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REBUSレブス


プラットフォームプレイステーション
開発アトラス
発売アトラス
発売年月日1998年 3月
ジャンルシミュレーション
プレイ人数1〜2人(対戦可能)
セーブデータ1つ2ブロック、4ファイルまで(中断セーブ可能)


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
自由度に欠ける 重厚 やや粗い 迫力あり 悪い キャラデザイン:
天野喜考氏





・「概要」

 プレイステーション中期に発売されたシミュレーションRPG。
 「ファイナルファンタジー」でおなじみ天野喜考氏によるキャラクターデザインもさることながら、最大の特徴は魔法、装備、仲間モンスター、を自由に「想造」するカルティアシステムにある。
 主人公の選択や対戦プレイへの対応など充実した内容を持つ本作だが、その内容は果たして・・・?

 なお、パッケージは血や牙を連想させる恐ろしげなものとなっているが、別にホラーゲームと言うことは無いのでご安心を。


・「物語」

 思いのままに万物を作りだす カルティア・・・

 神代の文字を刻み遥かな昔から カルティアと共に生きてきた人々・・・

 カルティアの火で闇を照らし カルティアの風で海を渡り

 カルティアの土に種を蒔き カルティアの水で育ててきた・・・・

 かの地の名はレブス カルティア文明の栄える世界・・・・・・

 千年の歴史に大きな争いのない 穏やかで平和な人間の世界

 しかし 不幸にも安寧は 甘えや堕落にすりかわっていき

 彼らがカルティアの恩恵を忘れた時 レブスに破滅の兆しは現れた・・・

 この物語は動乱のレブスを生きた ある英雄に関する記憶である・・・

 自由騎士トキサ 邪を拒み思いのままに生きる少年

 神官戦士ラクリマ 父を敬い法を求めてやまない少女

 二人の軌跡を追う物は知るだろう 大いなる喜びと悲しみの全てを・・・


(プロローグから抜粋)


 この中で出てきた「カルティア」とは、任意の文字を書き込み事象や物体を連想することでそれを具現化できるというカード状のもの。
 レブスの世界では人々の生活にこのカルティアが広く浸透しており、例えば運動の後にコーヒーを「想造」し喉を潤す、といったことが日常的に見られるのだという。

 そしてそんなカルティアがストーリーのみならずシステム面でも重要な要素として、本作の屋台骨となっているわけだ。


・「想造」

 カルティアで何かを作り出すことは「想像」と「創造」をかけた「想造」として行われる。
 ゲーム中では

 ・戦闘中の法術(魔法)の使用
 ・武器、防具の作成
 ・幻獣(仲間モンスター)の作成

 の3通りの用途で利用することとなる。

 法術であれば、カルティアに「炎」の文字を書き入れることで炎の攻撃法術が、「水」の文字を書き入れることで水の攻撃法術が発動するといった具合だ。
 そして、それぞれの法術は文字の組み合わせによって強化されたり性質が変化したりする。
 例えば「炎」に「上」の文字を加えると射程と威力の増した「炎上」の法術が発動し、「水」に「霊」の文字を加えると範囲内の味方を回復する「霊水」の法術が発動する。
 関連の薄い文字にも威力を補佐する効果があるなど、文字の組み合わせから強力な効果を模索するのがカルティアシステムのキモであるわけだ。

 これら文字は戦闘などで「文字テクスト」という形式で入手し、ストーリーが進むほどに多彩な文字や組み合わせが扱えるようになってゆく。
 カルティアにも「シルク」、「ミスリル」、「世界樹」、の3種類がありそれぞれに扱える文字テクストが異なるため、ストーリーの進行には戦力の幅が広がるという楽しみが感じられることだろう。

 また武器や防具の想造はよりユニークだ。
 例えばゲーム中盤で手に入る「金」の文字テクスト。
 「斧」+「金」では「金の斧」が想造されるのだが、これに「白」を加えると「斧」+「白」「金」で白金、すなわち「プラチナアックス」が想造されるのだ。
 その他にもある文字を加えて「ダイヤモンドアクス」が想造できたり、「太」「郎」の文字を加えて日本人的な武器が想造できたりと、より熟語としての色合いが強く設定されているのである。
 文字から連想して熟語となりそうな組み合わせを探す、という部分が想造の設定を再現しているようで、なかなかに心憎い。


・「戦闘」

 さて、そうしてカルティアによって高めた戦力で挑むのが戦闘だ。
 ストーリーが第○章の形式で分けられた本作では、章ごとに戦略シミュレーションの形式で敵軍団との戦闘が行われる。
 人物や幻獣などのユニットに指示を出し、作戦目標を達成すればクリア。逆にこちらの人物ユニットが撃破されるとゲームオーバーである。
 そのため人物ユニットが撃破されないよう、幻獣を中心に戦わせるのが本作における戦闘の基本となっているわけだ。

 その「幻獣」には一般体の「コモン(グー)」、金属体の「ドール(チョキ)」、精神体の「シャドウ(パー)」、からなる三すくみの関係があり、これを活用することで戦闘を優位に進める事が出来る。
 例えば「ドール」系の幻獣には「コモン」系の幻獣をぶつけることで大ダメージを与えられ、反撃のダメージも低く抑える事が出来るわけである。
 攻撃時に反撃を受ける本作だが、同時にHP残量に応じて能力が下がるシステムも採用しているため相性を合わせた先制攻撃は非常に重要だ。

 またこれら相性ほどではないが、本作においては高低差の概念も重要なウェイトを担っている。
 武器には高所の相手に有効な「槍・棒」、同高度の相手に有効な「剣・刀」、低所の相手に有効な「斧・鎚」、の3種類があり、位置関係を合わせることで大きなダメージが期待できるのである。
 戦場によっては法術で地形を変化させることもできるので、上手く相手を誘導し効果的にダメージを与えて行きたい。


・「難点」

 と、自由度あるように思えるカルティアシステムなのだが、実際にゲームをプレイしてみるとそれほどでも無かったりする。
 というのも、主な問題はカルティアと文字テクストの入手方法にある。

 先ずは文字テクストについてだが、これはステージをクリアした際の報酬とステージ内の宝箱、オブジェや地形を破壊した際のアイテムとして手に入る。
 こう書くと入手法が豊富にあるように思えるのだが、文字テクストはいずれも一品物であり取り逃すと一切のやり直しがきかないため、豊富な入手手段はステージ中の作業量に直結してしまっている。
 つまり敵ユニットを撃破しつつ素早く宝箱を開封し、木やタルといったオブジェを法術で丁寧に焼き払い、隆起した土地を掘り返してから作戦目標を撃破する、という非常にめんどくさい工程を毎ステージこなさなければ文字テクストのコンプリートは行えないわけである。
 しかもステージによっては隠された条件を達することで報酬が増加するという要素も有り、これに文字テクストが設定されたマップでは最悪これらをやり直す羽目になるのである。

 ・・・なぜこんなにも大量の文字テクストが存在するのか、というと答えは案外簡単で、そもそも組合わせて熟語を作れる漢字はそれほど多くないという根本的な問題にぶつかったからである。
 先ほどちらりと挙げた「郎」の字などはこの組み合わせ以外の使用法がとんと見当たらず、その他にも「毘」「沙」「門」や「源」「氏」など使い切り覚悟の文字が続々と登場することになる。
 言うまでもなく、これらの組み合わせから一文字でも入手しそびれたらまとめて使用不可能である。

 またゲーム中には「星」という使い勝手の良い字が登場しているのだが、「火」「星」や「金」「星」といった組み合わせは無く、また「金」「毘」に加え「羅」という字があるにも関わらず「金」「毘」「羅」の組み合わせが無いなど組み合わせの方も多少物足りない内容となっている。
 結果としてプレイヤーの想像力を反映させるにはシステムの限界がちらつく状態となっており、魅力であるはずの自由度をそれほど実現できていないのである。


 さてもう一つの難点は消耗品であるカルティアの補充方法。
 攻撃に回復に戦力の強化に、と広く使うカルティアはステージクリア時に一定数補充されるほか、章の合間に挑戦できる「アリーナ」で無限に補給することが出来る。
 ステージのクリア報酬以上に装備を想造したり法術を連発したりする場合はアリーナに挑戦すれば良い、というわけだが・・・。
 ゲーム後半に入手できる文字テクストから装備を想造する場合は貴重なミスリルや世界樹のカルティアを浪費するので、いかんせんアリーナなしでは装備が厳しいこととなってしまうのだ。

 また肝心のアリーナの内容とは、敵味方ともに固定された戦力と配置で戦う詰め将棋のようなもの。
 それほど長い時間を取られる内容ではないのだが、やはり物語の合間に2度3度と繰り返すとゲームのテンポを損ないかねない。
 想造出来ないレアアイテムが得られることも有って重要度が高く、無視できない存在となっているのがなんとも厄介である。


・「総括」

 文字を組み合わせて熟語を作り、これを攻撃や装備などあらゆる面に活用する・・・というカルティアシステムを基礎とした本作。
 しかし熟語のバリエーションに根本的な限界があり、期待できるほどの自由度が得られていないのがなんとも残念である。

 とは言え二人の主人公が平行するストーリーはなかなか練り込まれたものであり、ゲームデータをロードして好きなイベントを再生できる「アーカイブス」システムがあることからこれを魅力にプレイすることも出来るだろう。
 またグラフィックや戦闘バランスはやや粗いが、イベント中の立ち絵は天野氏のイラストをほぼそのまま用いており、音楽もなかなかに迫力があることからゲーム中の雰囲気は悪くない。
 どっぷりと物語を楽しみたい人や天野絵の雰囲気が好きな人で、アイテムのコンプリートにこだわらない人へオススメの一本である。


・「道標」

 ・攻撃は最大の防御。相性の合わない相手は法術によって先制ダメージを加えるといくばか楽になるぞ。
 ・配置上入手不可能な宝箱も有る。時には割り切ろう。
 ・ゲームクリア後に引き継げるのは想造した装備のみ。最終戦ではカルティアを使い切ってしまおう。





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