ロマンあふれる存在なのだが出番の少さが悔やまれるところか。


・まとめ

 ダンジョン探索系アクションRPGというジャンル内において、本作の特徴は「E.G.G.」という主人公そのものに有ると言えるだろうか。
 とはいえそれは「恐ろしくリーチの短いパンチ攻撃」と「徐々に体力を失うダッシュ体当たり」という、悪い方向で実現された個性の強さなのだが。
 「攻撃時に腕が伸びる」なり「回転時には専用のゲージを消費する」なり操作の快適性を上げる方法はあったと思うが、実際のところはなんとも不便さを感じる仕様でまとめられてしまっており、全体のプレイ感に影を落としている。
 また必殺の「エレメンタルパワー」が全画面ぶっぱであるあたりからも、ゲームバランスついては厳しいと言えるだろうか。

 一方で古代遺跡「フォグナ」が暴走し霧に包まれた都市や、数百年間眠り続けた謎の男「スリープマン」、有人兵器が乗り込む巨大兵器「アーマードレス」、など、世界観についてはその個性的な内容が魅力として発揮されている。
 ラスボスなどゲーム後半のストーリーは少々残念なのだが・・・システム面の厳しさを押しても、その辺りに魅力が感じられればオススメできる一本であるだろうか。





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