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DINOディノ CRISISクライシス


プラットフォームプレイステーション
ドリームキャスト
開発カプコン
発売カプコン
発売年月日1997年 7月(PS版)
2000年 9月(DC版)
ジャンルサバイバルホラー
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック (PS版)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
意欲的だが・・・ マルチエンド バリエーション不足 迫力あり 逃げ中心 「バイオハザード2.5」?





※※今回のレビューは、多少のネタバレを含みます。※※


・ゲーム概要

 「バイオハザード」シリーズで大ヒットを収めたカプコンが、バイオハザードの「静」の恐怖に対する「動」の恐怖として開発した一本。
 逃げ場のない研究所で次々に恐竜に襲われる、という流れは確かにバイオとは趣の異なるもので、その後もシリーズ化されるなどしてカプコン・サバイバルホラーのもう一つの柱を成した。
 ・・・とはいえ、「2」、「3」と続くにつれ本作の内容とはかけ離れたものとなっており、内容のみを見れば単独作と言える一本である。
 シリーズの中で最も「バイオ」に近く、「謎解き」と「サバイバル」に重きを置いた本作の内容は果たして・・・?


・恐竜

 本作を「バイオ」シリーズと分かつ最大の特徴といえばやはり、敵キャラクターに当たる「恐竜」の存在だろう。
 ゲーム序盤から登場し素早い動きでプレイヤーを襲う「ヴェロキラプトル」、
 空中を飛びまわり奇襲を仕掛けてくる「プテラノドン」、
 鈍重ながら鋭い爪とタフな肉体を持つ「テリジノサウルス」、
 小型でほとんど無害の「コンプソグナトゥス」通称「コンピー」、
 そして圧倒的な巨大さと力、そして執念によって宿敵として立ちはだかる「ティラノサウルス・レックス」、
 と、いずれも魅力ある敵キャラクターとして活躍してくれる。

 ・・・のだが、ゲームバランスとしては少々無理があった気がしないでもない。
 理由の一つとしては、登場する恐竜は上述のもので全てだという点が挙げられるだろうか。
 なんでも人間を襲うような肉食恐竜となるとそのフォルムが完成されすぎていたらしく、大型・小型の差を除くと外見が似たり寄ったりになってしまうのだという。(※「ディノクライシス2 公式ガイドブック(エンターブレイン)」より)
 結果、この「5種類」という数に落ち着いたようなのだが・・・。
 ゲームを進めることによる目新しさが薄く、序盤の敵が異常に強いなど食傷感を強めているのは否めないだろう。
 この点は続編の「2」、「3」で特に手が加えられた部分であるので、第一作らしい粗さといったところか。

 さて登場する恐竜について詳しく見てみると、数が少ない分(コンピー以外は)いずれも強敵であり多彩なアクションを持っている。
 最たるものが、映画「ジュラシックパーク」でもおなじみの「ヴェロキラプトル」だ。
 プレイヤーを見るや一直線に接近し、跳びかかりや噛みつきなど素早い攻撃を仕掛けてくるラプトルはバイオシリーズで言えば「首狩りの無いハンター」と言った存在である。
 簡単なドアなら開けられるほどの知能を持ち、耐久力も高く、ハンドガンのマガジンを撃ち尽くして倒せるかどうかという強敵だ。
 これがゾンビ並みの頻度で出てくるのだから、初心者はまず恐竜のエサである
 対処法として「麻酔弾」や「レーザーフェンス」といった物があり「逃げ」に重きを置いたバランスであることがうかがえるのだが・・・。
 麻酔弾の弾数が極端に少なかったりレーザフェンス越しに安全に撃ち殺せたりするあたりは、これも粗さといったところだろうか。

 また「ティラノサウルス・レックス」について。
 恐竜を取り扱う創作作品においてえてして特別な立ち位置に君臨するT‐レックスは、本作においても序盤から終盤まで対峙するボスキャラクターとなっている。
 その描かれ方で特に目を引くのは、その巨大さか。
 ヴェロキラプトルの爪と牙をかいくぐり、研究所の探索を続けるうちに2階へと到達。とある部屋を調べて出ようとすると・・・。
 なんと、窓を破ってT‐レックスが頭を突っ込んできたではないか
 獲物を捕食するべく大きく開かれた口とそこに並ぶ牙の迫力はラプトルの比では無く、プレイヤーに強烈な衝撃を残してゆく。
 その後の登場においても頭部、特に口を強調する構図でT‐レックスの威圧感と凶暴性を描いており、これがホラーゲームとしてのハイライトの一つを形作っていると言えるだろうか。


・ストーリー

 「サードエナジー」。それは化石燃料、核燃料、に続く第三のエネルギー源として開発された夢のクリーンエネルギーである。
 空気中の分子に刺激を加えて連鎖的な反応を促し、理論上半永久的にエネルギーを得られるこの技術はコントロールさえできれば正に理想のエネルギーとなるものであった。
 ・・・そう、コントロールさえできれば。
 現代の技術では一度反応を始めたサードエナジーを抑えることが出来ず、容量を越えて生みだされたエネルギーはたやすく暴走してしまうのである。
 サードエナジー研究の第一人者であったカーク博士は、3年前にそんな研究の中で爆発事故を引き起こし、帰らぬ人となった・・・はずであった。

 3年前の事故により軍事目的での利用が注目されたサードエナジーは、大国にとって関心の対象であり、また憂いの種でもある。
 観光資源の豊富な小国、という姿を隠れ蓑に最新鋭の兵器を開発・輸出する軍需国家ボルジニアも、そもそもはそういった監視対象の一つに過ぎなかった。
 しかし、ボルジニア共和国のアイビス島に潜入していたエージェントの一人がそこに驚くべきものを・・・すなわち死亡したはずのカーク博士と、博士による最新の研究成果を、発見したのである。
 これを受け、カーク博士の拉致と研究データの入手を目的に4人のエージェントがアイビス島に降下することとなった。
 冷徹でリーダー格の「ゲイル」。
 陽気でメカニック技術に長ける「リック」。
 そして一切の経歴が不明ながら、彼らと肩を並べて作戦に当たる女性工作員「レジーナ」。

 またもう一人、本来であれば彼女らと行動をともにしたであろう、クーパー・・・。
 ほんの少しヘリからの降下タイミングがずれた彼は風にさらわれ、うっそうとした密林の中に着地してしまった。
 そこで彼が最後に見た光景は、自分に向けて開けられたT‐レックスの巨大な口だった。

 ・・・といったところから、物語が始まる。
 舞台は近未来であり、主人公「レジーナ」はハンドガン、ショットガン、グレネードガン、の3丁の銃を使いこなす戦闘のプロフェッショナルだ。
 仲間であるゲイル、リックも恐竜の出現にほとんど動じないなど頼りになる存在であり・・・アクションならともかく、ホラーとしては人選を間違えていると思わざるを得ない状態だ
 研究所では到着時点でほとんどの研究員が死亡してしまっており、時間制限などの焦燥感が薄いのも難点だろうか。
 結果としてパニック的な恐怖は限定的な物に留まっており、ゲーム全体の雰囲気は少々淡白にまとめられていると言える。


・謎解き

 また、本作はバイオシリーズ以上に「謎解き」に力を入れている感がある。
 「DDK」、「指紋採取」、という2つのシステムがゲーム全編を通して登場するあたりは、これもまた本作の一つの特徴と言えるだろう。

 まず「DDK」とは、重要なエリアのロックに施されたセキュリティシステムの事。
 解除にはヒントとなる暗号が入った「暗号ディスク○」と回答を入力するための「入力ディスク○」をセットで用い、表示された暗号を解いて入力する必要がある。
 とはいえ暗号の解き方は毎回変化しており、さらに対応した「ファイル」を探し出したり、時には自力で頭をひねらなければならなかったりする。
 すなわち、ちょっとしたパズルゲームの様な楽しさが用意されているわけである。

 そして「指紋採取」。
 これは研究所内における様々な指紋式ロックを解除するためのもので、それぞれのロックで担当者が異なる、という点で特徴的なシステムとなっている。
 キーアイテムの「指紋採取装置」には1度に1人の指紋データしか残せないため、ここでは数少ない情報から該当者は誰か?を類推する推理ゲーム的な面白さが味わえるだろう。
 指紋を持つ研究員はことごとく物言わぬ死体となっているので、その意味でも強いインパクトがあるのだが。


・調合

 また、本作には「麻酔素材」や「回復素材」といったアイテムから麻酔弾、回復剤と言ったアイテムを「調合」するシステムが存在している。
 物資が不足しがちな恐竜との戦いにおいて、必要なアイテムを自分で選択できるシステムというわけだが・・・。
 困ったことに調合して入手できる数が両者とも大差なく、一体の動きを止めるだけの麻酔弾とダメージを補える回復剤となら回復剤の方が圧倒的に有用な気がしないでもない。
 ただでさえ不足しがちな麻酔弾はここで回復剤の素材になるので、余計撃つのがためらわれるだろう。
 「バイハザード3」のガンパウダーも攻略に有益すぎるシステムであるが・・・
 麻酔弾の活躍を回復アイテムのゴリ押しに置き換えられてしまうあたりはさすがにやりすぎな気がしなくもない。


・まとめ

 バイオハザードシリーズを「静」の恐怖と位置付け、これに対する「動」の恐怖を追求したという本作。
 とはいえあまりプレイヤーを急がせる仕掛けが無く、バイオとの差は敵キャラクターの動き程度にとどまってしまっていると言える。
 ゲームバランスについても敵キャラクターの強さ、回復アイテムの入手難易度、と極端な部分が見られ、暗号の解読に頭を悩ませるなど恐怖以外で足を止める場面も多い。
 結果「動」の恐怖という物はあまり味わえないのだが・・・裏を返せば「バイオハザード」のGAIDEN的な 外伝的な内容としてならば、なかなか見ることができるだろうか。
 グロテスクなクリーチャーが登場せず、本格的な謎解きが楽しめ、主人公たちのヒロイックな活躍には見ごたえが感じられる、と、魅力となる部分はある。
 問題はそれが求めていたものとズレていることだが・・・恐竜好きやアクション映画好き、バイオハザードファンにはチェックして欲しい一本だ。

 ちなみに余談だが、続編である「2」ではこういった反省点を取り入れておりハイテンポのアクションが楽しめる。
 ・・・とはいえ、こちらはこちらで「ハンティングアクション」とでも言うべき爽快感あふれる内容となっているのだが。





・関連作品

ディノクライシス2続編。だが本作とは大きく内容を変え、ハイテンポのハンティングアクションに。
・ガンサバイバー3 ディノクライシス「バイオハザード ガンサバイバー」の第3作。外伝的にディノクライシスが舞台となった。
・ディノクライシス3続へ・・・ん?レジーナはおろか実在の恐竜(というのも変だが)も登場しない異色作。
・バイオハザード3おまけとして本作のPVが収録されているほか、隠しコスチュームの一つとしてレジーナが登場。
・ナムコクロスカプコンナムコとカプコンのクロスオーバー作。登場ユニットの一人として、「ガンサバイバー4」に登場する鳳鈴とタッグを組んでいる。
・逆転裁判4カプコンの法廷バトル第4作。第3話の登場人物がボルジニア共和国出身。
・サイバーボッツカプコンのロボット2D格闘ゲーム。開発段階ではゲイルが「サイバー」、リックが「ボッツ」という名であったとか。


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