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ククロセアトロ 〜悠久の瞳〜


プラットフォームプレイステーション
開発サンソフト
発売サンソフト
発売年月日1999年 12月
ジャンルシミュレーションRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
ひねり不足 心温まる 可愛らしい 幻想的 ぬるい オープニングアニメあり





・ゲーム概要

 プレイステーション後期に発売されたシミュレーションRPG。
 操り人形である「マペット」に「宝玉」で命を与え、仲間モンスターとして共に戦ってゆくという内容。
 キャラクターデザインは「ゲーメスト」でおなじみ桜瀬琥姫女史であり、これが本作の数少ない 魅力となっている。


・ストーリー

 かつて、ヴィリー王国には光赤の眼を持つ「ククロセアトロ」という種族が存在していた。
 この世の森羅万象を司る「宝玉」から力を引き出せる彼らは生命なき人形「マペット」に生命を吹き込み、「マペットモンスター」とする術を用いて王国を大いに栄えさせた。
 しかし。人々の尊敬と感謝の念を一身に受ける彼らに嫉妬した王が破滅の女神「ルナ」を召喚したことから、人々の幸福は終わりを告げた。
 生きとし生けるものの命を喰らい力を増してゆくルナはその力で王国を滅ぼし、ククロセアトロを含む「6英雄」と壮絶な戦いを繰り広げたという。
 後に「女神戦争」と呼ばれるこの戦いでルナは封印されたものの、ククロセアトロは女神をも封ずる力を持つとして恐れられ、歴史からその姿を消したという。

 時は流れ、現在。
 女神に魅入られたグロス王国英雄騎士団長「ヴォーレス」が謀反を起こし、配下の四天王を率いて女神封印の鍵を略奪したことから歴史は再度動き出す。
 時を同じくして・・・ククロセアトロの末裔である少年「ルカ」もまた姉の「エレナ」や仲間たちと過ごす日々の中で「宝玉」を見つけ出し、伝説の「マペットマスター」として覚醒してゆくのだった。


・キャラクター

 ・ルカ
 主人公。光赤の眼を持つククロセアトロの末裔。
 とあるきっかけで宝玉を見つけたことにより一族の秘密を知る冒険に出ることとなる。
 姉の影に隠れがちな大人しい性格だが、少年らしい冒険心を秘めている。

 ・エレナ
 ルカの姉。ククロセアトロの血を引くがマペットを操る能力は無い。
 おてんばで、薬の材料となるキノコを探しにルカ達と洞窟探検に向かったことが宝玉発見のきっかけとなった。
 自分たちの秘密に薄々気付いており、ルカと共に一族の秘密を追うこととなる。

 ・ヴォーレス
 ルカ達が暮らすグロス王国の英雄騎士団長。王の片腕として厚い信頼を得る人物であったが、突如反乱を起こし女神復活を企てる。


・システム

 さて、ストーリーに登場した「マペット」と「宝玉」はシステム面でも本作を特徴づけている。
 「マペット」はストーリー上のイベントや敵撃破後の宝箱から入手でき、宝玉を使用することで仲間「マペットモンスター」となるもの。
 これは使用した宝玉によってそれぞれ異なるモンスターに「変化」し、また一定のLvアップと宝玉を与えることでさまざまなモンスターへと「進化」してゆく。
 ゲーム中では仲間にしたモンスターを閲覧できる「マペモン図鑑」も用意されているので、仲間の育成にはコレクション的な面白さがあるだろう。

 「宝玉」は敵からのみ入手でき、赤、緑、青、黄、紫、白、の6色と、聖、獣、智、力、の4種類からなる。
 マペットやモンスターに与えて変化・成長させるほか、戦闘中も敵にぶつけて攻撃する、床に置いて罠を作る、などと広く活躍する重要アイテムだ。
 だが入手数が少なく慢性的に不足しがちなので、計画的に使用してゲームを有利に進めて行きたい。


 ・・・と、いうのが本作の特徴となっているのだが。
 先ず「マペットモンスター」についてだが、彼らは体力が尽きると命を失い、まっさらな「マペット」に戻ってしまう。
 この際Lvや進化形態も初期化されてしまうため、戦闘において仲間が倒れるというのは取り戻しのきかない大失敗と言うことになる。

 またその「進化」は分岐の存在などかなり複雑な物となっているのだが、トランプの兵士が進化して子竜やカボチャ頭になるかと思えば、その次の形態では魔法の帽子や丸っこい小動物になったりする、と統一感に欠けている。
 一方のカボチャ頭は使う宝玉によって第一形態としても登場し、こちらは上位種であるトランプの騎士に進化できる、と、わけがわからない。
 初めの姿が気に入ったと大事に育てていると、かえって別のモンスターに進化してしまう恐れがあるわけだ。
 進化したモンスターをマペットに戻すことも可能ではあるが、前述の通りLvも初期化されてしまうためこれについてはどうしようもないの一言だ。

 と、言うか、6色×4種類の24種類用意された宝玉、それら全てに用意された第一形態、そこから分岐しつつ伸びる個別の進化系統、その中にたった一つ存在する専用の最終進化形態、と非常に複雑な進化システムを見ると、本当に進化を楽しませる気があったのだろうかと疑わざるを得ない。
 心をヘシ折る気満々というか、図鑑コンプリートなどさせてなるものかというか・・・これでいてデータ同士での対戦や交換といった要素も無いため、図鑑のコレクションはオマケ程度にあきらめた方が良いのかもしれない。


 そして「宝玉」だが、これは入手法が敵からのドロップのみ、入手数は多くとも1体につき1つまで、手に入る色や種類はランダム、となかなかの貴重品となっている。
 モンスターに与えることで進化のほか各種ステータスアップや魔法習得といった恩恵が受けられるので、数多く手に入らないことが実にもどかしい。
 ・・・そんな宝玉を敵に投げつけて攻撃した場合、最下級レベルの魔法が発動して若干のダメージを与えることができる。
 正直言って、まるで使えない
 床に置く罠の方はかなりのダメージを叩きだすのだが、本作の場合敵のAIが貧弱なことと全ての敵が魔法で遠距離攻撃可能なことから敵の行動予測が難しく、設置した罠が無駄に終わることも多い。
 と、どちらにせよ余程の緊急時以外はもったいなくて使えたものではない。
 結局はモンスターの強化用アイテム程度に落ち着いてしまうあたり、システムとして活かしきれていないことが残念でならない。


・ゲームバランス

 とはいえ、実際の戦闘を見ると本作はそれほど複雑なわけではない。
 シミュレーションRPGとしてユニットを動かしながら戦闘を行うわけだが、勝利条件は敵の全滅かボスの撃破のみと単純であり、ユニットに属性やスキル(特殊能力)の概念は無く、さらに向きや包囲効果といったシステムも存在しないため「敵に接近して攻撃」か「距離をとって魔法攻撃」か以上の戦法を考える必要が無い。
 それでいて敵AIが妙に貧弱であり、魔法攻撃の射程内なのに待機したり、瀕死の仲間を無視して元気な仲間に攻撃したり、とスキだらけなのだ。
 味方ユニットを撃破された時のペナルティーは恐ろしいの一言だが、1マップごとにセーブでき、マップの合間ならいつでも街や前のステージに戻って体勢を立て直せる本作ではやり直しもさして難しくないだろう。

 なお、マペットモンスターの装備である「アクセサリ」とは別にルカ専用に「武器」と「防具」が存在し、しかも割と良くドロップすることが少々うっとおしいがまぁこれはどうでもいい話。


・まとめ

 PS後期のゲームだがシステム面の特徴に欠け、グラフィック・シナリオ共に目を見張る水準ではない、と一言で言うと凡作である一本。
 難易度が低く、1戦闘ごとにセーブでき、キャラクターは可愛らしい、などライトゲーマー向けと言えないことも無いが、驚きや感動はやや物足りないだろう。
 ただオープニングのアニメやストーリー中の一枚絵など桜瀬琥姫ファンにうれしい部分は多彩に用意されているので、パッケージの絵が気に入ったなどという理由から手を出してみるのもいいかもしれない。





・関連作品

・マリーのアトリエ
〜ザールブルグの錬金術士〜
「アトリエ」シリーズ第1作。キャラクターデザインは桜瀬琥姫女史。
・暴れん坊プリンセスPS2の痛快!娯楽RPG。キャラクターデザインは桜瀬琥姫女史。


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