サイトトップ/ゲームレビュー/マリア2 ―受胎告知の謎―


マリア2 ―受胎告知(じゅたいこくち)(なぞ)


プラットフォームPS・PC
開発ブレイク
発売アクセラ
発売年月日1999年 8月 (PS)
2000年 3月 (PC)
ジャンルインタラクティブ・ドラマ
プレイ人数1人
セーブデータ1つ1ブロック


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
劣悪 会話オンリー アニメ風3Dで見やすく 盛り上がりに欠ける 探索の出来が悪い レインボウズ2000





※今回のレビューはやや大目のネタバレを含みます。※


・ゲーム概要

 PSとSSで発売された「インタラクティブ・ドラマ」、「マリア 〜君たちが生まれた理由(わけ)〜」の続編。
 パッケージの裏には「サイエンス・サスペンス仕立ての人間ドラマを完全ゲーム化」と書いてあるが、今回も特に原作などは無い模様。

 「ハラハラ、ドキドキの連続は、ドラマを超えたドラマ、ゲームを超えたゲーム。」などとものすごい自負ぶりを見せているが、その出来は果たして・・・?


・ストーリー

 新米テレビ記者である国友 真里亜(くにとも まりあ)は多忙な上司に代わって「あるディスク」を受け取るため慈愛堂生物研究所を訪れ、所長の亜門 京介(あもん きょうすけ)博士から古代生物「祖ジュゴン」にまつわる話を聞いた。
 老いてなお知識の探求に情熱を傾け、人を惹きつける魅力を持つ亜門博士に好感を抱いた真里亜だったが、その日の夜に亜門博士が殺害されたことを知りショックを受ける。と同時に、容疑者とされた助手の景山 純(かげやま じゅん)が真里亜に助けを求めてきたのである。
 初めは戸惑っていた真里亜だが必死に無実を訴える景山の態度に心動かされ、友人の桜沢 比奈子(さくらざわ ひなこ)を加えた3人で真実を見極める決心をし、自ら神の領域に触れる禁断の陰謀に巻き込まれていくのだった・・・。

 ・・・といったところまでが、Disc1のおおまかな内容である(全3Disc)。そう、本作はびっくりするほど物語の進行が遅いのだ。
 その主な原因はシステムにあるのだが、詳しくは後述するとしてもう少し物語の概要を見てみよう。


 ややネタバレになるが、本作のテーマはズバリ「人の手による新人類の創造とクローニング(クローンの作成)」である。
 本作で暗躍する「計画」とは、受精卵の段階で遺伝子に改造を加えることで高い知能を持つ細胞を作り、細胞分裂が始まったら一部を保存してクローニングを行うというものだ。
 これは被験者である両親や生まれてくるはずだった子どもに無断で、である。
 クローニングは妊娠していない女性の卵細胞を使用して行われたため、それが処女のままイエス・キリストを宿したといわれる聖母マリアの伝説、つまり

 「受胎告知」の謎

 として本作の副題を飾っているわけである。
 なお、生まれてきた子どもは7歳になったとき急激に内臓が老化して死亡する、ということが明らかになっている。

 ・・・と、前作よりも「マリア」であり、「君たちが生まれた理由(わけ)」である、重く、残酷なテーマを取り扱っているのである。


 なお、ここまで前作の登場人物が出てこないし、物語にも関連性が無いと思われるが、ある程度ゲームが進むと2人の人物が登場する。
 1人は、ニコライ・レヴィ神父。前作のマリアを良く知る人物で、前作のポリゴンモデルそのままという浮きまくった姿で現れて前作のプレイヤーを驚愕させてくれる。
 もう1人は、ある意味かなり納得できる人物。本作でも重要な役割を持つ。
 残念ながら、「筒井 マリア」や「高野 潤」は未登場である。前作ではバッドエンドを迎えてしまったらしく、マリアは死亡、高野医師は引退・・・という形になってしまったようだ。


・システム

 本作のシステムは前作から大きな変更を受けている。
 ゲームの中心である「テキストモード」は地の文を廃した会話文のみで構成され、キャラクターたちの画像には背景と合致した一枚絵が増え、「○の食卓」風のインタラクティブ・ムービー系だった「探索モード」は「バイオ○ザード」風の3Dアドベンチャー型となっている。
 総じて、前作よりも「テレビドラマ」風のシステムとなっているといえる。特に「探索モード」が一人称視点から三人称視点になったことは「小説寄りの『マリア』」と「ドラマ寄りの『マリア2』」という差を端的に表しているようである。

 なお、会話文のみで展開される物語も「ドラマらしさ」を引き立てているようだが・・・これに関してはナレーションなら〜かくかくしかじか〜で済むところをいちいち会話で表現してしまうため、いたずらに物語を引き伸ばす結果となっている気がしてならない。
 本作も物語が「第○話」で区切られているわけだが、ひどいところになると重要人物から詳しい話を聞いていただけで1話終わってしまった、なんて事もあるほどだ。

 そして、前作から大きく雰囲気を変えた「探索モード」だが、肝心の完成度は非常に低い。
 ゲーム中探索するマップは2つしかないのだが、1つ目のマップでは「アイテムも仕掛けも無い部屋」が半数を占め、そのほかに「調べても反応の無いドア」が点在する。
 2つ目のマップでは「苦労して謎を解いても何も手に入らない」というケースがいくつか存在し、内容を水増ししている。
 そしてその両方に共通する欠点として、シナリオのルート次第では解決しないまま放置される仕掛けが存在するという消化不良さが挙げられる。

 さらに細かいところを挙げれば、「カギとカギ穴が同じ部屋に存在する」という意味不明な状況、「5文字のパスワード入力欄に対して正解は4文字」という反則的回答、「使用できない使用必須アイテム」という矛盾した設定、などなどキリが無い。
 当然のごとく「旋回が早すぎる」や「壁に当たると勝手に方向転換する」など操作性も劣悪である。

 そしてさらに悪いことに、本作の物語は探索モードの内容によってのみ分岐するのである。(一箇所のみ例外。探索モード終了直後。)
 ・・・つまり、本作の「テキストモード」に存在する選択肢は直後のやり取りが変化するのみの、完全なオマケということになるわけだ。

 ・・・この「探索モード」は何のためにあるのだろうか。
 「ドラマ」に割り込んで間延びさせるため?「ゲーム」の中心を担ってプレイヤーに負担をかけるため?
 正直言って、その存在は余分以下、である。


・レインボウズ2000

 ところで、前作には仮想パソコン「レインボウズ98」が登場し、メールのやり取りや登場人物の情報管理などを行なうことが出来た。
 それが本作では「レインボウズ2000」にバージョンアップしており、新たに仮想インターネットや豊富なミニゲームなどを搭載した濃厚な内容となっている・・・が・・・。

 先ず「メール」についてだが、本作は登場人物とメールのやり取りを行なう回数が極端に少なく、ストーリー上でパソコンが立ち上がるのはわずか2回のみ。その代わりといっては何だが製作者からのメールが頻繁に届けられてくる
 聞いてもいないのに攻略のヒントが次々と送りつけられ、「クイズに答えてグッズを当てよう」というメールが全部で5問来る。(これは実際にクイズに答えることで懸賞に参加でき。)
 何これ、スパム?

 で、次に「仮想インターネット」についてだが、こちらも期待を大きく裏切る内容となっている
 というのも、本作には検索サイトやリンク集が存在せず、URL直打ちで移動するしかないという利用の不便さが一つ。
 そして、本作の仮想インターネットはほとんどがゲーム雑誌の広告・懸賞サイトであるという内容の劣悪さが一つだ。

 「探索モード」で雑誌編集長の名刺を探し出し、「テキストモード」になったらパソコンを起動、えっちらおっちらURLを打ち込み、やっと表示されるのが懸賞クイズ付きの広告である。
 広告代はいくら出たんだろう?

 数少ない例外は自社のWEBサイトで、ミニゲームを楽しんで壁紙などを入手することが出来る。
 「落ち物パズル」、「競馬」、「スロット」、「3Dブロック崩し」というボリュームたっぷりの内容となっており、壁紙入手の目標スコアもやりがいのあるレベルで本編よりよっぽど面白かったりするからタチが悪い
 本編そっちのけで競馬に夢中になっていた日には自己嫌悪にさいなまれること間違い無しだろう。

 そして、本作のレインボウズを語る上で避けて通れないのが、登場人物の桜沢 比奈子が開発した電子ロック解除ツール「比奈ハッカー」だ。
 概要としては4ケタの数字を予想して解答と比較、「解答で使用されている数字を含む」、「解答と同じ数字のケタがある」、という比較結果から解答を推理してゆくという数当てゲームである。
 一見ただのミニゲームのようだが、このツールは「探索モード」でドアロックを解除するために使用するという非常に重要な役割を持っているのだ。
 そのうち一箇所はエンディングを左右する非常に重要な箇所であり、本ゲームの結末はこのちっぽけな数当てゲームにかかっていると言ってもいい

 そういうわけで、ゲーム進行上「レインボウズ2000」が担っている役割はドアロック解除用のミニゲーム、というのがせいぜいで、増えた内容と反比例するように役割が減ってしまっているのだ。


・「逃亡編」と「究明編」

 本作の物語はDisc1後半で分岐点を迎える。1周目は「逃亡編」のみ、2周目は「究明編」に分岐可能、である。
 内容は読んで字のごとくなので割愛するが、「逃亡編」はいくつかの謎がうやむやのまま終了し、「究明編」はそれらを含む意外な真実が暴かれてゆく、という構成となっている。
 要は、2周攻略が必須ということだ
 1度クリアした後、もう一度始めから同じ物語を読まなければいけないという苦痛が発生するわけだが、前述の通り選択肢なんてオマケなので、適当にボタンを押していれば大丈夫である
 やっとの思いで突入する「究明編」は・・・。
 意外な内容だが、むしろ「唐突」と言ったほうが近いかもしれない・・・。


・まとめ

 前作よりも重いテーマ、前作よりも質の良いグラフィックス、前作よりもボリュームの有るミニゲーム、と、一見した印象では前作よりも期待をそそるものの、本文であるテキストモードを軽視し、節操の無い広告や懸賞クイズを散りばめ、出来の悪い探索モードに全てを集約させる・・・など実際に遊んでみるとその期待をブチ壊すだけの内容の悪さを持つ問題作。
 前作のファンからすれば失望するような内容なので、むしろ前作を知らない人、かつ「受胎告知の謎」に興味を抱いたヒマな人にならば、もしかしたらオススメできなくもないかもしれない。


・ワンポイント攻略

 ・「慈愛堂生物研究所」
  ・攻略に詰まったら「携帯電話」を使おう
  ・エレベーター脇の案内板を活用しよう
  ・「ガスマスク」は使用しない

 ・「秘密研究所
  ・5文字は4文字
  ・電話はヒント。再生前後に特定のボタンを連打するとわかりやすい。
  ・「セーフティロック」は使用しない





・関連作品

マリア 〜君たちが生まれた理由(わけ)〜前作。だが内容はまるで異なり、練りこまれた物語が光る一品。


サイトトップ/ゲームレビュー/マリア2 ―受胎告知の謎―