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プルムイプルムイ


プラットフォームプレイステーション
開発プルムイプルムイ制作委員会
発売カルチュア・パブリッシャーズ
発売年月日1999年 9月
ジャンルモーフィングRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1ブロック、3ファイルまで
ポケットステーション用ミニゲーム「ポケットキッチン」は11ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
練りこみ不足 味わい深い ややクセあり 単調 大味 ミニゲームと20のお菓子レシピ付き





・ゲーム概要

 プレイステーション後期に発売された「モーフィングRPG」。
 モーフィングというのは、例えばボールからでっぱりが出てきて星型に変形する、といった「なめらかな形の推移」のことで、本作は主人公のお供である「ムイ」が橋やハシゴにモーフィング(変身)して冒険を助ける・・・というシステムを特徴としている。
 ムイの変形は「お菓子を食べること」がきっかけとなっており、「お菓子作りとモーフィングをテーマにした可愛らしいアクションRPG」というのが本作のあらましであるわけだ。


・モーフィング

 では、先ずは本作の特徴である「モーフィング」について。
 ダンジョン系のアクションRPGである本作は大まかに「フィールドパート」と「ダンジョンパート」に分かれており、このうちフィールドパートでは川やガケといった障害に、ダンジョンパートではそれに加えて戦闘用のオプションに、相棒「ムイ」のモーフィングが活躍する。

 例えば川ならばムイが橋に変形することで対岸に渡れるようになり、ガケならばハシゴに変形することでその上に登ることが出来るようになる。
 ムイの変形に必要なお菓子は「バスケット」に何個か入れて持ち運べるようになっているので、例えば「ガケの上にある川の向こうのダンジョン」を目的地とするならばハシゴに変形するための細長いチュロスと、橋に変形するための平たいショートケーキ、それに体力回復用のパンを何個かバスケットに詰めて出発する、といった流れになっているわけだ。

 またダンジョンでは突進攻撃を得意とする「ナイト」や火球を発射する「メイジ」といった姿に変身して主人公「マドカ」の戦闘をサポートし、さらに「SP」を消費するとマドカの鎧に変身・合体して強力な攻撃を繰り出したり、特殊なキャラクターを召喚して強烈な一撃を繰り出したりと活躍する。
 こちらはお菓子に関係なく、ゲームの進行と共に入手される「メダル」で自由に変形可能だ。

 ・・・というのが本作における「モーフィング」のあらましなわけだ 
 フィールドパートにおけるモーフィングは「お花畑」というポイントでしか行なえず、さらに1つのお花畑は1つの仕掛けにがっちりと対応してしまっているため、極端に言えばたった1つの「正解」が定められた自由度の低い内容となってしまっている。
 建物の屋根に窓が付いているのを見つけ、チュロスを2つ食べさせて長さを伸ばしたハシゴに登って隠し部屋に到達・・・とか、
 ボスの苛烈な攻撃をしのぐためにショートケーキを食べさせて足場を作成・・・とか、
 そんな場面は一切無い。

 せっかくの「変身」は演出程度にとどまっており、自由な形への変形がまるで生かせていない、薄味な内容となってしまっているのが非常に残念である。


・お菓子作り

 さてそんなモーフィングを左右するお菓子作りについてはどうだろう。
 結論から言うと、こちらもいまいち自由度に欠ける内容となってしまっている。

 お菓子は「キッチン」で所定の材料を選択することで作られる。
 「ショートケーキ」なら「コムギ」と「ミルク」に「イチゴ」の3つ。
 「チュロス」なら「コムギ」と「タマゴ」に「カカオ」の3つという具合だ。
 そんなお菓子は宝箱や伝聞で入手したレシピに沿って作る「レシピクッキング」と、自由に材料を組み合わせてレシピを発見する「ひらめきクッキング」の2通りの方法で調理することが出来る。

 が。
 レシピには順番が定められており、さらに調理の結果は「成功」と「失敗」の2択のみであるため「ひらめきクッキング」は相当厳しい物となっている。
 例えばショートケーキなら「ミルク→イチゴ→コムギ」という順番を崩して「コムギ→ミルク→イチゴ」とすると調理に失敗してこげたパンになってしまう。
 もちろん「ミルク→カカオ→コムギ」など材料を間違えてもこげたパンである。
 これらの失敗から「おしい」「まるで違う」といった情報は手に入らないため、作中で聞けるヒントも無しに「ひらめきクッキング」を行うのはあまりにも無謀な行為となっているのだ。

 ・・・そう。
 16種類の材料が用意された本作だが、出来上がるお菓子はわずか25種類+1しかなく、その応用物などもほとんど無いのである。
 先の「ミルク→カカオ→コムギ」でチョコレートケーキが出来たりはしないし、「カカオ→ミルク」でココアが出来たりもしない。
 ついでに言うとどんな材料であれ失敗するとこげたパンになってしまうため、

 「タマゴ→チーズ」・・・チーズオムレツ こげたパン
 「マロン→ふわふわさとう」・・・マロングラッセ こげたパン
 「イチゴ→ミルク」・・・イチゴミルク こげたパン
 「氷」・・・解けた氷 こげたパン

 というこげたパンの錬金術師状態になっている。 これで食糧問題も解決だ。
 もっとも調理シーンはオーブンの扉が開くだけで統一されており、チョコパフェだろうがソフトクリームだろうがオーブンで調理しているあたりそんなツッコミは野暮なのかもしれないが。

 ともあれお菓子に対応させる仕掛けの数、それに回復アイテムのバリエーションを足してこの数字がいっぱいいっぱいだったようである。


・ダンジョン

 そんなこんなでお菓子を用意して挑むダンジョンはどういった内容だろうか?
 本作のダンジョンは敵や仕掛けの用意された小部屋を並べた形となっており、部屋単位で敵を倒したり、仕掛けを解いたり、カギを入手したりして進む。
 この中で主人公「マドカ」は剣を振るって攻撃するほか、しゃがんで敵の攻撃を回避したり、パワーを溜めてムイに特殊攻撃させたり、SPを消費して合体や召喚攻撃を行なったりする。
 ・・・と、特筆するような事も無い、いたってノーマルな内容となっている。

 一応、穴を飛び越えるためにマジックハンドを使う、溶岩の上を歩くために耐火服を着る、という場面がありここでムイのモーフィングが活躍する物の、仕掛けを一度解くきりでこれらを利用してのボス戦などは無い。
 加えて言うとダンジョン内で手に入るアイテムは「お金」、「HPアップ」、「SPアップ」、「レシピ」、「メダル」の5通りで、「食材」を調達するような場面は一切無い
 このため「お菓子作り」とも「モーフィング」とも関連性が薄く、そのうえでジャンプの概念や隠し部屋などもない、シンプルすぎるくらいの内容に収まってしまっているのである。


・ストーリー

 さて、ここらで気になるストーリーについて。

 ここ、フィリップ・サイドと呼ばれる地には、自在に姿を変えることができる「プル族」が住んでいます。
 かつてこの地に暮らした「ミノスの民」に仕えていた彼らは主なき後も、いつかの帰りを信じてこの地を平和に治めているのです。
 そんなある日、プル族の少年ムイと妹のポプリは女神の森で一人の少女を見つけました。
 おぼろげにマドカと名乗った少女はしばらくプル族の村で暮らすこととなり、お菓子を作ったり、ピクニックに出かけたり、と平和な日々を過ごすのですが・・・。

 ―宇宙歴1999・8・27 ワルキューレ号の航海日誌より―
 フィリップ・サイドの調査に向かい行方不明となったコロニス捜査官を捜索しに向かっていた本艦は、フィリップ・サイドより0.5光年の地点でサイドより攻撃を受けた。
 推進エンジンが破損し航行不能に陥ったが、予備動力を用いて調査員の乗った転送ボールの射出に成功。
 全速で修理を行ないつつ、調査員からの報告を待つ。

 女神コロニスの祭りを明日に控え、プル族の村ではその準備に大忙しです。
 祭りの劇で女神の役をすることになったポプリのためにお使いをすることになり、あちらこちらと走り回るマドカとムイ。
 やっとのことでお使いを終えたかと思うと、なんとポプリが劇の練習中に突如として現れた「黒い女神」に連れ去られたと言うではありませんか。
 不安になり女神の森の神殿に向かった二人がそこで見たものは、「ナイト」のメダルと、そして・・・


 ・・・といった、ほのぼのとしたファンタジーの裏で壮大なスペースオペラが動いているというなかなか味わい深い構成となっている。

 ただしゲーム中では話が順調すぎるきらいがあり、順々にダンジョンを攻略していくほかに大きなイベント等はなく、単調な流れとなっているのが惜しい所である。


・まとめ

 と、なにやら悪い点ばかり書き連ねてしまったが、お菓子をバスケットに詰めて冒険するという牧歌的な雰囲気のアクションRPGはなかなか珍しい。
 キャラクターのデザインもクセはあるがなかなか可愛らしいし、ストーリーに悲劇的な展開などが無く、安心して遊べる点も良い。
 セーブポイントが村にしかないのは難点だが、ダンジョン1つ1つが短いのでそれほど時間は取られない・・・
 と、全体的に無難でありライトゲーマー向けと言える一本。
 「モーフィング」や「自由度」にこだわらなければ、手軽にそこそこ楽しめる内容として映るはずだ。
 刺激や個性には欠けるが、その分やさしい内容の本作はたまの息抜きにはおすすめの一本・・・であるかもしれない。


・ワンポイント攻略

 ・ミルクとタマゴは何度か購入するとお得な価格で販売してもらえるようになる。積極的に利用しよう。
 ・安く材料を手に入れ、出来たお菓子を売ればお金をかせぐことが出来る。序盤はチュロス、中盤からはクリームワッフルがおすすめだ。
 ・レシピのヒントは妖精のナノからもらえる。かなり難解な暗号となっているが、「ひらがな以外」に注目すると分かるかも・・・?

 ・エンディング後、電源を切らずに少し待っていると・・・?
 (こういうの載せなきゃいいのに・・・。)





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