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武刃街(ぶじんがい)


プラットフォームプレイステーション2
開発タイトー
REDエンターテイメント
発売タイトー
発売年月日2003年 12月
ジャンルハイスピード武侠アクション
プレイ人数1人
セーブデータ1ファイルおよそ1020KB、8ファイルまで


システム シナリオ グラフィック サウンド ゲームバランス その他
JUST武侠! イベントシーンが少なく、難解 美麗だが、どこかバタ臭い 中華・ロック風 激ムズ Gacktインタビュー付き





空前絶後のJUST武侠!!

・ゲーム概要

 タイトー創立50周年記念ソフトとして2003年にPS2で発売された「ハイスピード武侠アクション」。
 ・・・だが、パッケージ表に巨大なGacktの顔が描かれていたり、パッケージ裏に主演Gacktの文字があったりして、非常に手を出しづらい空気を醸し出している。
 事実、ゲーム内の隠し要素として主人公がGacktそのものになったりシステムボイスがGacktのものになったりするのでGacktゲーと呼ぶのもあながち間違いではないのだが。

 だが、そこはやはりタイトー創立50周年をうたったソフト。その内容は単なるキャラゲーで終わる軟派なものでは決して無かった。


・基本システム

 正直なところ

ジャンルハイスピード武侠アクション

 で内容のわかる方がいたらお目にかかりたい。
 率直に言ってしまえば、このゲームの最たる特徴は、香港映画などで見られるワイヤーアクションや派手な剣戟をアクションゲームのシステムとして取り込んだところにある。

 「ワイヤーアクション」といえば、壁を蹴って空を飛んだり蹴られた敵が水平に飛んでいったりするアレである。
 このゲームにおいては壁を蹴って高く飛んだり空中をすべるように移動したりといったアクションとして再現されており、空間を自由自在に駆け回る爽快感として昇華されている。
 そして、激しく剣を打ち鳴らし一進一退の攻防を行う「剣戟」。
 これに関しては、「剣戟ゲージ」がある間に正面から攻撃を受けると相手の攻撃を受け止め、任意に反撃を行うことが出来るというシステムとして組み込まれている。これによって敵の攻撃を受けるスリルと積極的に攻めてゆく爽快感が同居し、かつ迫力ある敵の攻撃と快適なゲームテンポが得られているのだ。
 また「剣戟ゲージ」は一部の敵にも存在し、それらの敵とは正に香港映画さながらの剣戟を行うことになる。

 これらのシステムが特徴的なアジアンテイストのキャラクター・グラフィックスと相まって、「武刃街」というゲームの屋台骨となっているわけだ。


・キャラクター/グラフィックス

 このゲームの舞台は核の雨によって文明が崩壊した未来「技暦」に、その影響を受けた「鬼」が闊歩するアジアの島。・・・なんだかどこかで聞いたような設定だがまぁ気にしないでおこう。
 伝説の武人「殴 天災」の弟子であり鬼に匹敵するほどの剣技を持つ主人公「劉 王羽」は、妹「蓉華」を失ったことで魔道に落ちた友「雷 振龍」を止めるべく、自らの故郷でもあるこの島に下り立った。
 登場人物は以上である。
 とは言えそれぞれが派手で個性的な中華風?スタイルをしており、その姿だけでも強烈なインパクトがあるのだが。
 あるのだが・・・。

 先ず、主人公・劉の声優はGacktGackt言っている通りGackt氏である。
 一定条件を満たすと現れる隠しオプションではシステムボイスに設定することも出来、セーブやロードのたびに「僕の心に刻むよ」とか「準備はいいかい」とか囁いてくれる。・・・隠し要素でよかったと思わざるを得ない。

 そしてライバルである雷の声優は山寺宏一氏、ヒロインである蓉華は坂本真綾女史。両名とも出番が少ないのが悔やまれる。
 最後に師匠である殴の声優はと言うと・・・。若本紀夫氏である。
 ゲーム中最も印象に残るのも彼であろう。

 ・・・いや、ここで「当然じゃねーか」とか思うのは早い。
 なぜならば、主人公の師匠でもある若本 殴 天災は出番が非常に多いためである。

 ゲーム開始後、「サプライズスタート」という演出(これも実にユニークなもの)の後始まるゲーム本編で基本操作を伝授してくれるのは彼である。
 しかも10分以上にもわたるフルボイスで。
 これだけでも十分お腹いっぱいだが、実は先ほどのシステムボイスに設定することも可能で、一定数のコンボを決めると「行けぃ!」などと褒め、うかつにもダメージを受けると「この馬鹿者がぁ!!」などと叱りつけてくれる。ゲーム中ずっと若本ボイスが鳴り響くという若本天国状態に。
 ついでに言うと公式サイトのFAQも彼である。

 「Gacktゲーだと思っていたら若本ゲーだった」というのはこういうわけである。


 なお、メインキャラクター以外、毒々しいアジアンテイストを持つ敵キャラクターのデザインも中々に秀逸。
 中でも複数回にわたり戦うことになるボス、饕餮(トウテツ)、檮朷(トウコツ)、渾敦(コントン)、窮奇(キュウキ)の「四凶」の巨大さ、強さは強く印象に残るだろう。


・ゲームバランス

 さて、システムとキャラクターがわかったところで実際にゲームをプレイしてみるとどう感じるだろうか?
 序盤であれば、敵の攻撃を正面から受けるよう心がけ、適当に攻撃ボタンを押しているだけでもビシバシかっこいいアクションが決まるので実に爽快。だが中盤に差し掛かる頃には敵も手ごわくなり、移動アクションも高難度化してくる。
 特に7ステージ目「我望雲」の難易度は尋常でなく、公式サイトに攻略動画が掲載されるという異常事態となっている。
 そして、やっとの思いでクリアし、感動のラスボス戦を終えると・・・新たな難易度が追加される。
 先ずは「難」、難をクリアすると「超」である・・・らしい。
 実のところ、難の我望雲で心が折れたためそこまでは確認できていない。
 まぁ、「並」のみでもGacktシステムボイス、若本システムボイスは手に入れることが出来るはずなのでファンでも安心(?)の設計だ。


・まとめ

 このゲームをGacktファンのためだけに作られたキャラゲーだと思うのは、はっきり言って誤りである。
 その理由は二つ。一つは若本ファンもたっぷりと楽しめるゲームであるということ。
 もう一つは、キャラゲーなんてとんでもない、見た目に反してしっかりと作りこまれたアクションゲームであるということだ。

 小手先のキャラゲーなんてやってられないというハードゲーマーにこそチェックしてもらいたい一品だといえるだろう。





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