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ピノビィーの大冒険だいぼうけん


プラットフォームゲームボーイアドバンス、プレイステーション
開発アートゥーン
発売ハドソン
発売年月日2001年 3月(GBA)
2002年 9月(PS)
ジャンル2Dアクション
プレイ人数1人(アイテムの通信交換有り)
セーブデータ3つまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
自由度高し シンプル 3D調 ワンパターン 自由度が裏目に バッドエンド多数





・ゲーム概要

 ハドソンより、ゲームボーイアドバンスのロンチタイトル(同時発売ソフト)として発売された1本。
 自社ロゴである「ハチ」をモチーフにした2Dアクションゲームで、空中を自在に飛びまわる「ダッシュ」の爽快感が特徴的だ。

 また、本作は「携帯機」であるゲームボーイアドバンスソフトとして発売された後、「据え置き機」であるプレイステーションに移植されたと言う珍しい経緯をたどっている。
 (「グンペイ」や「ドラゴンクエストモンスターズ1+2」などと違い、ほぼ忠実に移植されている模様。
 本来であればそちらとの比較も行なうべきなのだが、なにぶん未プレイなので本項では「GBA版」に限ったレビューを行なう。


・ストーリー

 むかし むかし あるところに
 ハチのはかせが すんでいました
 はかせは へいわのため
 ただしいこころを もったロボット
 ピノビィーをつくっていました

 「よし あとは
 こころをいれれば かんせいじゃ」
 まさに ピノビィーのからだへ
 こころを いれようとしたとき
 おおきなくろいかげが
 おじいさんを さらっていきました

 それから どれだけたったでしょう
 「めをさましなさい ピノビィー!」
 ピノビィーは ゆっくり
 めをあけました
 ひかりのなかから ようせいさんが
 あらわれました

 「わるいやつらから おじいさんを
 たすけなさい」
 こころがない ピノビィーは
 つぶやきます

 「めんどくさい・・・・」

 (オープニングより抜粋)

 ・・・と、童話「ピノキオ」とハチ(ビィー)をモチーフにしたストーリーとなっており、この後連れ去られたおじいさんを追って各地を冒険する・・・というのがゲーム内容となっているわけだ。


・システム

 ライフ制の2Dアクションで、ステージの最後にあるゴールにたどり着けばクリアー。残機の概念が無い無限コンテニュー制。
 そんな「王道的」な本作最大の特徴と言えば、やはり「ダッシュ」だろう。
 これは空中で十字キーと「A」ボタンを押すと任意の方向に高速移動し、体当たりで攻撃したり、空中を移動したりできる・・・というもの。
 最初は1度に1回ずつしか行なえないダッシュであるが、物語を進めたりアイテムを集めたりすることで徐々にその回数が増えて行くため、ゲーム中盤あたりには自在に空中を移動する爽快感が味わえるようになっているはずだ。

 ステージの設計もこの「ダッシュ」を前提にしたものとなっており、横方向のみならず縦方向のスクロール幅も広く作られている。
 最初のステージである「あたたかの森」でさえ、上方画面外に足場が存在し「花のスイッチ」なるサブイベントが用意されているほどだ。
 また「アイテム」も少々変わっており、体力の回復や無敵、バリア、といった消費型のアイテムのほか、「あいはキツイ2」や「ゆうきはキレイ4」といった収集型のアイテムが用意されている。
 これは「あいはスゴイ」の1〜4を全て集めると体力の最大値が増える、といった具合に複数そろえることで効果を発揮するアイテム群であり、これらを効率よく集めるためにステージを広く探索する必要がある、という位置づけだ。
 「ダッシュ」を存分に楽しめるという意味では、これらの設計はなかなかにありがたい。


 が。
 移動の自由度が高い面は悪い方向にも働いてしまっていて、ステージ中でどちらに進めばいいのか見失いやすい点に加え、広いステージ中に目標を3種類も用意して探索を強要しているフシがある。
 3種類、というのは、
 到達することでステージクリアとなる「ゴール」、
 エンディングに影響を及ぼす「サブイベント」、
 敵の強さを変化させる「金色の敵」、
 の3つだ。

 「ゴール」への到達を前提に、そのほか「サブイベント」、「金色の敵」を攻略することが求められているのである。
 「サブイベント」は先述の「花のスイッチを押す」や「ようせいさんからダッシュをもらう」などステージ内のどこかでイベントを発生させる物で、一応ヒントが与えられる物の一定数攻略しないとラストステージ前にバッドエンド行きという厳しいペナルティが科せられている。
 「金色の敵」はステージ内のどこかに存在する「金色の敵」を探し出し全滅させないと次のステージで敵が凶暴化するというもので、ヒントも無く、探し出すのが非常に面倒な存在となっている。

 「ゴールはとっくに見つけたのに、まだ金色の敵を倒していないから引き返さなければいけない」・・・や、
 「ずっと前のステージでサブイベントを発生させていなかったため、先に進めない」・・・といった状況もわりと頻繁に発生する。
 こうなると「縦横無尽に飛びまわっている」というより、「縦横無尽に飛びまわらされている」という作業感が強く出るため、広いステージなども恨めしい設計に映ることだろう。
 せっかくの魅力を自分から台無しにしているようで、この点は少々残念である。

 なお広い広いと言っているが、初期状態のダッシュ1回のみでもクリア可能となっている点は特記しておきたい。
 良い点と見るか悪い点と見るかは人それぞれだろうが、縛りプレイヤーからすればうれしい仕様ではないだろうか。


・グラフィック、サウンド

 また、本作についてはそのグラフィックやサウンドについても注目したい。
 本作は2Dアクションであるが、キャラクターのグラフィックは3Dのモデルを取り込んだ擬似3Dとでも言うべき状態になっているのだ。
 特に、(あまり見たくない場面ではあるが)コンテニュー画面でピノビィーがこっくりこっくりと首を動かすアニメーションなどは「これが本当に携帯機なのか」と驚くほど立体的で、かつなめらかな物であった。その当時では
 アイテム収得時に「バリア」や「アイハキツイ」といった機械音声が流れる点もまた衝撃的であった。その当時では
 ゲームボーイがカラーになった衝撃から3年半後、ゲームボーイアドバンスというハードがそれからどれだけ「進化」したかを知らしめる水準だったと言える。

 いやまぁ、3Dキャラがペラペラしゃべりまくる現在ではそれがかえってレゲーとしても映らない「中途半端さ」になるのかもしれないが。
 それでもロンチタイトルとしてGBAの可能性を探るという創意工夫が楽しめる内容である。


・まとめ

 王道的な2Dアクションをベースに「ダッシュ」で爽快感や自由度を与えようとしただろう本作。
 実際に縦横無尽に空中を飛びまわるプレイ感は独特の物としてそれなりに楽しめるが、完成度や難易度は粗削り、と言ったところか。

 ただ十字キー+1ボタンと単純な操作で自在に空を飛ぶアクションが楽しめる、というライトさがあるので、それに魅力を感じるのならば悪くないかもしれない。
 また、昔のゲームが味わっていた表現の苦労や現在のゲーム機が持つスペックの高さといった事情を垣間見れる資料としても、そこそこの価値がある一本なのかもしれない。


・ワンポイント攻略

 ・サブイベントのヒントはピノビィーの日記。ピンとこなければとりあえずクリアしてみよう。
 ・「アイテム」の中身はランダム。難しくて攻略に詰まった場合は前のステージに戻りアイテムを集めてみよう。
 ・一種類の「アイテム」を全て集めると・・・?





・関連作品

ピノビィー&フィービィー続編。ピノビィーと妹フィービィーの活躍を描いた内容。システム周りはだいぶ変化している。


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