サイトトップ/ゲームレビュー/カルディナルアーク 〜混沌の封札〜


Neverland Card Warネバーランドカードウォー Cardinal Arkカルディナルアーク 混沌こんとん封札ふうさつ


プラットフォームプレイステーション2
開発アイディアファクトリー
発売アイディアファクトリー
発売年月日2003年 8月
ジャンル戦略ボードカードゲーム
プレイ人数1人〜 (対戦・トレード可能)
セーブデータ1つ238KB、3ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
少々はん雑 シンプル 種類豊富 キャラクターボイスが残念 粗い 「ネバーランド」シリーズより





・ゲーム概要

 アイディアファクトリーの「ネバーランド」シリーズの一端として発売された「戦略ボードカードゲーム」。
 とはいえシリーズ作品との関連はいくつかの単語程度にとどまっており、単品でも問題なく遊べる内容となっているので安心である。
 内容については、戦略シミュレーション風のボードゲームにおいて、各ユニットがカードの形で管理されているものと思えばおおまかな雰囲気がつかめるだろうか。
 なかなか個性的な物に思えるのだが、実際のところは果たして・・・?


・基本ルール

 では、早速本作のルールについて。
 相手との対戦はプレイヤーの分身となるリーダーユニット「ドミネーター」、30枚のカードからなる「デッキ」を用意し、それぞれに形状の異なる「マップ」を選択して開始される。
 対戦が開始されたら各プレイヤーは「ドミネーター」を操作して領地「コンクエスト」を手に入れコストを溜めつつ、味方ユニットとなる「ユニットカード」を召喚したり特殊効果を持つ「スペルカード」を発動したりして相手ドミネーターの撃破を目指すのだ。

 戦略の基本となる「コンクエスト」とは各種カードの使用に必要なコストを生み出す領地であり、「マップ上で味方ユニットが通過したマス」を自軍に獲得出来るもの。
 コストは毎ターン開始時にコンクエストの所有数まで補充されるので、コンクエストが多いほど強力・大量のカードを展開してゆけるわけだ。
 相手のコンクエストも自軍ユニットを移動させることで上書き出来るので、コンクエストの多さがマップ上での支配力の強さ、すなわち優勢・劣勢の指標として見て取ることが出来るだろうか。

 このことから、本作のユニットには大きく分けて4つの役割が存在している。
 一つ目は素早く移動し、「コンクエストを確保する」こと。
 二つ目は相手ユニットと戦闘を行い「コンクエストを広げる」こと。
 三つ目は自軍コンクエストへの通路に陣取り「コンクエストを守る」こと。
 そして最終的に「相手ドミネーターへ攻撃し、撃破する」ことを目標としてゆくわけだ。


・ユニット

 そんなユニットは、

 「HP(生命力)」、
 「AP(攻撃力)」、
 「移動力」、
 「使用コスト」(ドミネーター除く)、
 「維持コスト」(ドミネーター除く)、
 「属性」、
 各種「スキル」、

 といったパラメーターから成る。

 先ず「コンクエストを確保する」目的では使用コストと移動力が重要となる。
 多くのドミネーターは移動力が「3」に設定されているので、初期位置+3マスの「コスト4」以下のユニットが最初に召喚できる最下級カードだ。
 効率良くコンクエストを獲得するには複数ユニットを並べたローラー作戦が有効であるので、移動力についても基本値の「3」が有れば十分だろう。
 すなわち大量に召喚できる低コストユニットが、対戦序盤においてコンクエストを獲得するためのキーカードとなるわけだ。
 とはいえ本作は「味方ユニットに隣接したマス」であればどこにでもユニットを召喚可能なので、中盤以降は移動力の高いカードで敵地に飛び込み、そこからユニットを召喚して背後から切り崩すといった作戦も有効である。

 さて「コンクエストを奪う」、「コンクエストを守る」目的で戦闘する場合はHPやAPによる戦闘力のほか、「スキル」の存在が重要となる。
 本作の戦闘は先攻・後攻に関わらず両者が攻撃を行う消耗戦となっているので、APのみを重視しても結局は相討ちとなることが多い。
 それを避けるために、相手からのダメージを軽減する「防御スキル」や反撃を受けずに攻撃できる「先制攻撃」、戦闘を行わずに攻撃できる「スナイプLv1」、といったスキルが重要となるわけだ。
 また強力なカードは通常のコストとは別に「ソウル」という特殊コストを必要とする。
 これは味方ユニットが撃破されるごとに1ずつ貯まってゆく、文字通り魂とでも言うべきポイント。
 対戦が激化するほどに蓄積されて行くため、これを消費するカードが中〜終盤戦において活躍する切り札というわけである。

 なお「コンクエストを守る」場合は移動能力を持たない特殊ユニット、「ベース」の存在にも気を払いたい。
 ベースは一定範囲内のユニットにAPの増強やHPの回復、移動力の低下と言った効果を与えて戦局を左右する。
 移動力を持たないことから必然的に自軍の防御として使うこととなるが、配置次第では鉄壁の守りを得ることが出来るはずである。

 ・・・しかし厄介なことに、「属性」を持つユニットはこういった戦略を飛び越えた存在となっている。
 マップ内にはいくつか属性を持つマスが存在しており、属性を有するユニットは状況に関わらずこれらのマスに突如として召喚することが可能なのである。
 さらにその「味方ユニットに隣接したマス」から別のユニットを展開することが可能であり、よりにもよって大半のマップで初期位置の近くに何かしらの属性を持つマスが配置されているため実際の対戦では奇襲や泥仕合が日常茶飯事という有様になってしまっている。
 コンクエストを奪い合うという基本コンセプトに反しており、対戦をいたずらに混沌とさせるようでこの要素に関しては余分だったと思えてならない。


・スペル

 また、本作ではカードゲームの部分を色濃く与えられた「スペルカード」も忘れてはならない存在である。
 本作のスペルの特徴的な面と言えば、「ユニットの戦闘中に使用できる物が有る」点だろうか。
 つまり「マジックボルト」といったダメージ系スペルで相手ユニットに先制ダメージを与えたり、「湧き出す力」といった強化系スペルで味方ユニットを強化したり、といったことができるのである。
 据え置き機のゲームとしてお互いの手札が見えてしまう本作であるが、このシステムによりかえって「強力なカードを見せて相手へのプレッシャーとする」という戦略が得られている。
 この点には「カルドセプト」を彷彿とさせる、熱い読み合いが感じられることだろう。

 逆に戦闘中に使用できない物としては「複数のマスをまとめて攻撃できる範囲魔法」や「手札・デッキの操作魔法」などが多い。
 本作での「デッキ切れ」はドミネーターへのダメージと引き換えにデッキがリセットされる、という扱いとなっており、かつドミネーターへのダメージは味方ユニットへの回復魔法で簡単に回復できるので、ドロー系カードの重要性は高い。
 ・・・反面デッキ破壊系カードも「一度に7枚」などと凶悪なことになっているのだが。


・ストーリーモード

 さて、そういったカードを用いて繰り広げられる一人用モード、「ストーリーモード」の内容はどういったものだろうか?
 おおまかなストーリーは
 「人類を滅ぼすために蘇った地球意思 星の意思を封印し直すために神の力が宿った6枚のカードを集めよ!」
 というもの。
 6枚のカードは「封神札」と呼ばれており、「コリーア」、「ジャネス」、と言った旧作シリーズの神の名前が付けられている。
 5枚まではストーリー中のイベントで手に入り、超強力な効果を持つ特殊スペルとしてゲーム中でも使用可能である。

 これらを集めるために神殿「カルディナルアーク」を探索し、その中で8人の個性豊かなドミネーター達と戦いを繰り広げる、というのがストーリーモードの流れだ。
 ・・・「個性豊か」というのは性格や外見以上に、ゲーム中での性能が、である。
 例えば主人公「ガラハド」は1日1回の賭けを日課とするギャンブラー。HP25、AP3、移動力3、相手の防御を無視する「貫通」持ち、という性能を持っている。
 敵となる魔族の軍師「イグルス」はHP25、AP4、移動力3に隣接した味方を強化する「援護攻撃」および「援護防御」を持ち、盗掘屋「シモン」はHP30、AP3、移動力4という高いパラメーターを持つ。
 と、ドミネーターごとに性能に差が与えられているのである。
 隠しボスに至ってはほとんどのユニットを一撃で撃破するほどの高い能力を持っており、ドミネーターの性能に関してはプレイヤーは圧倒的不利を付けられていると思ってよいだろう。
 とはいえその「分の悪い賭け」こそが、主人公ガラハドのギャンブラーという性格を活かしているようで面白味があるのだが。

 ・・・しかしドミネーターの性能が高くてもAIの方はおおむね貧弱であり、ある2枚の凶悪カードによってほとんどのドミネーターは一方的に撃破してしまえる
 そのカードは、「ポルターガイスト」と「プッシュ」である。
 「ポルターガイスト」はコスト5の低級ユニットでHP1、AP1と貧弱なものの、AP4以上のユニットの攻撃を無効化するという「大振りの見切り」を習得している。
 つまり、AP4以上の強力なドミネーターに限ってポルターガイストに勝てない、ということである。
 上手く相手ドミネーターをマップの隅に追いやりポルターガイストで囲んでしまえば、相手はドミネーターからユニットを召喚できず、新たにコンクエストを増やすこともできず、その状況から脱出できない、と見事な「詰み」に陥るわけだ。
 対人戦ではスペル等で容易に脱出されるだろうが、AIはこちらのドミネーターを優先して狙うなどするためほとんど無抵抗にポコスカと殴られ続け、1ダメージで削り倒されることとなるのである。

 とはいえ、そんな不利に陥ることを知ってわざわざ隅に移動する者はいない。AIも自分から隅に移動することは稀だろう。
 それを強制的に隅に追いやるのが、もう一枚の凶悪カード「プッシュ」である。
 敵・味方問わずユニット一体を3マス以内の空き地に移動させるという効果は、例えば味方を敵地に送り込んだり、強敵を孤立させたりといった用法が想定されていたのだと思う。
 思うのだが、ドミネーターに通用してしまったらダメだろう
 先ほどの「ポルターガイスト」と組み合わせることで容易に相手を封殺出来るほか、その他のユニットを用いた包囲状況も容易に作り出してしまえるのである。
 類似したスペル「転置(位置入れ替え)」ではドミネーターを対象に出来ないあたり設定ミスなのだろうが・・・あまりにも大きいミスである。

 結局ストーリー中のAI戦は上手く相手をおびき寄せて封殺するのが最良となっており、プレイ時間がかかる割に充実感の薄い内容となっている気がしなくもない。
 余談だが「プッシュ」は中盤の相手から高確率枠で手に入り、「ポルターガイスト」は初期デッキに2枚収録されている


・まとめ

 戦略シミュレーション、ボードゲーム、カードゲーム、と様々なゲームの魅力を欲張りに詰め込んでまとめ上げた本作「カルディナルアーク」。
 とはいえスキルやスペルの出すぎた強さなど詰め込みすぎていくらかほころんだ部分も有り、完成度としては粗い部類か。
 ユニットカードの集め方についても勝利時にランダムで手に入る、のみとなっており、「スペクトラル」シリーズで武将を集めるような楽しさが無いのも物足りないかもしれない。

 もっともそのプレイ感は確かに独特であり、戦略シミュレーションとカードゲームの両方を楽しみたいという人には貴重な内容となるだろうか。
 一騎当千の戦士ユニット、一網打尽の範囲魔法、一撃必殺の極悪コンボ、といった物に興味のある人へオススメできる一本である。


・ワンポイント攻略

 ・最後の封神札「コリーアの聖光」は他の封神札を入手してから50勝すると入手可能
 カウントは「イプシロンの加護」を得た時点から始まるらしいが、なんとも長い道のりである。





・関連作品

・「スペクトラル」シリーズ「スペクトラルフォース(1997)」から続くシミュレーションRPGシリーズ。
戦乱の最中にあるネバーランド大陸を舞台に多数のキャラクターを指揮し、大陸統一を目指すという内容。
・「スペクトラル」外伝シリーズその他にも世界観を同じくする外伝作品がいくつか存在する。
スペクトラルタワーシリーズの先駆け的一本。「10000階」もの塔を攻略せよ!という内容だが、その作りは非常に悪い。
砂のエンブレイス「ジェネレーションカオス」の先駆けとなった、アイテム探索を主とするRPG。
本作のあるキャラクターの初登場作。
・「ジェネレーションオブカオス」シリーズ本作の原作と言えるシミュレーションRPGシリーズ。


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