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CRIME CRACKERSクライムクラッカーズ


プラットフォームプレイステーション
開発メディア・ビジョン
発売ソニーコンピューターエンターテイメント
発売年月日1994年 12月
ジャンル3DダンジョンRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
操作が面倒 冒険的 アニメ調 迫力あり やや粗い PSロンチタイトルの一本





・ゲーム概要

 プレイステーションのロンチタイトルとして発売された3DダンジョンRPG。
 次世代ハードであるプレイステーションの「3D」という強みを押し出し、(萌え)アニメ風の作調で親しみやすさも狙った一本である。
 後にフロム・ソフトウェアから発売された「キングスフィールド」と同様のコンセプトを持ちながらまるで真逆の方向性を持つ本作だが、さてその内容は・・・?

 なお、その世界観はキャラクターデザイナーのここまひ氏の漫画作品「超光世紀スター・クラッカーズ」を基にしているというが、単行本化されていないため詳細は未確認である。


・ストーリー

 これは遠い未来、遥か彼方の銀河系でのお話です。
 大規模な銀河戦争の終結によって宇宙にはわずかばかりの平和が訪れたものの、ほんの少し銀河連邦警察の目から離れたところではいまだに暴れ足りない無法者たちがうようよしておりました。
 これを取り締まりきれないと判断した連邦は民間人に協力を仰ぎ、彼らの確保に賞金を出す「バウンティーハンター制度」を制定したのです。
 さてその成果はと言うと・・・。
 荒くれ達を捕えるところまでは良いものの、それ以上の荒くれとして周囲はほとんど壊滅状態。
 人々は皮肉を込めて賞金稼ぎたちを「クライムクラッカーズ(犯罪粉砕者)」と呼ぶようになったということです。

 この物語の主人公、エミリア・F・アルカネットも宇宙船ピンクドルフィン号に乗り込む立派なクライムクラッカーズの一人。
 ドラン、リーザ、パロット、コア・ログ、ポプリ・ヴァンプ、といった仲間たちと共に、今日も賞金首を求めて宇宙を旅しているのです。
 さて、今回は銀河連邦警察のラプスなる人物から極秘任務の依頼が舞い込んだようなのですが・・・?


・キャラクター

 ・エミリア・F・アルカネット
 由緒正しい家柄のお嬢様ながら、行方不明の兄を追ってクライムクラッカーズとなった天才少女。
 戦闘経験が少なく強力な武器は扱えないものの、ピンクドルフィンやコア・ログの設計を一人でこなすなどメカニックとしての腕は超一流である。
 またキャラクター性能としては低コストで連射の利く武器を持ち、ザコ戦において活躍する。

 ・ドラン
 銀河大戦時にエミリアの祖父ベルガノ・アルカネットの指揮下で戦ったという歴戦の竜人の兵士。
 特に白兵戦を得意とし戦後は特A級のクライムクラッカーズとして活躍していたが、ベルガノの臨終にてエミリアのお目付け役を任されて以来ピンクドルフィン号の一員として活動している。
 キャラクター性能についても重戦士タイプであり、武器のコストが重い代わりに攻守に優れた決戦要員である。

 ・リーザ
 とある理由から故郷を追放された元騎士の狐少女。
 エミリアたちと出会いクライムクラッカーズとして活動を行っているが、いまだに故郷へ複雑な思いを抱いているようだ。
 剣を武器にし、ノーコストで攻撃を行える接近戦用キャラクター。攻守ともに最高のパラメータを持つが、射程は最低。

 ・パロット
 大戦時にはドラン達の乗っていた船のパイロットを、現在はピンクドルフィン号のパイロットを務める鳥人の老兵。
 また古代文明の語り部の末裔でもあり、賞金首を追う傍らに一族に伝わる秘宝を探し求めているという一面も有るようだ。

 ・コア・ログ
 ピンクドルフィン号の航行やメンテナンス、武器管制を担当するサポート・ドロイド。
 どういうわけかポプリに一目ぼれされて以来、保存・移動媒体の様な形で常に行動を共にしている。

 ・ポプリ・ヴァンプ
 データ盗賊として活動していた電子生命体(コンピュータ・エルフ)。
 データ目的で侵入したピンクドルフィン号にてコア・ログに一目ぼれし、そのまま押しかけ女房として現在に至ったらしい。
 ゲーム中では主にロックの解除などで登場する。


・ゲームの流れ

 さて、本作はこれらキャラクターたちの活躍を3Dダンジョンの形で追ってゆくこととなる。
 一つのダンジョンは前後のイベントを含めて「ACT」としてまとめられており、一話一話見進めて行くアニメの様なプレイ感が特徴的だ。
 細かいシステムやバランスは置いておくとして、本作ではデザイン面でもそんな「アニメらしさ」を押し出した部分が多い。
 明るく見通しの良いダンジョン、ローポリゴンながらテクスチャを作り込みアップに耐えうるザコキャラクター、と視覚面で粗さを感じさせないほか、ステータスと共に常にキャラクターの顔グラフィックが表示されている点も大きい。
 ゲーム画面は2/3が3D画面、1/3がステータス画面として構成されており、3人の操作キャラクターの表情が大きく並べられている。
 それぞれの表情は攻撃時には勇ましく、被弾時には険しく、動的に変化し、これがキャラクターたちに活き活きとした印象を与えているのである。
 一方で3Dダンジョン内は主観視点で進行し、ゲームとしての臨場感を追求した一面も有る。
 これらの設計から、プレイステーション黎明期の一本ながら「見る楽しみ」には高い完成度が感じられる事だろう。

 では次に、ダンジョン内での詳しい流れについて。
 ダンジョン中ではエミリア、ドラン、リーザ、の3人から先頭のキャラクターを切り替えつつ、それぞれの「ACT」に設けられたボスの撃破や目的地への到達を目指してゆくこととなる。
 攻略方法はそれぞれに異なるのだが、大まかにはダンジョンの中で正しい道を見つけ出し、敵と戦闘を行いつつ、鍵やヒントを集めて行くという流れだろうか。
 うち、「戦闘」についてはほとんどのダンジョンに存在する要素である。(謎解きのみの回も有る。)
 戦闘中の主なアクションは
 敵に照準を合わせて攻撃を放つ「通常攻撃」、
 緊急脱出用の「特殊攻撃」、
 敵の攻撃を防ぐ「ディフェンス」、
 の3種類。

 先ずは基本となる「通常攻撃」についてだが、これは攻撃態勢に入った後、照準を相手に合わせて攻撃を放つもの。
 エミリアとドランの場合は共通の「ガンエネルギー」を消耗し、リーザの場合はノーコストで使用できる反面射程が短い。
 ガンエネルギーは自然回復せず、これが尽きるとリーザ以外は攻撃できなくなるため極力無駄撃ちをしないよう慎重に戦って行きたいところである。
 ・・・と、基本となる通常攻撃が少々使いづらい。
 キャラクターのほかに照準を操作する点がわずらわしく、銃攻撃には弾切れの心配が付きまとう。
 では弾切れの心配が無いリーザは使いやすいのかと言うと、射撃戦を前提に作られた敵に近づいて行かなければならないので・・・。
 と、敵の能力以前に「味方の操作で」難易度が生まれている点が本作の大きな難点となっている。
 続編の「2」においては通常攻撃が無制限となり、また照準も自動で調整されるなど大幅に改善された部分であるので、第一作らしい「粗さ」といった部分だろうか。

 さて「特殊攻撃」については同ACT中で一定回数のみ使用できる強力な範囲攻撃、すなわちボムといった存在である。
 攻撃力もさることながら周囲へ一斉に攻撃できるというメリットが大きく、ダンジョン中で使い時を覚えておけば回復アイテムの大幅な節約となってくれる。
 こちらは逆に「2」で削除された要素であるので、本作ならではの物として楽しむと良いだろうか。

 そして最後に「ディフェンス」について。
 これはキャラクターの停止と引き換えに防御力を高め敵の攻撃を防ぐというアクション。
 側方移動のLR同時押しという直感的な操作で、敵の攻撃を回避しきれない時にこらえると言った位置づけだろうか。
 とはいえその効果はほとんどの攻撃をシャットアウトするほどなので、ゲーム中では下手に回避するよりもディフェンスを中心に使用してゆくのが良いだろう。
 ディフェンス中に照準を合わせる、敵の攻撃を防ぎつつ接近する、と、本作においては通常攻撃に並ぶ重要アクションと言える。


・ゲームバランス

 ・・・と、少々操作面のクセが強い本作。実際のゲームバランスはどういったものだろうか?
 端的に言うと敵の配置とアイテムが固定なので「覚えゲー」ではあるが、装備の売買やディフェンスの精度など操作の腕が活きる部分も有り、初見でも十分攻略出来るバランスとなっている。
 ダンジョン中では好きなタイミングでセーブできるためやり直しも苦では無く、最後まで遊び通せる内容だと言えるだろう。

 とはいえ、本作のザコには少々不可解な動きが見られる。
 ザコは大まかに「射撃攻撃タイプ」と「接近攻撃タイプ」に分かれるのだが、問題であるのはこの接近攻撃タイプの挙動だ。
 射撃攻撃を行う主人公に対して素早く近づいて強烈な攻撃を放つ、というのは攻撃と回避の両立が難しい本作において非常に厄介な存在である
 ・・・というのは置いておいて。
 本作のザコは部屋や通路をまたいで移動することが出来ず、だというのにこのタイプのザコはこちらを執拗に追ってくるため扉の前で足踏みを行うこととなるのである。
 急いで引き返せば邪魔なばかりで厄介でもなんでもなく、リーザの試し斬りに消えるのがやるせない。
 そんなエネミーが1面から最後まで登場するあたり、はっきりとゲームバランスが「良い」と言えないのが残念である。


・まとめ

 プレイステーション黎明期にありながら3Dゲームとして高い完成度を感じさせる一本。
 物語やキャラクターも活き活きとしており、操作する楽しさ、見る楽しさ、考える楽しさ、と確かな充実感を味わうことが出来る。
 とはいえ操作を始めとしてシステム面には粗さが散見され、遊びづらさを感じるのが難点である。
 欲を言えばアニメーションを用いたムービーがエンディングにしか無く、キャラクターにボイスが付いていないのも物足りないところだろうか。
 逆に言えば、それだけキャラクターやストーリーに魅力を感じている、と言うことなのかもしれないが。
 3Dダンジョンに目が無い人、アニメ風のデザインが好きな人、SFファンタジーに抵抗を感じない人、などにチェックして欲しい一品である。


・ワンポイント攻略

 ・最初のステージにして高い難易度を誇る「ACT1 RESCUE」。「シールドレイ」を探せるかどうかがカギだ。
 ・同じアイテムは9個までしか持ち歩けない。使い渋りもほどほどに。





・関連作品

クライムクラッカーズ2続編。マルチシナリオと周回プレイを採用し、操作の軽快さなども上がっているが・・・。
またアニメムービーを多数採用しており、本作のデータが有るとオマケとして・・・?
・「キングスフィールド」シリーズ本作の少し後に発売された3DダンジョンRPG。
当時は特殊なゲームジャンルであったうえに、いわゆる「死にゲー」的ゲームバランスから賛否が分かれたものの、後にコアなファンの獲得に成功し長く親しまれるシリーズとなった。
・マスモンKIDS魔物の召喚士を題材とした戦略シミュレーション「マスターオブモンスターズ」シリーズの入門編的一本。
本作同様ここまひ氏がキャラクターデザインを担当した。


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