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DeSTReGAデストレーガ


プラットフォームプレイステーション
開発光栄(コーエー)
発売光栄(コーエー)
発売年月日1998年 9月
ジャンル新感覚ファンタジーバトル/超絶的ファンタジーバトル
プレイ人数1〜2人
セーブデータ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
蛇足的? 本格派 派手さ有り フルボイス 粗い 驚きの裏ワザ有り





※今回のレビューは若干のネタバレを含みます。※


・ゲーム概要

 プレイステーション後期にコーエーからリリースされた格闘アクションゲーム。
 箱庭状のバトルフィールドを自由に駆け回り「魔法」を撃ち合う、というシューティング的なプレイ感が特徴的な一本である。
 すわタイトーの「サイキックフォース(1996〜)」を連想するところだが、その内容は果たして・・・?

 また本作はファンタジー作品としてストーリーにも力を入れており、操作キャラクターを変えながら「デストレーガ」の物語をプレイする「ストーリーモード」が存在している。
 イタリア語で「魔女」を表す「ストレガ」に「デ」を付けたタイトルは物語における大きな鍵となっており、これもまた本作の特徴の一つとなっている。


・「魔法」システム

 さて、では先ず本作の対戦システムから見て行くことにしよう。
 3Dで作られた箱庭状のバトルフィールドの中で互いのキャラクターを操作し、先に相手の体力を0にした者の勝利。
 そんないたってシンプルなルールの上で飛び交うのが、「魔法」によるファンタジーバトルだ。
 本作における「魔法」とはキャラクター同士が離れていた場合に使用できる遠距離攻撃で、時間経過によって3段階に回復する「チャージゲージ」を消費して
 「」ボタンで唱えられる速の魔法「ティル」、
 「」ボタンで唱えられる力の魔法「アス」、
 「」ボタンで唱えられる散の魔法「フォウ」、
 の3種類を放つことが出来るもの。

 このシステムのユニークな点としては、「魔法それぞれに性質が定まっていること」、「それぞれの魔法を組み合わせて使用できること」、の2点が大きいだろうか。
 例えば、主人公キャラクターの「グラッド」とヒロインの「セレア」との魔法を比較してみよう。
 光の魔法を用いるグラッドの「ティル」は弾速の早い光線、「アス」は大きな光球、「フォウ」は分裂する光弾、をそれぞれ放つ物となっている。
 対して風の魔法を用いるセレアの「ティル」はカマイタチを連射し、「アス」はつむじ風の連射、「フォウ」は複数のカマイタチを輪にして発射する・・・と、大まかな性能を共通させつつも特徴を出した形だ。
 つまり一通りの操作に慣れればどのキャラクターもある程度扱うことが出来、またそれぞれの性能差を感じることが出来る、というわけである。
 特徴的なシステムを持つゲームであるが、この使い回しやすさはなかなかにありがたい。

 では、魔法の組み合わせについて。
 魔法の使用に消費する「チャージゲージ」が3回分ストックできる通り、本作の魔法はそれぞれの魔法を3つまで組み合わせて放つことが出来るのだ。
 「ティル+アス」なら威力と速度に優れた魔法を放ち、「アス+フォウ」なら威力に優れた魔法を広範囲にばら撒き、「フォウ+ティル」なら広範囲を素早く攻撃することが出来る。
 また「アス+アス+アス」や「フォウ+フォウ+フォウ」など同じ魔法を繰り返し唱えることでより強力な魔法に変化させることもでき、戦局に合わせてどのように魔法を使用するか、が本作の対戦に戦略性を形作っているわけである。
 なお「ティル+アス+フォウ」の3つを組み合わせると特殊性の強い必殺魔法が炸裂する。
 使用後はゲージが空になるのでむやみな使用は禁物だが、決めることが出来れば一発逆転も夢ではないだろう。

 また、最後に魔法の相性について。
 3種類の魔法には3すくみの関係があり、これによって相手の魔法と衝突した時に打ち負ける側が決定される。
 ティルはアスに強く、アスはフォウに強く、フォウはティルに強い。
 言い換えれば大技は小技に潰され、牽制技は大技に食われ、小技は牽制技に落とされる、といったところだろうか。
 本作ではこの読み合いを戦略に組み込みたかったらしく、キャラクターに律儀に魔法を発音させるなどしている。
 対戦での効果はともかく、ひげ面の大男がランニングしながらフォー!フォー!と叫ぶ姿シュールというほかない


・「魔法」以外のシステム

 ・・・と、魔法だけでもなかなかバリエーションがあり、戦法の練り甲斐があるバランスなのだが。
 本作にはさらに「近接攻撃」、「チャージ技」、「弾き」、といったシステムも存在している。
 先ずは「近接攻撃」だが、これは魔法に対応した3種類が存在する。
 「」ボタンで発生する連続技「弱攻撃」、
 「」ボタンで発生するダウン技「強攻撃」、
 「」ボタンで発生する回り込み技「回り込み攻撃」、
 の3つである。
 これらは接近時に魔法の代わりとして使用することが出来、回り込みや連続攻撃などなかなか熱い攻防が繰り広げられることとなる。
 魔法が中心のゲームではあるが、だからこそ接近時の競り合いが一つのアクセントになっていると言えるだろうか。

 そして、そんな接近戦へ持ち込むためのシステムが各「チャージ技」といったところだろうか。  これは攻撃を防ぐ「ガード」、相手に接近する「ダッシュ」、相手を射線に捕える「ジャンプ」、の各アクションを強化するシステムで、魔法の詠唱中に各アクションを起こすことでゲージの消費と引き換えに性質が変化するという物。
 魔法を防ぎきれない通常ガードは消費ゲージ量に応じた魔法を防ぎ、速度の遅いダッシュは魔法を弾きつつ相手に高速接近し、ジャンプは空中で魔法を連発する攻撃的な物に変化する。
 特に相手の詠唱を見てからほぼ強制的に接近戦に持ち込めるチャージダッシュの使い勝手が飛び抜けており、逆に相手から高速で遠ざかる手段が無いあたりは少々首をかしげざるを得ない状態である。
 なお、本作は通常移動の性能がすこぶる悪い。
 妙な慣性が付いていてとっさに向き直れないほか、移動中に魔法を使用すると魔法を撃ち終えるまで走り続けるなど小回りがほとんど効かないのである。
 通常のダッシュはこれが少し早足になった程度の性能であり、対戦においては上半身で魔法を撃ちながら下半身はいつも駆け足という珍妙な有様になりがちなのだがまぁこれは余談の域。

 また「弾き」は、いわゆるジャストガードである。
 通常の「ガード」では魔法を防ぐことが出来す、ダメージの半分を削られてしまう。
 が、魔法が命中する直前にガードを行うことでこれを「弾き」、ノーダメージに抑えられるのである。
 強力な魔法には無効だが、使いこなせば心強いことに違いはないだろう。

 ・・・と、色々備え付けられているが。
 その割にはチャージゲージの「溜め」が無い、開幕と同時にぶっぱした必殺魔法で5割持って行かれる、マップの段差が激しい割にほぼ全ての魔法が相手に直進する、など物足りない部分が目に付き、ゲームシステムは少々粗さを残す状態だろうか。


ストーリー

 千年もの昔、大陸の辺境国「ザムエル」に、「操者(そうじゃ)」と呼ばれる不思議な力を持つ者たちが現れた。
 操者は、自分たちと同じ力を操れるよう、「奇跡の石」を民に与えた。
 力を手に入れた貧しいザムエルの民に、欲望の心が芽生えるのは当然であった。
 ザムエルの民は、操者の制止も聞かずに他国を侵略、大陸の統一を果たす。
 しかし、人々は争いをやめようとはしなかった。
 「奇跡の石」の力はあまりにも大きく、大陸は瞬く間に死の大地へと変貌した…

 ザムエルの滅亡から千年が経ち、大陸も活気を取り戻してきたころ、「イプセン帝国」で「奇跡の石」が発見される。
 人々はこれを「レリック(聖遺宝)」と呼んだ。
 ときの皇帝はレリックの力を我が物とすべく、部下のザウベルにレリックの復活を命じる。
 レリックの復活は、すぐに操者の末裔にも知れた。
 操者はレリックの封印を要請するが皇帝は拒否。
 結果、皇帝と操者の戦いが始まった。
 この戦いで、多くの諸侯を始め双方に多大な被害が及ぶ。
 こうして、イプセンは内乱の渦に巻き込まれていった。
 11年後、内乱を鎮めたのはレリックを手中にするザウベルだった。
 そして、己の力を脅かす存在を滅ぼすため大規模な「操者狩り」を始めた…

 (説明書より抜粋)

 ザウベルの「操者狩り」は辺境の地まで執拗に行われ、グラッドの暮らす山奥の村もまたその対象となった。
 操者であるというだけで無残にも焼き払われた村の仇を討つため、グラッドは一人ザウベルへ立ち向かうことを決意する。
 しかしグラッドの旅路には同じようにザウベルへ抵抗する協力者たちが、そして己の欲望のままに行動する野心家たちが待ち受けているのだった。

 「デストレーガ」の物語は登場人物たちがそれぞれの思惑に沿って行動しており、プレイヤーは主人公であるグラッドのほかにも様々なキャラクターを操作しながら物語を読み進めて行くこととなる。
 フルボイスで展開されるなどなかなか見ごたえのある内容で、また中断セーブにも対応した安心設計であるなど本作の魅力の一つであると言えるだろう。


・裏ワザ

 さて、本作にはまたある驚きの裏ワザが存在する。
 というのは、ある条件(1Pモードクリア)を満たして該当のキャラクターをスタートボタンで選択すると・・・。
 なんと、キャラクターが「三国無双」のキャラクターを模したコスチュームになるのである。
 開発に当たった「オメガチーム」繋がりのお遊びということなのだろうが、無双キャラが魔法でバトルする様は「外伝」中の「外伝」と見ることが出来るだろうか。
 雷を操る諸葛亮、闇を操る曹操、など、妙にマッチしており無双ファンも安心(?)の配役である。
 ・・・ただキャラクターの声は元のキャラクターそのままなので、約一名に全員分の違和感が押しつけられた感があるが


・まとめ

 遠距離で飛び交う「魔法」の応酬をアピールしながら、実際には様々なシステムや接近時の攻防を絡めた操作が必要となる本作。
 とはいえ操作の快適性やダメージバランスなど粗さを感じる点も見られ、どうかと言えば詰め込みすぎた内容と取れるだろうか。
 「魔法の組み合わせ」という概念がメドローアよろしく少年の心をくすぐるだけに、ゲーム面は少々物足りない。

 一方のストーリーに関してはなかなか見ごたえがあり、ちょっとした3Dポリゴン劇として楽しめなくもないだろうか。
 モンスターやドラゴンこそ登場しないが、ファンタジー世界で生きる人物たちの群像劇に興味があるならばチェックして欲しい一本である。





・関連作品

・三国無双「三国志」に登場するキャラクターを題材とした3D格闘ゲーム。
「真・三国無双」シリーズの先駆けであり、おおまかなキャラクターデザインはこの頃から固まっている。
・「サイキックフォース」シリーズタイトーのシューティング格闘ゲームシリーズ。
必殺技の派手さや個性豊かなキャラクターはもちろん、ダッシュや先読みを駆使したスピード感が魅力的な内容。
ただリメイクや移植は不出来で、システムを使いまわした外部作品も見られる。


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