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BRAVE FENCER(ブレイブ フェンサー) 武蔵伝(むさしでん)


プラットフォームプレイステーション
開発スクウェア
発売スクウェア
発売年月日1998年 7月
ジャンルアクションRPG
プレイ人数1人
セーブデータ1ブロック、4データまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
特徴的 ドタバタ冒険活劇 アニメ的で活き活き 感動的 絶妙 「FFVIII体験版を同梱」





・ゲーム概要


 1998年にスクウェアから発売された3DアクションRPG。
 タイトルにもある通り「剣豪・宮本武蔵」を主人公にしたゲーム・・・
 ・・・と言って良いのか悪いのか判断に苦しむが、主人公「ムサシ」を始めとした個性的な登場人物たちが織り成す物語や、謎と仕掛けに満ちた本格的アクションが確かに光る一品。

 の、割りに、当時絶大な注目を集めていた「ファイナルファンタジーVIII」の体験版を同梱していたことが災いし、体験版(オマケ)のオマケ扱いを受けたという悲劇的な過去を持つ一本である。
 
 なおタイトルの「BRAVE FENCER」は直訳すると「勇敢なる剣士」。「英雄」ムサシにぴったりの副題である。


・ストーリー

 ヤクイニック王国には「武蔵伝説」という英雄譚が伝えられている。
 今をさかのぼること160年前、隣国ル・コアール帝国に巨大な魔物「闇の魔人」が出現し、帝国を壊滅に追いやった。
 魔人はさらに自身を構成する「ビンチョタイト」を求めてヤクイニック王国にまで迫ろうとしており、王国は代々の王女に伝わる「英雄召喚」を決行。異世界の英雄を召喚する事でこの危機を脱しようと図った。
 そして召喚された英雄は二刀流の剣士で「武蔵」を名乗り、長い戦いの旅、また魔人との激闘の末に、辛うじて光の剣「レイガンド」の力による魔人の封印に成功し、見事王国の危機を救ったのであった。
 こうして英雄「武蔵」の名と、光の剣「レイガンド」、魔人の力を封じた地、水、火、風、空の「五輪の書」は「武蔵伝説」として語り継がれてゆくこととなったのである。

 時は流れ、現在。
 王国には再度予期せぬ危機が訪れていた。空中要塞「リカーバレル」に居を移し、長らく国交が断絶していたル・コアール帝国が突如として王国に奇襲を仕掛けてきたのである。
 不運にも国王夫妻は長期の不在(バカンス)中であり、奇襲によって王国軍は総崩れ。長老達は最後の望みである「英雄召喚」を決断し、王国の運命は未熟なおてんば王女「フィーレ姫」と召喚されてくるであろう英雄「ムサシ」にゆだねられたのであった。
 果たして、召喚された英雄は・・・?

 「だれがチビッコだって!?
 「なによっ!この・・・トンガリもみあげっ!

 ・・・と、物語のだいたいの背景はこんな感じである。

 この後召喚された「ムサシ」は伝説に残る光の剣「レイガンド」を入手する冒険に駆り出されることになるわけだが、そこでは巨大な顔面像に押しつぶされそうになったり、姫をさらわれたり、巨大な蒸気兵器と対決したり、といったまさに「一難去ってまた一難」の怒涛の展開が。
 このハイテンポな物語が、キャラクターたちの活き活きとした動きや豊かな表情、豪華声優陣の名演と相まって「まるでアニメを見ているような」ワクワク感を味あわせてくれるはずである。
 ここまでの物語はチュートリアルの「第1章」に過ぎないので、これから先ムサシが「五輪の書」を集めてゆく冒険の物語をぜひ楽しみにして欲しい。


・システム

 「五輪の書」や「ビンチョフィールド」、「フィギュア」といった特徴的なシステムを持つ本作だが、中でも特に特徴的なのはおそらく「ゲット・イン」だろう。
 これはムサシがもつ2本の剣「雷光丸」と「レイガンド」のうち「雷光丸」に備わった特殊能力である。
 雷光丸は、ゲージをチャージして敵に投げつけることにより「ゲット・イン」を行い、敵が持つ特殊能力を一時的にムサシの物として吸収することが出来る。
 剣を持つ敵からは相手を気絶させる「みねうち」、銃を持つ敵からは気弾を発射する「ガンもどき」、といった具合だ。
 これらは戦闘で役立つほかに謎解きで使用することがあり、敵キャラクターに「武器」や「キーアイテム」といった側面を与えているのである。
 そのため新しいダンジョンで新しい敵と出会うときには常に強いワクワク感があり、最後まで飽きが来ることなくゲームを楽しめることだろう。

 また「レイガンド」の場合は「五輪の書」の力を引き出し、地震や風を起こすことが出来る。
 こちらはもっぱら謎解きに使用されるが、一応戦闘でも使え、特にボスキャラクター戦ではいかにこの「五輪の書」の力を使うかが攻略のカギとなっているため、こちらも入手時の期待感はなかなかのものである。

 なおアクション以外のシステムとしては、そのグラフィックについても注目したい。
 本作のポリゴンは少々粗い物で構成されているのだが、特徴を押さえたディフォルメや全身で表現される動きがそれを欠点として感じさせず、むしろ豊富に用意された表情とキャラクターボイスがアニメチックな印象を与えてくれる。
 そんな本作は、いわゆるムービーシーンを使用せず、全てのイベントをキャラクターたちのデモシーンによって表現している・・・という冒険的側面を持っている。
 そのためゲーム中のグラフィックは全て一定の水準でまとまっており、ゲーム中も、イベント中も、一つの物語を通して楽しんでいる感覚が味わえるはずである。
 ともすれば欠点と映る内容を一つの表現技法として採用した英断はなんとも心憎い。


・音楽

 本作の音楽については、「The Musashi Legend」という一つの曲をアレンジした物が随所で聞かれる。

 しかしこれは「使い回し」と呼べるものなどでは決してない。
 物語の山場で流れるこの曲は次第次第に「ムサシのテーマ」として耳に残ってゆき、その後の展開への期待を高めてくれるほか、やがてはアレンジの調子でムサシの心境が語られずとも伝わってくるようになる。
 名曲でありながらも「BGM」としての役割をわきまえているからこそのアレンジである。

 そして物語の最後、最高のシーンで流れるこの曲には、その音楽と「武蔵伝」の壮大な物語に対して感動を抱かずにはいられないことだろう。

 また蛇足だが、このアレンジ以外の曲も名曲ぞろいである。
 中でも「さまよいの森(2章)」や「ヴァンビ兵戦」、各種ボス戦は聞く機会が限られてくるので、余裕があればポーズをかけて聞き入ってみたいものである。


・付属ディスク

 ついでに、付属ディスクである「SQUARE'S PREVIEW3」の内容を軽く紹介しよう。
 収録されているのは「FAINAL FANTASY VIII」体験版、「エアガイツ」体験版、「アナザー・マインド」PV、の3つ。
 「FAINAL FANTASY VIII」体験版については、いわずと知れた「ファイナルファンタジー」シリーズの第8作を発売前に少しだけ体験できるというもの。
 当時「FFVII」の大ヒットもあって高まっていた「FFVIII」への期待に便乗した 応えた形となるわけだ。
 体験版の舞台はSeeD最終試験のドール公国への上陸作戦部分。ここは海岸への上陸や電波塔の起動といった、美麗で、かつ操作キャラクターと見事に合成されたムービーが流される部分であり、当時の「FFVIII」への期待を高めるには十分な魅力と衝撃を持った内容であった。

 なお製品版と比較するとさまざまな箇所に変更があり、メニュー画面が開けない、「特殊技」の仕様が異なる、スコールらが私服、リノアがいる、G.F.リヴァイアサンが使用可能、といった点などが目に付く。
 そのため「船上に立つ私服のスコール」や「クモロボットから逃げるリノア」、「キスティス先生の代わりに活躍するドールのザコ兵士」という貴重なシーンがあるファン必見の内容となっている。
 メニュー画面が開けないため「ジャンクション」も無いことだし
 ここで「精製」とか「ジャンクション例」とか体験できれば評価もまた違ってきただろうに・・・。

 また「エアガイツ」体験版については、3Dアクション格闘「エアガイツ」を3人のキャラクター限定でプレイできるもの。
 その面子は「三島 拳」、「鬼子母神 陽子」、そしてFFVIIからゲスト参戦の「クラウド・ストライフ」という3人。

 言ってしまうと、本作は「FFVII」と「FFVIII」にがっちり挟まれた形となっているわけである。
 少々やりすぎな気がしなくもない

 なお「アナザー・マインド」のプロモーションムービーについては、実写な上に「あなたは誰?」を繰り返す浮きまくった内容なので、商品への付加価値はなかったと思われる。


・まとめ

 「FFVIII」体験版というビッグタイトルの陰で、ローポリゴンのキャラクター、ムービーシーンを廃した演出、繰り返し流れるアレンジ曲、と、下手をすれば「低予算疑惑」を邪推される内容を持つ本作。
 だが、それらの特徴全てを独特の「魅力」として昇華している内容は感動さえ覚えるほど完成度が高く、「FFVIII」とは真逆の方向性でありながらもまるで引けを取らない面白さを持っている。
 おそらく、だが、いつの時代に遊んでも決してその面白さが色あせて映らない「名作」。
 「武蔵伝」はそんな魅力を持つ一品なのではないだろうか。





・関連作品

武蔵伝II BLADE MASTER続編・・・というより、移植リメイク。
 
・チョコボの不思議なダンジョン2同梱ディスクに本作のセーブデータが。
また、ボス戦の曲がそっくり。(まぁ、同じ人の作曲なので)
・ファイナルファンタジーVIII付属ディスクに体験版を収録。
・エアガイツ付属ディスクに体験版を収録。
・アナザー・マインド付属ディスクにプロモーションムービーを収録。


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