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怪獣戦記かいじゅうせんき


プラットフォームプレイステーション
開発プロデュース
発売プロデュース
発売年月日1996年 11月
ジャンルシミュレーション
プレイ人数1人〜 (対戦可能)
セーブデータ1ブロック、5ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
シンプル シンプル シンプル 幻想的 戦略性あり データなしでも対戦可能





・ゲーム概要

 プレイステーション初期に発売されたシミュレーションゲーム。
 ゲーム中で「モンスターチェス」と表現される内容は実にシンプルなもので、グラフィックやストーリーもまた発売時期以上に簡素な物となっている。
 しかしそのシンプルさゆえに全体の完成度は高く、確かな遊びごたえが感じられる一本である。


・基本ルール

 「モンスターチェス」とは、9×9の盤上でモンスター型の駒「フィギュア」を動かして相手側の駒を全滅させるゲームである。
 フィギュアは生命力「HP」、「Lv」と「EXP」、習得している「技」、行動コスト「ポイント」、と固有のグラフィックからなり、これを毎ターン1体ずつ動かすことでゲームが進行してゆく。
 「技」には近距離攻撃の「アタック」のほか遠距離攻撃の「弓」、相手を1マス押す「プッシュ」、3マス放り投げる「スロウ」、といった物が有り、本作においてはフィギュア同士の位置関係が重要であることが伺える。

 それら行動に必要な「ポイント」は毎ターンLvと同値だけ貯まってゆくほか、操作するフィギュアにはルーレットによって1〜6ポイントが加算される。
 ルーレットは目押し可能であるが、1ポイントの差が技のコストの可否を決定するため安易な考えは禁物である。
 逆に技のダメージなどは全て固定値となっており、一部の例外を除いて命中率や反撃率といった要素は存在しない。
 この偶然と確定のバランスが程よく組み立てられており、作中では2手3手先を読む作戦力と不意の事態への対応力が共に問われることとなる。
 この内容がパズル的な物として、またボードゲーム的な物として、本作の基盤を形作っているわけである。


・カプセル

 そんな本作においては、さまざまなフィギュアを集めるというのも楽しみの一つである。
 具体的には盤上に登場する「カプセル」を利用するもので、先ほど挙げた「プッシュ」などによってフィギュアとカプセルを重ねると両者が消滅し、該当のフィギュアが戦闘終了後に入手できるという流れ。
 その他に通常侵入不可能の「水場」や、「岩」などといった障害物も存在するので、相手の移動経路を予想して誘導してゆくといいだろう。
 と、言うは易しだがこれはなかなか難しい。なにしろ即死攻撃としても通用するものだから、相手側も積極的にカプセルへの一撃を狙ってくるのである。
 そのため自分からカプセルに並ぶことは避けたいのだが、逆に「弓」などの遠距離攻撃を避ける盾として、また相手を足止めする壁としてあえて利用する手も考えられる。

 このカプセルの存在が本作における大きな特徴であり、応用範囲の広さによって内容へ一層の深みを与えているわけである。
 ちなみに所有できるフィギュアには10個と言う制限が有るため、コレクション要素としての側面が薄い点はなんとも残念なのだが。


・ストーリー

 本作の物語は、一人の青年が魔族の遊技場を訪れるところから始まる。
 ゲーム中に登場する対戦相手は8人。うち4人を対戦相手として選択し、それぞれ7つのステージを攻略してゆくという流れである。
 主人公は何のためにここを訪れたのか?ここで勝ち抜いた先に何を得るのか?といった謎は、選択した相手によって徐々に明らかになってゆくこととなる。
 当然キャラクターごとにステージや登場するフィギュアの内容も異なっているので、ストーリー面でもゲーム面でも繰り返しプレイする楽しみが用意されているわけである。
 残念ながらクリアデータの引き継ぎなどは行えないのだが、心機一転してやり直すというのも新たな発見が有って楽しめるかもしれない。


・フィギュア

 なお、フィギュアと呼称されてはいるが本作のグラフィックは粗い。
 駒についてはほとんどがのっぺらぼう状態であり、ポリゴン数も少なめでなんとも角ばっている。
 じっくりと観賞するモードやコレクションカタログなどもないので、「フィギュア」というネーミングには名前負けを感じるところである。
 ・・・とはいえ、チェスの駒をイメージしてあえて質素にしたのだと思えばむしろゲームにマッチしたデザインだと取れなくも無い。
 これもまた、本作の味と言ったところだろうか。

 では、ここで作中に登場するフィギュアをいくつか見てみよう。

 ・コング
 初期パックに封入されている基本フィギュアの一つ。
 「プッシュ」、「アタック」、と近距離における基本技を持ちHPもそこそこある。

 ・コボルド
 初期パックに収録されている基本フィギュアの一つ。
 「弓」による遠距離攻撃を得意とし、後方支援で活躍する。

 ・ゴブリン
 初期パックに収録されている基本フィギュアの一つ。
 相手を放り投げる「スロウ」を覚えるほか、複数の相手を攻撃する魔法系の技を得意とする。

 ・デスハンド
 1-2面で初めて捕獲することのできるフィギュア。
 対象を威力分吹き飛ばす「タックル」や「スロウ」を得意とし、打撃戦でもカプセル戦でも強いフィギュア。

 ・フェアリー
 1-4面で捕獲することのできるフィギュア。
 水上に移動できる「バード」の特性を持ち、味方の蘇生と回復も行うことが出来る。

 ・デスアーマー
 2人目に「オーク」を選ぶと登場するフィギュア。
 習得している技が「アタック」のみという単純っぷりだが、その分コストパフォーマンスは優秀。

 ・クローラー
 2人目に「リザードマン」を選ぶと登場するフィギュア。
 目の前を水地形に変える「ウォーター」、通常地形に変える「タイル」、を使いこなして相手をハメる事の出来る凶悪キャラ。


・まとめ

 乱数的な要素を省いた戦略シミュレーション、あるいは数値的な要素を取り入れたチェスというシンプルなルールを基盤とする一本。
 そのシンプルさにはゲームとしての面白みが詰め込まれており、またカプセルや特徴のあるフィギュアによって内容は一層の広がりを見せている。
 対戦要素についても対応しており、データを持ち寄って対戦できるほか、データが無くともデフォルトのセットを利用できたり、(裏技ではあるが)対戦相手の都合がつかなくともAIを相手に対戦できたりするのはなんとも至れり尽くせりである。
 グラフィックとストーリーまでシンプルにまとめられているのは少々物足りなさを感じるところだが、本編を邪魔しないという意味ではあえて削られたものなのかもしれない。

 と、全体がほどよくまとまっており、矛盾した要素というものが極めて少ない一本。
 すなわち高い完成度を味わうことが出来、飽きることなく隅々までを遊びつくしてしまえる内容である。
 静の思考と動の思考を併せて楽しみたい人、キャラクターを集めてパーティーを考えるのが好きな人、などにオススメしたい良作である。


・ワンポイント攻略

 ・対戦でAIを使用するコマンドは、最後のフィギュアを配置する時にスタートボタンとL2(1P側AI化)、またはR2(2P側AI化)を押しっぱなし。
 ・「ひょうじゅんデータで対戦」を選択するときにR2押しっぱなしで高Lvパックを選択可能になる。対戦する場合はぜひ。
 ・2P側のパックを選択するときにL1押しっぱなしで対戦面が変化する。気分転換にどうぞ。





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